難治性慢性咳嗽および原因不明の慢性咳嗽に対するP2X3受容体拮抗薬ゲーファピキサントの有効性と安全性は?(DB-RCT; COUGH-1, -2試験; Lancet 2022)

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P2X3受容体拮抗薬ゲーファピキサントが日本で承認された

ゲーファピキサントは経口P2X3受容体拮抗薬であり、これまでに難治性慢性咳嗽および原因不明の慢性咳嗽に対する有効性および安全性が確認されています。

日本では2022年1月20日に「リフヌア」という商品名で承認されました。その根拠となった試験結果が先日公表されました。

そこで今回は、難治性慢性咳嗽および原因不明の慢性咳嗽を有する患者を対象に、ゲーファピキサントの有効性および安全性を検証した第3相試験(COUGH-1、COUGH-2)の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

2018年3月14日(最初の参加者のスクリーニング)から2019年7月26日(最後の参加者のスクリーニング)までに、COUGH-1試験では732例、COUGH-2試験では1,317例の患者が募集されました。

COUGH-1試験は730例(プラセボ243例[33.3%]、ゲーファピキサント 15mg 1日2回投与 244例[33.4%]、ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与 243例[33.3%])、COUGH-2試験では1,314例(プラセボ435例[33.1%]、ゲーファピキサント 15mg 1日2回投与 440例[33.5%]、ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与 439例[33.4%])をランダムに割り当て、治療しました。参加者の多くは女性でした(COUGH-1試験では730例中542例[74.2%]、COUGH-2試験では1,314例中984例[74.9%])。平均年齢はCOUGH-1試験で59.0歳(SD 12.6)、COUGH-2試験で58.1歳(12.1)、平均咳嗽期間はCOUGH-1試験で11.6年(SD 9.5)、COUGH-2試験で11.2年(9.8)でした。

COUGH-1試験
(ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与
vs. プラセボ)
COUGH-2試験
(ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与
vs. プラセボ)
投与24週目ににおける
24時間の咳頻度
18.5%
(95%CI 32.9〜0.9
p=0.041
14.6%
(95%CI 26.1〜1.4
p=0.031

ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与は、COUGH-1試験では12週目に18.5%(95%CI 32.9〜0.9)、p=0.041、COUGH-2試験では24週目に14.6%(26.1〜1.4)、p=0.031でプラセボに対して24時間の咳頻度を有意に減少させました。ゲーファピキサント 15mg 1日2回投与は、両試験においてプラセボに対する咳嗽頻度の有意な減少を示しませんでした。

主な有害事象は味覚障害に関連するものでした。味覚消失(COUGH-1試験:730例中36例[4.9%]、COUGH-2試験:1,314例中86例[6.5%])、味覚不全(COUGH-1試験:118例[16.2%]、COUGH-2試験:277例[21.1%])、味覚過敏(COUGH-1試験:3例[0.4%]、COUGH-2試験:6例[0.5%])、味覚減退(COUGH-1試験:19例[2.6%]、COUGH-2試験で80例[6.1%])、味覚障害(COUGH-1試験で28例[3.8%]、COUGH-2試験で46例[3.5%])でした。

コメント

咳嗽は様々な基礎疾患により引き起こされ、基本的には原因疾患の治療により症状が軽快しますが、一定数の患者集団においては、咳嗽症状が治らない慢性咳嗽が認められます。慢性咳嗽は睡眠障害など患者のQOLを低下させることから、治療薬の開発が求められています。

さて、本試験結果によれば、ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与は、プラセボと比較して、難治性慢性咳嗽及び原因不明の慢性咳嗽患者の24時間の咳頻度を有意に減少させました。しかし、味覚障害に関連する有害事象が認めらました。この有害事象は、治療中止後に消失あるいは軽快することが添付文書等に記載されていますが、試験によっては発生頻度が50%超など、かなり高い頻度で認められています。この有害事象により治療を中断した患者もいることから、投与後のモニタリングが求められます。一方、相互作用等については示されていないようですので、他の治療薬との併用は安全であると考えられます。有害事象(あるいは副作用)発生時の対応策について、治療中止以外の方法が知りたいところです。

ちなみに米国では2022年1月にFDAがゲーファピキサントの承認を見送りました。有効性に関する追加の資料提出を求めているようです。

続報に期待。

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✅まとめ✅ ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与は、プラセボと比較して、難治性慢性咳嗽及び原因不明の慢性咳嗽患者の24時間の咳頻度を有意に減少させたが、味覚障害に関連する有害事象が認められた。

