Individualizing Risk Prediction for Positive COVID-19 Testing: Results From 11,672 Patients
Lara Jehi et al.
Chest. 2020 Jun 10;S0012-3692(20)31654-8. doi: 10.1016/j.chest.2020.05.580. Online ahead of print.
PMID: 32533957
PMCID: PMC7286244
DOI: 10.1016/j.chest.2020.05.580
背景
コロナウイルス感染症2019(COVID-19)が世界中を席巻している。
複数の症例が報告されているにもかかわらず、積極的に意思決定を調整するための実用的な知見が不足している。
研究課題
統計モデルはCOVID感染を正確に予測できるか?
研究デザインおよび方法
我々は、クリーブランド・クリニックでCOVID-19の検査を受けた全患者のプロスペクティブ・レジストリーを作成し、個別化されたリスク予測モデルを作成した。
ここでは、鼻腔または咽頭COVID-19検査陽性[COVID-19 (+)]の可能性に焦点を当てている。
最小絶対縮小選択演算子(LASSO)ロジスティック回帰アルゴリズムが構築され、モデルの交差検証されたコンコーダンス指数に寄与しない変数が削除された。
時間的および地理的に区別されたコホートでの外部検証の後、統計的予測モデルはノモグラムとして図示され、オンラインリスク計算機に展開された。
結果
・開発コホートでは818例(7.0%)のCOVID-19(+)を含む11,672例の患者が試験基準を満たし、検証コホートでは290例のCOVID-19(+)を含む2,295例の患者が試験基準を満たした。
・男性、アフリカ系アメリカ人、高齢の患者、COVID-19曝露が知られている患者はCOVID-19(+)のリスクが高かった。
・リスクは、肺炎球菌多糖体またはインフルエンザワクチンを接種している患者、またはメラトニン、パロキセチン、カルベジロールを服用している患者で減少した。
・我々のモデルは、良好な識別性(開発時のc-statistic=0.863;検証時のコホートでは0.840)と較正性を有していた。
・感度、特異度、負の予測値、正の予測値を異なる予測カットオフで提示した。
結果の解釈
COVID-19(+)検査の予測は可能であり、医療資源の方向付けに役立つ可能性がある。COVID-19感受性における年齢、人種、性別、社会経済的特徴の関連性を示し、薬剤再利用研究で同定された特定の一般的な予防接種と薬剤の潜在的な修飾的役割を示唆している。
コメント
COVID-19については、まだまだわからないことが多く、重症化と患者背景との関連性についても不明です。今回の研究は、米国オハイオ州にあるクリーブランド・クリニックからの報告です。有名どころですね。
さて、今回の試験結果によれば、COVID-19陽性リスクの高い因子として、男性、アフリカ系アメリカ人、高齢、COVID-19曝露が知られている患者が挙げられています。
またリスクを減少させる因子としては、肺炎球菌多糖体またはインフルエンザワクチン接種、メラトニン、パロキセチン、カルベジロールを服用している患者でした。
因果の逆転の可能性もあるため、COVID-19と上記の因子との関連性については本試験の結果だけで結論づけられませんが、重要な報告であると考えます。
開発時のc-statisticは0.863、検証時のコホートは0.840であるため、よく予測されたモデルであると考えられます。
続報を待ちたい。
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