閉経後ホルモン受容体陽性乳癌における第三世代アロマターゼ阻害剤とタモキシフェン、どちらが優れていますか?(Eur J Cancer. 2021; メタ解析)

woman in black tank top holding pink ribbon 13_悪性腫瘍
Photo by Anna Tarazevich on Pexels.com

閉経後ホルモン受容体陽性乳癌に対する一次内分泌療法には何が良いのか?

閉経後女性において、乳がんと診断された患者の約70%がホルモン受容体陽性(HR+)であり(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12408373/)、内分泌療法の候補となります。

閉経後HR+乳癌の術後標準治療において、以前はタモキシフェンが標準治療でしたが、第三世代アロマターゼ阻害薬との複数の比較試験の結果から、アロマターゼ阻害薬の優位性が示されています。

乳癌診療ガイドライン(http://jbcs.gr.jp/guidline/2018/index/yakubutu/y1-cq-2/)によれば、閉経後HR+乳癌に対する術後内分泌療法として、アロマターゼ阻害薬の投与が強く推奨されています。

推 奨
・アロマターゼ阻害薬の投与を強く推奨する。
〔推奨の強さ:1,エビデンスの強さ:強,合意率:100%(12/12)〕

この根拠を確認するために、2021年新たに報告された大規模臨床試験のメタ解析の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

RCT 4件、合計 2,296例の患者からデータが得られ、1,560例(68%)が閉経後HR+乳癌患者でした。

メタ解析の結果、レトロゾール試験を解析対象とした場合、タモキシフェン試験と比較して、より多くの患者が臨床的有用性(Clinical Benefit)を達成していました。
★OR 1.56、95%CI 1.29〜1.89; P<0.001

この結果は、レトロゾール試験のデータを除外した後も優位性が維持され、ほぼ同一でした。

無増悪生存期間(PFS)について、アロマターゼ阻害薬は、タモキシフェンと比較して有意に延長させました。
★HR 0.82、95%CI 0.71〜0.95; P<0.007

全生存期間(OS)については、アロマターゼ阻害薬とタモキシフェンの間で有意差はなく、★HR 1.05(95%CI 0.93〜1.20; P<0.43)でした。また、この結果は、レトロゾール試験のデータを除外しても同様でした。
★HR1.06、95%CI 0.87〜1.29; P<0.56

乳癌診療ガイドラインの推奨を支持する結果でした。現状では、閉経後HR+乳癌に対する一次内分泌療法にはアロマターゼ阻害薬、特に第三世代のアロマターゼ阻害薬を使用した方が良さそうです。ただし、患者によっては一次内分泌療法としてアロマターゼ阻害薬を使用できないケースもあ流ため、注意が必要です。

photo of gray cat looking up against black background

✅まとめ✅ 閉経後ホルモン受容体陽性乳癌に対する第三世代アロマターゼ阻害薬は、タモキシフェンと比較しPFSを有意に向上させたが、OSの改善には至らなかった

根拠となった論文の抄録

背景:閉経後の進行乳癌(advanced breast cancer, ABC)女性を対象に、アロマターゼ阻害剤(aromatase inhibitors, AIs)と選択的エストロゲン受容体モジュレーター(selective estrogen receptor modulator, SERM)であるタモキシフェンを比較したランダム化比較試験(randomised controlled trials, RCTs)4件が行われ、それぞれの試験で無増悪生存期間(progression-free survival, PFS)の有意な延長が報告されたが、全生存期間(overall survival, OS)に有意な差を示すものはなかった。これらの試験では、腫瘍の6.8%から55%がホルモン受容体(HR)の状態が不明または陰性であった。このメタアナリシスでは、比較対象をHR陽性(HR+)腫瘍に限定した。

方法:EORTC(エキセメスタン vs. タモキシフェン)、0027試験および0030試験(アナストロゾール vs. タモキシフェン)の3件のRCTsから匿名化された個々の患者データを入手した。残りのRCT(Femara Study PO25;レトロゾール vs. タモキシフェン)については、公表されたデータに加えて、HR+腫瘍患者について、臨床試験報告書からオッズ比(OR)またはハザード比(HzR)と信頼区間を取得した。合計で2,296例の患者からデータが得られ、1,560例(68%)がHR+ ABC患者であった。

所見:臨床的有用性のORは1.56(95%CI )で、AIsを支持した(p<0.001)。臨床効果の持続期間は、AIsによって有意に増加しなかった(HzR 0-88; p = 0.08)。PFSについては、HzR(0.82)はAIに有利であった(p = 0.007)。しかし、OSについては、HzR(1.05)はAIsとタモキシフェンの間に有意な差はなかった(p = 0.42)。

解釈:第三世代のAIsは、多くの患者を有意に「臨床的に有益」な状態にしたが、腫瘍のコントロール期間延長については有意ではなかった。全体的には、第三世代のAIsはPFSを有意に向上させたが、OSの改善には至らなかった。

引用文献

Meta-analyses of phase 3 randomised controlled trials of third generation aromatase inhibitors versus tamoxifen as first-line endocrine therapy in postmenopausal women with hormone receptor-positive advanced breast cancer
John F R Robertson et al. PMID: 33418233 DOI: 10.1016/j.ejca.2020.11.038
Eur J Cancer. 2021 Jan 5;145:19-28. doi: 10.1016/j.ejca.2020.11.038. Online ahead of print.

関連記事

【閉経後乳がん患者におけるアロマターゼ阻害薬アリミデックス®️の治療期間はどのくらいが良いですか?】

【HER2陽性乳がん患者におけるハーセプチン®️誘発心毒性はアーチスト®️やロンゲス®️で予防できますか?】

【進行性乳がんにおけるテセントリク®️+アブラキサン®️の効果はどのくらいですか?】

コメント

タイトルとURLをコピーしました