GLP-1受容体作動薬の心血管アウトカムへの有効性はメトホルミン併用の有無で異なりますか?(SR&MA; Diabetes Res Clin Pract. 2021)

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2型糖尿病の心血管アウトカムに対するGLP-1受容体作動薬の有効性はメトホルミン併用の有無により異なるのか?

2型糖尿病におけるGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)の心血管アウトカムに対する有効性は、これまでに報告された大規模臨床試験により検証されています。これに基づき、米国や英国の診療ガイドラインでは、患者背景によってはGLP-1 RAが第一選択薬とされています。しかし、大半の試験において標準治療薬のメトホルミンが使用されており、心血管アウトカムに対して保護的に作用している可能性があります。したがって、メトホルミン未使用の2型糖尿病患者におけるGLP-1 RAの有効性について検証する必要があると考えられます。

そこで今回は、主要有害心血管イベント(MACE:心筋梗塞、脳卒中、心血管死)に対するGLP-1 RAの有効性を検証した大規模臨床試験4件のメタ解析の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

アルビグルチド、デュラグルチド、エキセナチド週1回投与、リラグルチドの4試験(43,456例)を対象としました。

MACE(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)リスク
GLP-1 RA全体HR 0.87
(95%CI 0.82〜0.93
 メトホルミン併用HR 0.91
(95%CI 0.85〜0.97
 メトホルミン非併用HR 0.80
(95%CI 0.72〜0.90

GLP-1 RAはMACE(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)リスクを13%減少させ(HR 0.87、95%CI 0.82〜0.93)、この効果は両サブグループで一貫していました(メトホルミンの有無にかかわらず、それぞれHR 0.91、95%CI 0.85〜0.97、HR 0.80、95%CI 0.72〜0.90)。

また、ベースラインにおけるメトホルミンの有無は、心血管死亡率および全死亡率に対するGLP-1 RAの全体的に良好な効果に影響を与えませんでした。

最後に、サブグループメタ解析では、ベースラインにおけるメトホルミン使用の有無にかかわらず、GLP-1 RAは脳卒中、心筋梗塞、心不全による入院に対してニュートラルな効果を持つことが示唆されました。

コメント

2型糖尿病治療薬において、心血管イベントの発生抑制が示される薬剤が求められます。なかでもナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬とグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)は、大規模臨床試験により心血管イベント発生を抑制することが示されています。いずれの大規模臨床試験においても、ベースライン治療薬の一つとしてメトホルミンが使用されています。メトホルミンによる心血管イベント発生の抑制効果については、観察研究で示された結果に基づいており、一部ランダム化比較試験においても認められています。したがって、2型糖尿病における心血管イベントの発生抑制に対するSGLT2阻害薬とGLP-1 RAの正味の有効性についての検証が求められています。

さて、本試験結果によれば、GLP-1 RAはMACE(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)リスクを13%減少させ、この効果はメトホルミンの有無にかかわらず示されました。メトホルミンとの併用・非併用の有効性については、あくまでもサブグループ解析の結果であることから追試が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ GLP-1 RAはMACEを13%減少させた。この効果はメトホルミンの有無にかかわらず認められるかもしれない。

根拠となった試験の抄録

目的:2型糖尿病におけるGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)の心血管アウトカムに対する有効性に、メトホルミンによる背景治療が及ぼす影響を検討する。

方法:2021年5月5日までのMEDLINEおよびEMBASEを検索し、2型糖尿病患者におけるGLP-1 RAのランダム化、プラセボ対照、心血管アウトカム試験で、ベースラインのメトホルミン使用の有無による心血管アウトカムの報告を行った。
主要アウトカムは主要有害心血管イベント(MACE)の発生率だった。その他のアウトカムは、主要複合アウトカムの各構成要素(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)、全死亡、心不全による入院などとした。ランダム効果メタアナリシスを用いて、ベースラインでのメトホルミンの使用状況で層別したハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)をプールした。

結果:アルビグルチド、デュラグルチド、エキセナチド週1回投与、リラグルチドの4試験(43,456例)を対象とした。GLP-1 RAはMACEを13%減少させ(HR 0.87、95%CI 0.82〜0.93)、この効果は両サブグループで一貫していた(メトホルミンの有無にかかわらず、それぞれHR 0.91、95%CI 0.85〜0.97、HR 0.80、95%CI 0.72〜0.90)。また、ベースラインにおけるメトホルミンの有無は、心血管死亡率および全死亡率に対するGLP-1 RAの全体的な良好な効果に影響を与えなかった。最後に、サブグループメタアナリシスでは、ベースラインでのメトホルミン使用の有無にかかわらず、GLP-1 RAは脳卒中、心筋梗塞、心不全による入院に対してニュートラルな効果を持つことが示唆された。

結論:サブグループ解析では、ベースラインでのメトホルミンの使用状況にかかわらず、GLP-1 RAによる治療は心血管アウトカムに有益な効果があることが示唆された。しかし、サブグループ解析の探索的な性質を考慮すると、これらの知見は決定的な証拠ではなく、仮説を生み出すものとして扱われるべきである。

キーワード 心血管アウトカム;GLP-1受容体作動薬;メトホルミン

引用文献

GLP-1 receptor agonists for cardiovascular outcomes with and without metformin. A systematic review and meta-analysis of cardiovascular outcomes trials
Apostolos Tsapas et al. PMID: 34144086 DOI: 10.1016/j.diabres.2021.108921
Diabetes Res Clin Pract. 2021 Jul;177:108921. doi: 10.1016/j.diabres.2021.108921. Epub 2021 Jun 15.
— 続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34144086/

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