膵炎後糖尿病と2型糖尿病における主要有害心血管イベント、重症低血糖、全死亡のリスクは?(デンマーク人口ベースコホート研究; Diabetes Care. 2022)

a glucometer over documents 02_循環器系
Photo by Pavel Danilyuk on Pexels.com

膵炎後糖尿病と2型糖尿病とでは主要有害心血管イベント(MACE)、重症低血糖、全死亡リスクが異なる?

膵炎後糖尿病は、膵炎の合併症として頻度が高く、血糖コントロール不良と関連することが報告されています。血糖コントロールの不良は主要有害心血管イベント(MACE)、重症低血糖、全死亡のリスク増加の要因となることから、リスク評価が求められます。

そこで今回は、膵炎後糖尿病における糖尿病関連有害事象のリスクについて、2型糖尿病と比較検討したコホート研究の結果をご紹介します。

このデンマークの人口ベースコホート研究では、1998年から2018年の間に膵炎後糖尿病または2型糖尿病を発症した成人(18歳以上)を、全国健康登録を通じて対象としました。膵炎後糖尿病(PPDM)はさらに急性(PPDM-A)と慢性(PPDM-C)のサブタイプに分けられました。本試験では、主要有害心血管イベント(MACE)、重症低血糖、全死亡のリスク、および重症低血糖の発生率を確認しました。

試験結果から明らかになったことは?

2型糖尿病患者 383,325例、PPDM-A患者 3,418例、PPDM-C患者 2,461例が同定されました。

PPDM-C
(vs. 2型糖尿病)
重症低血糖ハザード比[HR] 5.27
(95%CI 4.62〜6.00
P<0.001
全死亡HR 1.54
(95%CI 1.45〜1.64
P<0.001

2型糖尿病と比較して、PPDM-Cは重症低血糖(ハザード比[HR] 5.27、95%CI 4.62〜6.00、P<0.001) と全死亡(HR 1.54、95%CI 1.45〜1.64、P<0.001)のリスク上昇と関連していました。同様のパターンは、PPDM-Aを有する集団においても観察されました。

PPDM-C
(vs. 2型糖尿病)
PPDM-A
(vs. 2型糖尿病)
重症低血糖発生率比(IRR) 7.38
(95%CI 6.75〜8.08
P<0.001
IRR 3.76
(95%CI 3.36〜4.21
P<0.001

重症低血糖の発生率比(IRR)は、2型糖尿病と比較して、PPDM-C(IRR 7.38、95%CI 6.75〜8.08、P<0.001)およびPPDM-A(IRR 3.76、95%CI 3.36〜4.21、P<0.001)の両方で増加しました。

インスリンを投与している集団に限定した解析においても、糖尿病を発症していない膵炎患者を比較対象群として含めた解析においても、所見は一貫していました。

コメント

膵炎後糖尿病は、膵炎の合併症として頻度が高く、血糖コントロール不良と関連しますが、2型糖尿病と比較して、主要有害心血管イベント(MACE)、重症低血糖、全死亡におけるリスク評価は充分ではありません。

さて、本試験結果によれば、膵炎後糖尿病は2型糖尿病と比較して、糖尿病関連の有害転帰の過剰リスクと関連しているようでした。膵炎後糖尿病は2型糖尿病よりも重症低血糖が発生しやすいことから、血糖の乱高下により心血管イベント、死亡リスクが増加することが予測されます。膵炎後糖尿病においては、血糖コントロールも含めて、より慎重なモニタリングが求められます。

text

✅まとめ✅ 膵炎後糖尿病は2型糖尿病と比較して、糖尿病関連の有害転帰の過剰リスクと関連しているようであった。

根拠となった試験の抄録

目的:膵炎後糖尿病は、膵炎の合併症として頻度が高く、血糖コントロール不良と関連する。膵炎後糖尿病における糖尿病関連有害事象のリスクを2型糖尿病と比較検討した。

研究デザインおよび方法:このデンマークの人口ベースコホート研究では、1998年から2018年の間に膵炎後糖尿病または2型糖尿病を発症した成人(18歳以上)を、全国健康登録を通じて対象とした。膵炎後糖尿病(PPDM)はさらに急性(PPDM-A)と慢性(PPDM-C)のサブタイプに分けられた。
主要有害心血管イベント(MACE)、重症低血糖、全死亡のリスク、および重症低血糖の発生率を確認した。多変量Coxおよびポアソン回帰分析により、糖尿病サブグループ間のリスクおよび発生率を比較した。

結果:2型糖尿病患者 383,325例、PPDM-A患者 3,418例、PPDM-C患者 2,461例を同定した。2型糖尿病と比較して、PPDM-Cは重症低血糖(ハザード比[HR] 5.27、95%CI 4.62〜6.00、P<0.001) と全死亡(HR 1.54、95%CI 1.45〜1.64、P<0.001)のリスク上昇と関連していた。同様のパターンは、PPDM-Aを有する集団においても観察された。重症低血糖の発生率比(IRR)は、2型糖尿病と比較して、PPDM-C(IRR 7.38、95%CI 6.75〜8.08、P<0.001)およびPPDM-A(IRR 3.76、95%CI 3.36〜4.21、P<0.001)の両方で増加した。インスリンを投与している集団に限定した解析においても、糖尿病を発症していない膵炎患者を比較対象群として含めた解析においても、所見は一貫していた。

結論:膵炎後糖尿病は2型糖尿病と比較して、糖尿病関連の有害転帰の過剰リスクと関連している。このことは、管理上重要な意味を持つ。

引用文献

Risk of Major Adverse Cardiovascular Events, Severe Hypoglycemia, and All-Cause Mortality in Postpancreatitis Diabetes Mellitus Versus Type 2 Diabetes: A Nationwide Population-Based Cohort Study
Søren S Olesen et al. PMID: 35312752 DOI: 10.2337/dc21-2531
Diabetes Care. 2022 Mar 21;dc212531. doi: 10.2337/dc21-2531. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35312752/

関連記事

【新規2型糖尿病診断後のDPP-4阻害薬使用による膵炎・膵臓がんリスクはどのくらいですか?(韓国 人口ベース コホート研究; Diabetes Care. 2019)】

コメント

タイトルとURLをコピーしました