根拠となった試験の抄録

背景:ゲーファピキサントは経口P2X3受容体拮抗薬であり、これまでに難治性慢性咳嗽および原因不明の慢性咳嗽に対する有効性および安全性が確認されている。そこで、難治性慢性咳嗽および原因不明の慢性咳嗽を有する患者を対象に、ゲーファピキサントの有効性および安全性を確認することを目的とする。

方法:COUGH-1とCOUGH-2は、いずれも二重盲検ランダム化並行群間プラセボ対照の第3相試験である。COUGH-1は17ヵ国156施設で、COUGH-2は20ヵ国175施設で行われた。難治性の慢性咳嗽または期間1年以上の原因不明の慢性咳嗽と診断された18歳以上の被験者を登録した。また、参加者はスクリーニングおよびベースライン時に咳嗽重症度Visual Analogue Scale(VAS)スコアが40mm以上であることが条件とされた。対象者は、コンピュータで作成された割付表を用いて、プラセボ、ゲーファピキサント 15mg 1日2回、ゲーファピキサント 45mg 1日2回の3つの治療群のいずれかにランダムに割り付けられた(1:1:1)。すべての治療は経口投与された。COUGH-1試験では12週間、COUGH-2試験では24週間の主試験期間、その後延長期間を経て、両試験とも最大52週間の治療が行われた。主要評価項目は、COUGH-1試験では12週間、COUGH-2試験では24週間におけるプラセボ調整後の24時間咳嗽頻度の平均変化量としました。両試験はClinicalTrials.govに登録され、NCT03449134(COUGH-1)およびNCT03449147(COUGH-2)であった。

所見:2018年3月14日(最初の参加者のスクリーニング)から2019年7月26日(最後の参加者のスクリーニング)までに、COUGH-1では732例、COUGH-2では1,317例の患者が募集された。COUGH-1は730例(プラセボ243例[33.3%]、ゲーファピキサント 15mg 1日2回投与 244例[33.4%]、ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与 243例[33.3%])をランダムに割り付け、治療し、COUGH-2は1,314例(プラセボ435例[33.1%]、ゲーファピキサント 15mg 1日2回投与 440例[33.5%]、ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与 439例[33.4%])をランダムに割り当て、治療した。参加者の多くは女性であった(COUGH-1では730例中542例[74.2%]、COUGH-2では1,314例中984例[74.9%])。平均年齢はCOUGH-1で59.0歳(SD 12.6)、COUGH-2で58.1歳(12.1)、平均咳嗽期間はCOUGH-1で11.6年(SD 9.5)、COUGH-2で11.2年(9.8)であった。ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与は、COUGH-1では12週目に18.5%(95%CI 32.9〜0.9)、p=0.041、COUGH-2では24週目に14.6%(26.1〜1.4)、p=0.031でプラセボに対して24時間の咳頻度を有意に減少させた。ゲーファピキサント 15mg 1日2回投与は、両試験においてプラセボに対する咳嗽頻度の有意な減少を示さなかった。主な有害事象は味覚障害に関連するものであった。味覚消失(COUGH-1試験:730例中36例[4.9%]、COUGH-2試験:1,314例中86例[6.5%])、味覚不全(COUGH-1試験:118例[16.2%]、COUGH-2試験:277例[21.1%])、味覚過敏(COUGH-1試験:3例[0.4%]、COUGH-2試験:6例[0.5%])、味覚減退(COUGH-1試験:19例[2.6%]、COUGH-2試験で80例[6.1%])、味覚障害(COUGH-1試験で28例[3.8%]、COUGH-2試験で46例[3.5%])であった。

解釈:ゲーファピキサント 45mg 1日2回投与は、難治性慢性咳嗽及び原因不明の慢性咳嗽に対する第3相臨床試験において、許容できる安全性プロファイルで有効性を示した最初の治療法である。

資金提供:Merck Sharp & Dohme

引用文献

Efficacy and safety of gefapixant, a P2X 3 receptor antagonist, in refractory chronic cough and unexplained chronic cough (COUGH-1 and COUGH-2): results from two double-blind, randomised, parallel-group, placebo-controlled, phase 3 trials
Lorcan P McGarvey et al. PMID: 35248186 DOI: 10.1016/S0140-6736(21)02348-5
Lancet. 2022 Mar 5;399(10328):909-923. doi: 10.1016/S0140-6736(21)02348-5.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35248186/

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