血清リンが正常なCKD患者の心血管イベントに対する炭酸ランタンの効果はどのくらいですか?(DB-RCT; IMPROVE-CKD; JASN 2020)

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A Randomized Trial on the Effect of Phosphate Reduction on Vascular End Points in CKD (IMPROVE-CKD)

IMPROVE-CKD Trial Investigators

JASN September 2020, ASN.2020040411;

DOI: https://doi.org/10.1681/ASN.2020040411

Clinical Trial registry name and registration number Australian Clinical Trials Registry, ACTRN12610000650099

背景

高リン酸血症は、線維芽細胞増殖因子23(FGF23)の増加、動脈石灰化、心血管死亡率と関連している。

リン酸塩低下薬がCKDにおける血管石灰化および動脈硬化に及ぼす影響は不明である。

方法

非カルシウム系リン酸塩結合剤の心血管系マーカーへの影響を評価するために、我々は多施設二重盲検試験を実施し、ステージ3bまたは4のCKDで血清リン酸塩が1.00mmol/L(3.10mg/dL)を超える患者278例を炭酸ランタン(ホスレノール®️)500mgまたはプラセボを1日3回、96週間ランダム割り付けされた。

主要アウトカムである頸動脈-大腿脈波伝播速度を線形混合効果モデルを用いて反復測定で解析した。

副次的アウトカムとして、腹部大動脈石灰化、ミネラル代謝の血清および尿中マーカーが含まれていた。

結果

・合計138例の参加者に炭酸ランタンが投与され、140例にプラセボが投与された(平均年齢 63.1歳、男性 69%、白人 64%)。

・平均eGFRは26.6mL/min/1.73m2であった。参加者の45%は糖尿病、32%は心血管疾患を有していた。

・平均血清リン酸塩は1.25mmol/L(3.87mg/dL)、平均脈波伝播速度は10.8m/s、ベースライン時の腹部大動脈石灰化は81.3%であった。

・96週時点では、脈波伝播速度は群間で有意差はなく、腹部大動脈石灰化、血清リン酸塩、副甲状腺ホルモン、FGF23、24時間尿中リン酸塩にも有意差はなかった。

・重篤な有害事象は、ランタンを処方された63例(46%)とプラセボを処方された66例(47%)で発生した。

・目標への登録は達成されなかったが、追加解析により、このことが主な所見に有意な影響を及ぼす可能性は低いことが示唆された。

結論

ステージ3b/4のCKD患者において、ランタンを96週間投与しても、プラセボと比較して動脈硬化や大動脈石灰化に影響はなかった。

これらの所見は、正常リン酸血症を有するCKD患者における心血管リスクを低下させるための腸管リン酸塩結合体の役割を支持するものではない。

コメント

高リン酸血症は、FGF23、動脈石灰化、心血管死亡率の増加と関連性ていることが報告されています。血清の無機リンの基準値については、施設により異なりますが、だいたい2.5〜5.0mg/dLです。

さて、本試験結果によれば、高リン血症治療剤である炭酸ランタンは、プラセボと比較して、96週時点の頸動脈-大腿脈波伝播速度は群間で有意差はありませんでした。さらに腹部大動脈石灰化、血清リン酸塩、副甲状腺ホルモン、FGF23、24時間尿中リン酸塩にも有意差はありませんでした。

そもそもベースラインの血清リン値は平均 1.25mmol/L(3.87mg/dL)であることから、当然といえば当然の結果です。血清リン値が高くなければ、高リン血症治療剤を使用する意義はなさそうです。しかし、研究としては重要な結果です。

アブストラクトの記載から、サンプルサイズがやや足りなかったことが試験の限界であると考えます。

少なくとも今のところ、高リン血症治療剤の予防投与の効果はなさそう。

✅まとめ✅ 血清リンが正常なCKD患者における炭酸ランタン投与は、プラセボと比較して、動脈硬化や大動脈石灰化に影響を与えなかった

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