合併症を伴わない急性虫垂炎におけるモキシフロキサシン vs. ertapenem投与に続くレボフロキサシン+メトロニダゾール

medication pills isolated on yellow background 未分類
Photo by Anna Shvets on Pexels.com

急性虫垂炎に対する抗生物質は何が良いか?

急性虫垂炎に対して、当初は炎症を起こしている虫垂の切除手術が基本でしたが、近年では重症度により手術か物質物質を選択するのが主流になっています。

手術は患者への負担が大きいため、可能な限り抗生物質による治療が優先されますが、どの抗生物質を用いれば良いか明らかとなっていません。

モキシフロキサシン vs. ertapenem投与に続くレボフロキサシン+メトロニダゾール併用両方

今回の試験では、合併症を伴わない急性虫垂炎に対して、フルオロキノロン系抗菌剤であるモキシフロキサシン(7日間、経口)と、ペネム系抗菌剤であるertapenem(2日間、静注)投与後に、フルオロキノロン系抗菌剤であるレボフロキサシンとニトロイミダゾール系抗菌剤であるメトロニダゾール併用療法を比較しています。

その結果、主要アウトカムである治療成功*率(65%以上)は以下の通りでした;
・モキシフロキサシン:70.2%(片側95%CI 65.8% 〜 ∞)
・ertapenem→レボフロキサシン+メトロニダゾール併用:73.8%(片側95%CI 69.5%~∞)

両群ともに65%以上の治療成功率を示しましたので、主要エンドポイントを達成していますが、信頼区間の上限値が定まっていないため、モキシフロキサシン単剤治療は、ertapenem後のレボフロキサシン、メトロニダゾール併用療法に対して非劣性を示ませんでした。

群間差は -3.6%(片側95%CI -9.7%~∞、非劣性P=0.26)ですので、個人的にはそこまで差がないように捉えました。

治療コストは明らかにモキシフロキサシンの方が安価であり、かつertapenem静注による時間もかかりませんので、合併症がなく、そこまで炎症が強くない虫垂炎であれば、モキシフロキサシン単剤治療で充分ではないでしょうか。ここは解釈が分かれそうなところだと思います。

*治療成功:1年間の追跡期間中に手術をせずに退院し、虫垂炎を再発しなかったと定義

photo of gray cat looking up against black background

✅まとめ✅ 急性虫垂炎における経口抗生物質投与(治療成功率 70.2%)は、静脈内投与後に経口抗生物質を投与した場合(73.8%)と比較して、非劣性を示すことはできなかった

根拠となった論文の抄録

試験の重要性:抗生物質は、合併症を伴わない急性虫垂炎を管理するための盲腸切除術に代わる有効かつ安全な手段であるが、最適な抗生物質レジメンは知られていない。

目的:コンピュータ断層撮影(computed tomography, CT)で確認された合併症を伴わない急性虫垂炎の管理において、抗生物質の経口投与と静脈内投与後の抗生物質の併用を比較する。

デザイン、設定、参加者:Appendicitis Acuta(APPAC)II多施設共同、非盲検、非劣性ランダム化臨床試験は、2017年4月から2018年11月までフィンランドの9つの病院で実施された。本試験には、18~60歳でCTで確認された非合併性急性虫垂炎の患者599例が登録された。最終追跡日は2019年11月29日であった。

介入:経口単剤療法を受けるようにランダム化された患者(n = 295)は、モキシフロキサシン(400 mg/d)の経口投与を7日間受けた。静脈内抗生物質投与に続いて経口抗生物質投与を受けるようにランダム化された患者(n = 288)は、ertapenem(1 g/d)を2日間静注した後、レボフロキサシン(500 mg/d)とメトロニダゾール(500 mg/dを3回/日)を5日間経口投与した。

主要アウトカムと測定法:主要エンドポイントは両群の治療成功率(65%以上)であり、1年間の追跡期間中に手術をせずに退院し、虫垂炎を再発しなかったと定義し、経口抗生物質単独投与が静脈内抗生物質と経口抗生物質に比べて非劣性であるかどうかを判定し、差は6%のマージンで判定した。

結果:ランダム化された599例(平均[SD]年齢 36[12]歳、女性 263[44%])のうち、1年間の追跡調査では581例(99.7%)が利用可能であった。1年後の治療成功率は、経口抗生物質投与群で70.2%(片側95%CI 65.8%~∞)、静脈内投与群で73.8%(片側95%CI 69.5%~∞)であった。群間差は -3.6%([片側95%CI -9.7%~∞];非劣性はP=0.26)であり、信頼限界は非劣性マージンを超えていた。

結論および関連性:合併症を伴わない急性虫垂炎を有する成人において、モキシフロキサシンを7日間経口投与した場合、ertapenemを2日間静脈内投与した後、レボフロキサシンとメトロニダゾールを5日間投与した場合と比較して、両群とも65%以上の治療成功率を示したが、治療成功に対する経口抗生物質投与は、静脈内投与後に経口抗生物質を投与した場合と比較して、非劣性を示すことはできなかった。

引用文献

Effect of Oral Moxifloxacin vs Intravenous Ertapenem Plus Oral Levofloxacin for Treatment of Uncomplicated Acute Appendicitis: The APPAC II Randomized Clinical Trial – PubMed

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03236961; EudraCT Identifier: 2015-003633-10.
— Read on pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33427870/

関連記事

【抗生物質で風邪の重症化は防げますか?】

【マラウイの胸部陥凹を伴う肺炎小児に対するアモキシシリン使用は3日と5日どちらが良さそうですか?】

【セフェピム使用は死亡リスクを増加させますか?】

【大動脈瘤または大動脈解離のリスクは、感染症およびフルオロキノロンの使用と独立して関連していますか?】

【アジスロマイシン使用による心血管死亡との関連性はどのくらいですか?】

コメント

タイトルとURLをコピーしました