Effectiveness and Safety of Glucocorticoids to Treat COVID-19: A Rapid Review and Meta-Analysis
Shuya Lu et al.
Ann Transl Med. 2020 May;8(10):627. doi: 10.21037/atm-20-3307.
PMID: 32566564
PMCID: PMC7290628
DOI: 10.21037/atm-20-3307
Keywords: Coronavirus disease 2019 (COVID-19); glucocorticoids; meta-analysis; rapid review.
背景
グルココルチコイドは、様々な肺炎症性疾患の治療に広く使用されているが、重大な副作用を伴うことも多い。公表されたガイドラインでは、エビデンスはまだ限られているものの、急速に進行するコロナウイルス疾患2019(COVID-19)患者に対しては、低用量かつ短時間の全身性グルココルチコイド療法が検討される可能性があると指摘されている。
方法
電子データベースを総合的に検索し、手動検索でスクリーニングを補完した。COVID-19、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)の小児および成人に対するグルココルチコイドの有効性と安全性を評価したランダム比較試験(RCT)およびコホート研究を含め、研究で明らかになった主要指標のメタアナリシスを実施した。
結果
・我々の検索では、RCT1件とコホート研究22件を含む研究23件を検索し、合計13,815例の患者を対象とした。
・成人のCOVID-19患者では、全身性グルココルチコイドの使用は死亡率[リスク比(RR)=2.00、95%信頼区間(CI)0.69~5.75、I2=90.9%]または肺炎の持続時間[加重平均差(WMD)=1日、95%CI -2.91~0.91]を減少させなかったが、発熱の持続時間(WMD=3.23日、95%CI -3.56~ -2.90)には有意な減少が認められた。
・SARS患者においても、グルココルチコイドは死亡率(RR=1.52、95%CI 0.89~2.60、I2=84.6%)、発熱期間(WMD=0.82日、95%CI -2.88~4.52、I2=97.9%)、または肺炎期間(WMD=0.95日、95%CI:-7.57~9.48、I2=94.6%)を低下させなかった。全身性グルココルチコイド療法の使用は、すべての患者で入院期間を延長した(COVID-19、SARS、MERS)。
結論
グルココルチコイド療法は、発熱の持続時間を短縮するが、死亡率、入院期間、肺炎は減少しないことがわかった。高用量のグルココルチコイドを長期使用すると、感染症などの有害反応のリスクが増加したため、COVID-19患者に対する全身性グルココルチコイドのルーチン使用を推奨することはできない。
コメント
強い炎症を引き起こすサイトカインストームにおいて、グルココルチコイドによる抗炎症作用が有効である可能性があります。
さて、今回の試験結果によれば、COVID-19患者に対する全身性グルココルチコイド療法は、発熱の持続時間を短縮したものの、死亡率および肺炎の持続時間を減少させませんでした。
ただし組み入れられた研究は、大半がコホート研究であり、またグルココルチコイドの用量および使用期間について、層別解析されていません。現行の診療ガイドライン(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32029004/など)において、グルココルチコイドの使用は低用量および短期間に留めるよう記載されています。
したがって、今後の研究では、グルココルチコイドの用量および使用期間の設定に注意が必要です。また対象は重度の感染症患者になると考えられますが、まだまだ情報が少なく検証が必要であると考えます。
続報を待ちます。
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