COVID-19パンデミック禍のアルコール消毒剤の曝露は小児の眼障害の原因となりますか?

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アルコール消毒剤の曝露による眼の異常?

COVID-19パンデミックにより手指衛生の一環としてアルコール消毒剤が頻繁に使用されています。ショッピングセンターなど公共施設においてもアルコール消毒剤が設置されており、大人、子供に関わらず手指のアルコールを実施しています。アルコール消毒剤の設置位置は、子供の目線よりも高いことが多く、顔、特に眼への暴露が増加している可能性があります。アルコール消毒剤の眼曝露による眼関連障害の増加が懸念されます。

しかし、これまでCOVID-19渦におけるアルコールベースの手指消毒剤の使用増加による眼関連障害リスクを検討した報告はありません。

研究結果から明らかになったことは?

2020年4月1日~8月24日の間に、PCCデータベースで報告されたアルコールベースの手指消毒剤(alcohol-based hand sanitizers, ABHS)眼曝露の小児症例数は、2019年の同時期と比較して7倍多かったようです。

小児におけるABHS眼曝露
2020年 9.9% vs. 2019年 1.3%
差 8.6%、95%CI 7.4~9.9;P<0.001

公共の場で発生したABHS眼暴露の症例数は、2020年に増加しました。
5月 16.4%
8月 52.4%

同様に、ABHS眼曝露による眼科病院への入院も同時期に増加しました。
2020年 16例(うち男児10例、平均年齢 3.5 [SD1.4]歳) vs. 2019年 1例(16ヵ月齢の男児)

2019年の新型コロナウイルス感染症流行前と比較して、2020年の流行時において、小児におけるABHS眼曝露が増加していました。

アルコール消毒剤の設置位置によっては、手指消毒の際、小児眼へのアルコール消毒剤の暴露リスクが増加するかもしれません。大人が注意喚起し、子供に害が及ばないようにする必要があると考えます。

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✅まとめ✅ 新型コロナウイルス流行時の2020年において、2019年と比較し、アルコールベース手指消毒剤の小児眼暴露が増加していた

根拠となった論文の抄録

試験の重要性:コロナウイルス病2019(COVID-19)の大流行により、アルコールベースの手指消毒剤(alcohol-based hand sanitizers, ABHS)が公共の場で広く利用できるようになった。これは、特に小児において、意図しない眼球曝露の症例が増加しているかどうかを判断することを保証するものと思われる。

試験の目的:小児におけるABHSへの眼暴露の疫学的傾向を説明し、眼病変の重症度を報告すること。

試験デザイン、設定、および参加者:2020年4月1日から2020年8月24日までに実施されたレトロスペクティブな症例シリーズ。症例は、フランスの毒物管理センター(PCC)の全国データベースおよびフランスのパリにある小児眼科紹介病院から検索した。研究期間中に 18 歳未満の小児における化学物質への眼内曝露の症例をレビューした。ABHS曝露の症例も含まれている。

暴露:年齢、性別、曝露の状況、症状、初診時の上皮欠損の大きさ、発生から再上皮化までの時間、および医学的および/または外科的管理:以下のデータを収集した。

主要アウトカムおよび測定法:2020年4月~8月と2019年4月~8月の間の小児におけるABHSへの眼の曝露数の比較。

結果:2020年4月1日~8月24日の間に、PCCデータベースで報告されたABHS眼曝露の小児症例数は、2019年の同時期と比較して7倍多かった(2020年の小児眼曝露9.9% vs 2019年の1.3%;差 8.6%、95%CI 7.4~9.9;P<0.001)。公共の場で発生した症例数は、2020年に増加した(5月 16.4%→8月 52.4%)。同様に、ABHS曝露による眼科病院への入院も同時期に増加した(男児10例を含む2020年の16例;平均[SD]年齢 3.5[1.4]歳 vs 2019年の16カ月齢の男児1例)。そのうち8例は角膜および/または結膜潰瘍を呈し、6例では角膜表面の50%以上を侵していた。2例は羊膜移植を必要とした。

結論および関連性:これらのデータは、小児の集団においてABHSへの意図しない眼内曝露が増加している可能性を裏付けるものである。手指消毒に対する公衆の良好なコンプライアンスを維持するために、これらの知見は、保健当局がこれらの装置の安全な使用を確保し、子供に対する潜在的な危険性について親や介護者に警告すべきであることを支持するものである。

引用文献

Pediatric Eye Injuries by Hydroalcoholic Gel in the Context of the Coronavirus Disease 2019 Pandemic – PubMed
Gilles C Martin et al.
JAMA Ophthalmol. 2021 Jan 21;e206346. doi: 10.1001/jamaophthalmol.2020.6346. Online ahead of print.
PMID: 33475712 PMCID: PMC7821077 (available on 2022-01-21) DOI: 10.1001/jamaophthalmol.2020.6346
—続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33475712/

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