日本の北陸地方における家族性高コレステロール血症の発症率はどのくらいですか?(横断研究; Atherosclerosis. 2011)

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Molecular genetic epidemiology of homozygous familial hypercholesterolemia in the Hokuriku district of Japan

Hiroshi Mabuchi et al.

Atherosclerosis. 2011 Feb;214(2):404-7. 

doi: 10.1016/j.atherosclerosis.2010.11.005. Epub 2010 Nov 13.

PMID: 21146822

DOI: 10.1016/j.atherosclerosis.2010.11.005

目的

家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia, FH)は、FH遺伝子、すなわちLDL受容体(LDLR)、PCSK9、アポリポタンパクB(ApoB)遺伝子の変異によって引き起こされる。

ホモ接合型FH(ホモ-FH)の診断にDNA解析の有用性を評価し、日本の北陸地方におけるFHの頻度を調査した。

方法

ホモFH患者25例を募集した。

LDLR変異はInvader assay法を用いて同定した。

PCSK9の変異はPCR-SSCPと直接配列解析により検出した。

結果

・LDLR変異について、真正のホモ接合体15例、複合ヘテロ接合体10例を確認した。

・LDLRとPCSK9については3種類のダブルヘテロ接合体が確認された。ApoB変異によるFH患者は認められなかった。

・北陸地区におけるホモFHの発生率は1/171,167ヘテロFHの発生率は1/208であった。

結論

我々の観察は、ホモFHの診断におけるFH遺伝子解析の重要性を強調するものであり、北陸地方では非常に高い頻度でFHが発生していることを確認した。

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家族性高コレステロール血症(FH)とは?

家族性高コレステロール血症(FH)は、low density lipoprotein(LDL)受容体関連遺伝子の変異による遺伝性疾患です。高LDLコレステロール(LDL-C)血症、皮膚ならびに腱黄色腫、および早発性冠動脈硬化症を主徴とします。FHは常染色体優性遺伝形式をとります。

FHは遺伝的背景のない高コレステロール血症に比べてLDL-C増加の程度が著しく動脈硬化の進展は早く、それに伴う臓器障害の程度も強いため、動脈硬化性疾患の予防を目的としたLDL-C低下療法が重要です。日本においても近年、認知されてきた疾患です。

FHの発生頻度は?

FHは遺伝性疾患であるため、ヘテロ及びホモ接合体を呈します。FHのヘテロ接合体患者は500人に1人以上、ホモ接合体患者は100万人に1人以上の頻度で認められ、日本におけるFH患者総数は、25万人以上と推定されています(日本動脈硬化学会ホームページより:http://www.j-athero.org/specialist/fh_s.html

しかし、まだまだ充分には認知されていないと考えます。事実、家族性高コレステロール血症の診断率は1%未満であることが報告されており、診断率の低さは日本に限ったことではないようです(Eur Heart J. 2013; 34: 3478-3490.)。

本試験の結果から明らかになったことは?

日本の北陸地方におけるFH患者25例を対象とした本試験では、真正のホモ接合体は15例、複合ヘテロ接合体は10例であり、発生率としては、ホモFH 1/171,167、ヘテロFH 1/208でした。これまで報告されていた発生率よりは高いと考えられます。

以前の報告では、日本の大阪ではFH発生率が5.4%だったことが報告されています。その際、北陸地方での発生率は30%超であり、やはり北陸地方におけるFH発生率が高いようです。

✅まとめ✅ 日本の北陸地方におけるFH発生は、ホモFH 1/171,167、ヘテロFH 1/208であった

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