Acute Kidney Injury Events in Patients With Type 2 Diabetes Using SGLT2 Inhibitors Versus Other Glucose-Lowering Drugs: A Retrospective Cohort Study
Christie Rampersad et al.
American Journal of Kidney Diseases 2020
Published:May 24, 2020DOI:https://doi.org/10.1053/j.ajkd.2020.03.019
PMID: 未
論理的根拠と目的
ナトリウムグルコースコトランスポーター2(SGLT2)阻害薬は、慢性腎臓病の進行を遅らせ、心不全イベントを予防する。しかし、SGLT2 阻害薬は急性腎障害(AKI)のリスクを高める可能性がある。
我々の目的は、他のすべてのグルコース低下薬(other glucose lowering drugs, oGLD)と比較して、SGLT2阻害薬の使用がAKIの発生率の増加と関連しているかどうかを評価することであった。
試験デザイン
レトロスペクティブコホート研究。
試験設定と参加者
カナダのマニトバ州で、2014年6月から2017年3月まで追跡調査した2型糖尿病(T2DM)の成人。
曝露
州全体の外来処方データベースを介して確認されたSGLT2阻害薬またはoGLDの初期使用。
アウトカム
主要転帰は、血清クレアチニンの上昇および/または血糖降下剤服用中のAKIの退院コード(on-treatment approach)によって同定された偶発的なAKIであった。
分析的アプローチ
SGLT2阻害薬の偶発的使用者のグループとoGLDの使用者の1:1のマッチドセットを組み立てるために、傾向スコア分析を使用した。
AKIの発生率は、原因特異的ハザードモデルを用いて、一致したグループ間で比較した。感度解析では、曝露は薬剤開始後の追跡期間を通じて一定であると考えられた(intention-to-treatアプローチ)、または再発曝露を組み込んだ(新規ユーザーデザイン)。
結果
・SGLT2阻害薬使用者4,778例とoGLD使用者4,778例を比較したところ、主要アウトカムに差は認められなかった。
★HR =0.64、95%CI 0.40~1.03、p = 0.064
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・感度解析のいずれのセットにおいても、SGLT2阻害薬はAKIのリスク増加と関連していなかった。
試験の限界
薬剤の選択はAKIリスクに関連していた可能性があり、検査データは臨床で得られたものであり、有害事象報告の変化はFDAの警告に続いていた可能性がある。
個々のSGLT2阻害薬を比較するためのデータが不十分であった。
結論
oGLDと比較して、SGLT2阻害薬は、臨床集団ベースのコホートにおいてAKIのリスク増加との関連は認められなかった。
コメント
SGLT2阻害薬による急性腎障害リスクについて、以前から懸念されています。一方で、SGLT2阻害薬使用によるタンパク尿低下、いわゆる腎保護作用についても報告されています。
さて、研究結果によれば、SGLT2阻害薬の使用は、他の経口血糖降下薬の使用と比較して、血清クレアチニンの上昇あるいはAKIの発生に差は認められなかった(HR =0.64、95%CI 0.40~1.03、p = 0.064)。区間推定値としては、むしろ低下傾向。
ただし、後向きのコホート研究の結果であるため、あくまでも相関関係。前向きのコホート研究の結果とも比較した方が良いと考える。
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