コントロール不良の高血圧患者における自己血圧測定は血圧コントロールを改善しますか?(Open-RCT; TASMINH2試験; Lancet. 2010)

a healthcare worker measuring a patient s blood pressure using a sphygmomanometer 02_循環器系
Photo by Thirdman on Pexels.com

血圧の自己測定により血圧コントロールは改善するのか?

血圧のコントロールは心血管疾患予防の重要な要素ではありますが、血圧目標値の達成は困難です。血圧は病院や診療所で測定した場合と、家庭で測定した場合とで値が異なることが報告されています。このため、血圧の測定環境により血圧の目標値が異なります(高血圧治療ガイドライン2019)。基本的には病院や診療所における血圧値を基に治療方針が決定されることが多いですが、前述の理由から自己血圧測定の重要性が明らかとなっています。

しかし、個々の患者が血圧測定を意識づけられることで血圧コントロールが改善するのかについては明らかになっていません。

そこで今回は、コントロール不良の高血圧患者による自己血圧管理が、通常のケアと比較して、より良い血圧コントロールをもたらすかどうかを評価したランダム化比較試験の結果をご紹介します。

このランダム化対照試験は、英国の24の一般診療所で実施されました。降圧治療にもかかわらず血圧が140/90mmHg以上あり、高血圧の自己管理に意欲的な35~85歳の患者を登録対象としました。試験参加者は、血圧の自己測定と降圧薬の自己用量調整からなる自己管理と家庭血圧測定の遠隔モニタリング、または通常のケアに1対1の割合でランダムに割り付けられました。
主要エンドポイントは、ベースラインと各フォローアップポイント(6ヵ月および12ヵ月)の間の平均収縮期血圧の変化でした。

試験結果から明らかになったことは?

527例の参加者が自己管理群(n=263)または対象群(n=264)にランダムに割り当てられ、そのうち480例(91%;自己管理群 234例、対象群 246例)が主要な分析に含まれました。

自己管理群対象群群間差
6ヵ月後-12.9mmHg
(95%CI 10.4〜15.5)
-9.2mmHg
(95%CI 6.7〜11.8)
3.7mmHg
0.8〜6.6
p=0.013
12ヵ月後-17.6mmHg
(95%CI 14.9〜20.3)
12.2mmHg
(95%CI 9.5〜14.9)
5.4mmHg
2.4〜8.5
p=0.0004

平均収縮期血圧は、ベースラインから6ヵ月後までにおいて、自己管理群で12.9mmHg(95%CI 10.4〜15.5)、対象群で9.2mmHg(6.7〜11.8)減少しました(群間差 3.7mmHg、0.8〜6.6; p=0.013)。

ベースラインから12ヵ月後までの収縮期血圧は、自己管理群で17.6mmHg(14.9〜20.3)、対照群で12.2mmHg(9.5〜14.9) に低下しました(群間差 5.4mmHg、2.4〜8.5、p=0.0004)。

ほとんどの副作用の頻度は、脚の腫脹を除けば、群間で差が認められませんでした(自己管理群 74例[32%]、対照群 55例[22%]、p=0.022)。

コメント

血圧コントロールにおいて、患者による自己血圧測定の重要性が報告されています。しかし、自己血圧測定が血圧コントロールに及ぼす影響は明らかになっていません。

さて、本試験結果によれば、血圧の自己測定と降圧薬の自己用量調整からなる自己管理、そして家庭血圧測定の遠隔モニタリングの組み合わせにより、通常ケアと比較して、6ヵ月後における収縮期血圧が3.7mmHg、12ヵ月後においては5.4mmHg低下しました。本試験は非盲検ではあるものの、血圧値への長期的な影響は少ないと考えられます。

家庭血圧測定については、積極的に行った方が良いと考えられます。

person in beige long sleeve shirt holding pen writing on paper

✅まとめ✅ 高血圧の自己管理と血圧測定の遠隔モニタリングの組み合わせは、血圧コントロールを改善するかもしれない。

根拠となった試験の抄録

背景:血圧のコントロールは心血管疾患予防の重要な要素であるが、その達成は難しく、最近まで医療従事者の独壇場であった。本研究では、コントロール不良の高血圧患者による自己管理が、通常のケアと比較して、より良い血圧コントロールをもたらすかどうかを評価した。

方法:このランダム化対照試験は、英国の24の一般診療所で実施された。35~85歳の、降圧治療にもかかわらず血圧が140/90mmHg以上あり、高血圧の自己管理に意欲的な患者を登録対象とした。参加者は、血圧の自己測定と降圧薬の自己用量調整からなる自己管理と家庭血圧測定の遠隔モニタリング、または通常のケアに1対1の割合でランダムに割り付けられた。ランダム化には中央のウェブベースのシステムを使用し、性別、ベースラインの収縮期血圧、糖尿病や慢性腎臓病の有無などを最小限にした上で、一般診療科別に層別化した。参加者も治験責任医師もグループ分けについてマスクされていなかった
主要エンドポイントは、ベースラインと各フォローアップポイント(6ヵ月および12ヵ月)の間の平均収縮期血圧の変化であった。6ヵ月後と12ヵ月後のフォローアップに参加し、主要評価項目のデータが完全に得られているすべてのランダム化患者を、欠損データの補正を行わずに解析に含めた。本試験は、国際標準ランダム化比較試験として登録されており、番号はISRCTN17585681である。

所見:527例の参加者が自己管理群(n=263)または対象群(n=264)にランダムに割り当てられ、そのうち480例(91%;自己管理群 234例、対象群 246例)が主要な分析に含まれた。平均収縮期血圧は、ベースラインから6ヵ月間、自己管理群で12.9mmHg(95%CI 10.4〜15.5)、対象群で9.2mmHg(6.7〜11.8)減少した(群間差 3.7mmHg、0.8〜6.6; p=0.013)。
ベースラインから12ヵ月後までの収縮期血圧は、自己管理群で17.6mmHg(14.9〜20.3)、対照群で12.2mmHg(9.5〜14.9) に低下した(群間差 5.4mmHg、2.4〜8.5、p=0.0004 )。
ほとんどの副作用の頻度は、脚の腫脹を除けば、群間で差がなかった(自己管理群 74例[32%]、対照群 55例[22%]、p=0.022)。

解釈:高血圧の自己管理と血圧測定の遠隔モニタリングの組み合わせは、プライマリケアにおける高血圧のコントロールに新たに追加される重要なものである。

資金提供:Department of Health Policy Research Programme,National Coordinating Centre for Research Capacity Development,および Midlands Research Practices Consortium.

引用文献

Telemonitoring and self-management in the control of hypertension (TASMINH2): a randomised controlled trial
Richard J McManus et al. PMID: 20619448 DOI: 10.1016/S0140-6736(10)60964-6
Lancet. 2010 Jul 17;376(9736):163-72. doi: 10.1016/S0140-6736(10)60964-6. Epub 2010 Jul 8.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20619448/

関連記事

【代用のアウトカム】入浴後の血圧は上がりますか?下がりますか?(Blood Press Monit. 2016)

コメント

タイトルとURLをコピーしました