季節性アレルギー性鼻炎におけるコルチコステロイド点鼻の単剤投与および抗ヒスタミン薬+ロイコトリエン受容体拮抗薬の併用療法、どちらの効果が優れていますか?(クロスオーバー試験; Clin Exp Allergy. 2001)

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抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬との併用効果はどのくらいなのか?

発売当初からモンテルカスト(キプレス®️、シングレア®️)による鼻詰まり症状の改善効果が強調されています。しかし、実際の臨床症状の改善効果については不明でした。抗ヒスタミン薬は、鼻閉症状よりも鼻水症状を改善することが報告されていますが、セチリジン(ジルテック®️)を始めとする第二世代の抗ヒスタミン薬は、鼻水症状だけでなく鼻閉症状の改善効果も期待できることが報告されています。

モメタゾン(ナゾネックス®️)をはじめとするステロイド点鼻は、局所に作用することから内服薬と比較して副作用の発生する可能性が低く、アレルギー性鼻炎に用いられています。抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬も、アレルギー性鼻炎に用いられますが、それぞれの単独投与は、ステロイド点鼻と比較して、アレルギー症状に対する効果が劣ることが報告されています。しかし、抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬を併用した場合の効果については、明らかになっていません。

抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬との併用は、季節性アレルギー性鼻炎に有益な効果をもたらす可能性があります。

そこで今回は、抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬との併用と、ステロイド点鼻薬との比較を行った試験の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

季節性アレルギー性鼻炎患者22例を対象にしたクロスオーバー試験の結果によれば、モメタゾン点鼻群およびモンテルカスト/セチリジン併用群は、プラセボ群と比較して、家庭内でのピーク鼻流量(nasal flow, l/min)を有意に改善しました。

また、鼻詰まり、鼻の総症状については、両治療法ともに有意な改善が見られたが、有意差は認められませんでした。

モメタゾン点鼻モンテルカスト10mg
+
セチリジン 10mg
プラセボ
ピーク鼻流量(l/min)133(3.8)
P<0.05
124(3.8)
P<0.05
110(4.0)
鼻詰まり0.5(0.1)0.7(0.1)1.1(0.1)
鼻の総症状1.6(0.3)1.7(0.3)3.5(0.3)

コメント

モンテルカストとセチリジンの併用効果は、モメタゾン点鼻と同等の効果を示しました。個人的には意外な結果でした。本試験はやや小規模な検討結果であるため、結果の一般化可能性については、他の試験結果も参照する必要がありますが、点鼻が苦手な方には内服だけでも良いかもしれません。反対に、内服が面倒な方には点鼻だけを勧めてあげても良いのかもしれません。

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✅まとめ✅ 季節性アレルギー性鼻炎における治療効果の客観的および主観的測定において、モメタゾン経鼻投与とセチリジン+モンテルカスト経口投与が同等の効果を示した

根拠となった論文の抄録

背景:ロイコトリエン受容体拮抗薬と抗ヒスタミン薬の併用は、季節性アレルギー性鼻炎(SAR)に有益な効果をもたらす可能性がある。

目的:SARの治療において、経口メディエーター遮断薬の併用が、副腎皮質ステロイド経鼻投与による単剤治療と比較して有効か否かを明らかにすること。

方法:季節性アレルギー性鼻炎患者22例を対象に、(a)200μgのモメタゾンフロエート(MF)を1日1回経鼻投与する群、(b)モンテルカスト(10mg)経口剤とセチリジン(10mg)経口剤を1日1回投与する群(MON/CZ)に分けて2週間実施し、各投与期間の前に7~10日間のプラセボ期間を設けたプラセボ対照クロスオーバー試験を実施した。
症状と鼻水の量を毎日記録した。また、治療期間およびプラセボ期間終了後に、後鼻部測定法、音響鼻腔測定法、鼻腔内一酸化窒素測定法を実施した。

結果:MF(133(3.8))およびMON/CZ(124(3.8))は、プラセボ(110(4.0))と比較して、家庭内でのピーク鼻流量(nasal flow, l/min)を有意に改善した(P<0.05)。
また、鼻詰まり(単位)(PL:1.1(0.1)、MF:0.5(0.1)、MON/CZ:0.7(0.1))、鼻の総症状(単位)(PL:3.5(0.3)、MF:1.6(0.3)、MON/CZ:1.7(0.3))については、両治療法ともに有意な改善が見られたが、有意差は認められなかった。サイノメトリー、音響サイノメトリー、一酸化窒素については、プラセボ群と治療群間に有意な差はなかった。

結論:SARにおける治療効果の客観的および主観的測定において、モメタゾン単剤の経鼻投与とセチリジン+モンテルカスト経口投与が同等の効果を示した。
症状とピークフローの自宅での測定は、ライノメトリー、アコースティックライノメトリー、鼻腔内一酸化窒素の実験室での測定よりも感度が高かった。

引用文献

Effects of monotherapy with intra-nasal corticosteroid or combined oral histamine and leukotriene receptor antagonists in seasonal allergic rhinitis – PubMed
A M Wilson et al. PMID: 11167952
Clin Exp Allergy. 2001 Jan;31(1):61-8.
— 続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11167952/

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