骨粗鬆症におけるデノスマブ治療後のゾレドロン酸への切り替えによる治療効果はどのくらいですか?(小規模; open-RCT; J Bone Miner Res. 2021)

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骨粗鬆症治療における治療は何が良いのか?

骨粗鬆症は、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。 日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります(日本整形外科学会より)。

骨粗鬆症の治療において、国内の診療ガイドラインでは「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」の2015年改訂版が最新です。これによれば、ビスホスホネート系薬、抗RANKL抗体薬、そして副甲状腺ホルモン薬の有効性(骨密度の増加、椎体骨折の抑制、非椎体骨折の抑制、大腿骨近位部骨折の抑制)の高さが示されています。治療効果やコスト等を踏まえ、治療の中心としてビスホスホネート製剤が用いられています。しかし、同じ薬剤を生涯にわたって使用することは困難です。そのため、治療切り替えによる効果の検証が求められています。

近年、治療頻度の少ない薬剤が登場しています。抗RANKL抗体薬であるデノスマブ(プラリア®️)、そしてビスホスホネート系薬であるゾレドロン酸(リクラスト®️)です。プラリア®️は半年に1回投与、リクラスト®️は1年に1回です。これらの薬剤の切り替えについての検証は十分に行われていません。

そこで今回は、デノスマブからゾレドロン酸へ切り替えた際の治療効果について検証したランダム化比較試験の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

最後のデノスマブ投与から6ヵ月後(6M群)または9ヵ月後(9M群)にゾレドロン酸を投与するか、または骨代謝量が増加した時点でゾレドロン酸を投与した観察群の3群に割り付けられました。

患者58例が試験を完了した本試験の結果によれば、初回ゾレドロン酸投与の12ヵ月後から24ヵ月後までにおいて、腰椎の骨密度が維持されました。

腰椎の骨密度は、6M群で0.9±0.9%、9M群で0.4±0.8%、観察群で0.3±0.7%を維持しました(p>0.05、群間差なし)。

同様に、股関節と大腿骨頚部の骨密度も、2年目にはどのグループでも変化がありませんでした。

ベースラインからゾレドロン酸投与の24ヵ月後までに、腰椎の骨密度は、6M群で4.0±0.8%、9M群で4.1±0.8%、観察群で4.3±1.5%と、いずれも有意に減少しました(p<0.001、群間差なし)。

ゾレドロン酸投与の24ヵ月後には、6M群 n=12(60%)、9M群 n=7(37%)、観察群 n=10(53%)と、すべての群で有意な骨量減少(腰椎、股関節、大腿骨頚部)が認められました。

血漿C-テロペプチド(CTX)は2年目も変化しませんでした(p>0.05、群間差なし)。

2年目に再治療の対象となるCTXまたは骨折の基準を満たした患者はいませんでしたが、患者9例でBMDが5%以上減少したため、24ヵ月に再治療を受けました。2年目に患者2例が非椎体骨折を起こしました。

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この非盲検RCTでは、デノスマブ治療開始4.6±1.6年後に投与を中止した患者が対象となっています。これはデノスマブに限ったことではありませんが、骨粗鬆症治療における薬物治療は5年ごとに見直しを行う必要があります。これは、治療を5年以上継続することで骨折リスクが増加することが報告されているためです。

今回の試験では、デノスマブを長期投与した後にゾレドロン酸を投与していますが、1年目の骨代謝量の増加と骨量の減少を完全には防ぐことができませんでした。しかし、2年目にはCTXが基準範囲内に収まり、骨密度も維持されました。

非常に小規模な研究ではありますが、デノスマブ投与中止後のゾレドロン酸による治療は、骨代謝量が増加した時点で開始しても良いのかもしれません。またゾレドロン酸による治療効果を得るためには、治療開始前の骨密度を参考とすると、約2年ほどかかるようです。

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✅まとめ✅ デノスマブを長期投与した後にゾレドロン酸を投与する場合は、効果を得るまでに2年かかるかもしれない

根拠となった論文の抄録

目的:デノスマブ投与中止後、骨代謝が亢進し、骨量が急速に減少する。我々は、デノスマブ中止後の骨密度(BMD)維持におけるゾレドロン酸の長期的な有効性を検討した。

方法:このランダム化非盲検介入試験では、4.6±1.6年後にデノスマブの投与を中止した50歳以上の閉経後の女性および男性61例を対象とした。最後のデノスマブ投与から6ヵ月後(6M)または9ヵ月後(9M)にゾレドロン酸を投与するか、または骨代謝量が増加した時点でゾレドロン酸を投与した(観察群)。血漿C-テロペプチド(p-CTX)が1.26μg/L以上増加した場合、またはBMDが5%以上減少した場合に、ゾレドロン酸を再投与した。12ヵ月後の結果は既に発表されているが、ここでは24ヵ月後の結果を報告する(ClinicalTrials:NCT03087851)。

結果:患者58例が試験を完了した。初回ゾレドロン酸の12ヵ月後から24ヵ月後まで、腰椎(LS)のBMDは維持された。腰椎(LS)のBMDは、6M群、9M群、観察群で、それぞれ0.9±0.9%、0.4±0.8%、0.3±0.7%を維持した(p>0.05、群間差なし)。
同様に、股関節(TH)と大腿骨頚部(FN)のBMDも、2年目にはどのグループでも変化がなかった。ベースラインからZOLの24か月後までに、腰椎(LS)のBMDは、6M群、9M群、観察群の各群で、それぞれ4.0±0.8%、4.1±0.8%、4.3±1.5%減少した(p<0.001、群間差なし)。ゾレドロン酸の24ヵ月後には、6M群:n=12(60%)、9M群:n=7(37%)、観察群:n=10(53%)と、すべての群で有意な骨量減少(LS、TH、FN)が認められた。P-CTXは2年目も有意に変化しなかった(p>0.05、群間差なし)。
2年目に再治療の対象となるCTXまたは骨折の基準を満たした患者はいなかったが、患者9例でBMDが5%以上減少したため、24ヵ月に再治療を受けた。2年目に患者2例が非椎体骨折を起こした。

結論:デノスマブを長期投与した後にゾレドロン酸を投与しても、1年目の骨代謝量の増加と骨量の減少を完全には防ぐことができなかったが、2年目でCTXは基準範囲内に収まり、BMDも維持された。

引用文献

Treatment With Zoledronate Subsequent to Denosumab in Osteoporosis: A 2-Year Randomized Study
Anne Sophie Sølling et al.
J Bone Miner Res. 2021 Apr 4. doi: 10.1002/jbmr.4305. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33813753/

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