変形性膝関節症に対するノルトリプチリンの効果はどのくらいですか?

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変形性膝関節症に対するノルトリプチリンの効果を検証したランダム化比較試験が報告された

三環系抗うつ薬(TCA:tricyclic antidepressant)は、神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン(改訂第2版)において、第一選択薬として推奨されています。TCAは三級アミンと二級アミンに分類され、鎮痛効果は三級アミンTCAでやや高いことが報告されており、副作用に対する忍容性は二級アミン TCAの方が高いと報告されています。

ノルトリプチリンは二級アミンに分類されるTCAであり、神経障害性疼痛の治療に推奨されていますが、ノルトリプチリンは神経障害性疼痛に対して第一選択薬とはせず、他のTCAが無効であった場合に使用するよう同ガイドラインに記載されています。また変形性膝関節症に対するノルトリプチリンによる効果は不明です。

今回は、2021年に報告されたランダム化比較試験の結果をご紹介します。

本試験結果から明らかになったことは?

変形性膝関節症(膝OA)かつWOMACによる疼痛サブスケール(50点満点)で20点以上と評価された成人を対象に実施されたランダム化比較試験では、ノルトリプチリンまたはプラセボのいずれかが14週間投与されました。

その結果、14週目のベースライン調整平均WOMAC疼痛サブスケールスコアは、プラセボ群と比較してノルトリプチリン群で6.15(95%CI -0.26~12.6、p=0.06)ポイント低かったようです。

副次的アウトカム(機能、硬直、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイドおよび/またはパラセタモールの使用、参加者のグローバル評価、14週間後の副作用)における群間差は、プラセボ群と比較して、ノルトリプチリン群に有利でしたが、その差は小さく、臨床的に関連性があるとは考えられませんでした。

副作用においては、口渇(87% vs. 51%、P<0.001)、便秘(69% vs. 30%、P<0.001)、発汗(31% vs. 21%、P=0.033)が、ノルトリプチリン群でより多く報告されたとのこと。

膝OAに対するノルトリプチリンの鎮痛効果は、プラセボと比較して有意ではありませんでした。また予想通りではありますが、ノルトリプチリンで副作用が多いことも示されました。ただし、神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン(改訂第2版)によれば、神経障害性疼痛の治療目標は、鎮痛効果だけでなく、ADLおよびQOLの改善効果も加味されなければならないとされています。さらに、治療必要数(NNT)の基準として50%の疼痛緩和が設定されていますが、30%の疼痛緩和でもQOLに対して意義があることが示されていることから、NNTは実際の日常診療に即した絶対的な指標であるとはいえないことに留意するよう記載されています。副作用の指標であるNNHについても考え方は同様であることから、今回の試験結果のみで治療の良し悪しを判断することは困難です。

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✅まとめ✅ 4週目のWOMAC疼痛サブスケールスコアは、プラセボ群と比較してノルトリプチリン群で6.15ポイント低かったが、有意差はなかった。
副作用である口渇、便秘、発汗は、ノルトリプチリンでより多く報告された

日本ペインクリニック学会「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版」における神経障害性疼痛の治療推奨薬は?

神経障害性疼痛 薬物療法アルゴリズムによれば、推奨される治療薬は以下の通りです;

第一選択薬:プレガバリン、ガバペンチン
      デュロキセチン
      アミトリプチリン、ノルトリプチリン*、イミプラミン

第二選択薬:ワクシニアウィルス接種家兎炎症皮膚抽出液
      トラマドール

第三選択薬:オピオイド鎮痛薬
      (フェンタニル 、モルヒネ、オキシコドン、ブプレノルフィンなど)

*他のTCAが無効であった場合に使用

三環系抗うつ薬(TCA)の特徴は?

三環系抗うつ薬(TCA)は、有痛性糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、外傷性神経損傷後疼痛、中枢性脳卒中後疼痛、脊髄損傷後疼痛のような多岐にわたる末梢性・中枢性神経障害性疼痛に対する有意な鎮痛効果が RCT で示されています。

TCAによる鎮痛効果は、抗うつ作用とは無関係とされており、抗うつ作用を示すよりも低用量かつ短期間で鎮痛効果を示すことが明らかにされています。

主な鎮痛作用機序はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を介した下行性疼痛抑制系の活性化であり、一部NMDA受容体拮抗作用やNaチャネル遮断作用も関与していることが報告されています。副作用は、主に口渇、便秘などの抗コリン作用が問題となります。また心毒性にも注意が必要です。TCAは、他の抗うつ薬、抗てんかん薬と比較して優れたエビデンスがあり、また安価でもあることから費用対効果に優れています。

前述のガイドラインにおいて、ノルトリプチリンはアミトリプチリンの主な代謝産物であり、アミトリプチリンよりも副作用が少ないことが報告されています。複数のRCTで鎮痛効果が検討されていますが、研究によって有効性は異なっています。また、いずれのRCTも対象患者数が少なく、観察期間も短くエビデンスレベルは低いです。したがって、ノルトリプチリンは神経障害性疼痛に対して第一選択薬とはせず、他のTCAが無効であった場合に使用するよう同ガイドラインに記載されています。

根拠となった論文の抄録

背景:変形性膝関節症(OA)は慢性疼痛の一般的な原因である。現在市販されている鎮痛薬は効果が限られており、忍容性が低い場合がある。

目的:変形性膝関節症患者におけるノルトリプチリンの鎮痛効果を検討する。

試験デザインと設定:2群並行1:1二重盲検ランダム化プラセボ対照試験。参加者は整形外科外来、プライマリケア、および公共広告により募集した。

方法:変形性膝関節症を有し、痛みの評価が50点満点のWestern Ontario and McMaster University(WOMAC)疼痛サブスケールで20点以上と評価された成人を対象に、ノルトリプチリンまたは同一プラセボのいずれかを14週間投与するようランダム化した。
主要アウトカムは、WOMAC疼痛サブスケールを用いて測定した14週目の膝痛であった。
副次的アウトカムとして、機能、硬直、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイドおよび/またはパラセタモールの使用、参加者のグローバル評価、14週間後の副作用が含まれた。

結果:ランダム化参加者205例のうち、201例(98%)が14週目の追跡調査を完了した。14週目のベースライン調整平均WOMAC疼痛サブスケールスコアは、プラセボ群と比較してノルトリプチリン群で6.15ポイント低かった(95%CI -0.26~12.6、p=0.06)。副次的アウトカムにおける差は一般的にノルトリプチリン群に有利であったが、その差は小さく、臨床的に関連性があるとは考えられなかった。
口渇(87% vs. 51%、P<0.001)、便秘(69% vs. 30%、P<0.001)、発汗(31% vs. 21%、P=0.033)は、ノルトリプチリン服用者により多く報告された。

結論:本研究は、ノルトリプチリンが膝OA患者の疼痛を有意に軽減しないことを示唆している。副作用プロファイルは予想通りであった。

引用文献

Nortriptyline for pain in knee osteoarthritis in general practice: a double blind randomised controlled trial (NortIKA Study) – PubMed
This study suggests nortriptyline does not significantly reduce pain in people with knee OA. Adverse effect profile was as expected.
Br J Gen Pract. 2021 Feb 10; BJGP.2020.0797. PMID:33571950
doi: 10.3399/BJGP.2020.0797.10.3399/BJGP.2020.0797
—続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33571950/

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