Trial of Nemolizumab and Topical Agents for Atopic Dermatitis with Pruritus
Kenji Kabashima et al.
N Engl J Med. 2020 Jul 9;383(2):141-150. doi: 10.1056/NEJMoa1917006.
PMID: 32640132
Funded by Maruho; JapicCTI number, 173740.
背景
ネモネモリズマブは、アトピー性皮膚炎の掻痒症や炎症に関与するインターロイキン-31受容体Aに対するヒト化モノクローナル抗体である。
第2相試験において、ネモリズマブはアトピー性皮膚炎の重症度を軽減した。
方法
日本人のアトピー性皮膚炎で中等度から重度の掻痒症を有し、外用薬の効果が不十分な患者を対象に、16週目まで4週毎にネモリズマブ皮下投与(60mg)またはプラセボ投与した。患者を2:1の割合でランダムに割り付け、外用薬を併用して16週目まで投与した。
一次エンドポイントは、ベースラインから16週目までの掻痒症のvisual-analogue scale(VAS)スコア(範囲 0~100、スコアが高いほど掻痒症が悪化したことを示す)の平均変化率であった。
二次エンドポイントは、4週目までの掻痒症のVASスコアの変化の時間経過、Eczema Area and Severity Index(EASI)スコアの変化(範囲 0~72、スコアが高いほど重症度が高いことを示す)、Dermatology Life Quality Index(DLQI)のスコア(DLQI:範囲 0~30、日常生活への影響が大きいほど高いスコア)が4以下、不眠症重症度指数(ISI:範囲 0~28、重症度が高いほど高いスコア)が7点以下、および安全性。
結果
・合計143例の患者がネモリズマブ投与群とプラセボ投与群にランダム割り付けされた。
・ベースライン時の掻痒症のVASスコア中央値は75であった。16週目のVASスコアの平均変化率は、ネモリズマブ群で -42.8%、プラセボ群で -21.4%であった。
★差= -21.5%ポイント、95%信頼区間 -30.2~ -12.7;P<0.001
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・EASIスコアの平均変化率は、ネモリズマブ群で -45.9%、プラセボ群で -33.2%であった。DLQIスコアが4以下の患者の割合は、ネモリズマブ群で 40%、プラセボ群で 22%であり、ISIスコアが7以下の患者の割合は、それぞれ 55%、21%であった。注射関連反応の発現率は、ネモリズマブ群で 8%、プラセボ群で 3%であった。
結論
この16週間の試験では、アトピー性皮膚炎に対して外用薬に加えてネモリズマブの皮下投与を行ったところ、プラセボと外用薬を併用した場合に比べて掻痒症の減少が大きかった。
注射部位反応の発生率はプラセボよりもネモリズマブの方が高かった。ネモリズマブが持続的な効果を有し、アトピー性皮膚炎に対して安全であるかどうかを判断するためには、より長く、より大規模な試験が必要である。
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