COVID-19患者に対する標準治療へのヒドロキシクロロキン追加は死亡リスクを低下できますか?(SR&MA; J Neuroimmune Pharmacol. 2020)

COVID-19 新型コロナウイルス感染症

Does Adding of Hydroxychloroquine to the Standard Care Provide Any Benefit in Reducing the Mortality Among COVID-19 Patients?: A Systematic Review

Tejas K Patel et al.

J Neuroimmune Pharmacol. 2020 Jun 9;1-9. doi: 10.1007/s11481-020-09930-x. Online ahead of print.

PMID: 32519281

PMCID: PMC7280684

DOI: 10.1007/s11481-020-09930-x

背景

ヒドロキシクロロキンは、COVID-19患者に対する治療薬として、in vitroのエビデンスに基づいて使用が促進されてきた。

方法

COVID-19患者の死亡率に対するヒドロキシクロロキンの効果を評価したランダム化研究および観察研究を含むデータベースを検索した。

アウトカムはオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)で集計した。方法論の質を評価するためにROBINS-Iツールを用いた。

メタ解析はReview manager software version 5.3を用いて行った。

結果

・選択基準を満たした観察研究6件を同定した。

・すべての研究において、標準治療に追加でヒドロキシクロロキンを投与し、その効果を標準治療単独と比較した。プール解析では、ヒドロキシクロロキン投与群では参加者1,331例のうち251例が死亡、対照群では1,577例のうち363例の死亡が観察された。

・ヒドロキシクロロキン群と支持療法群では死亡イベントのオッズに差はなかった(random effect model)。

★OR=1.25、95%CI 0.65〜2.38;I2=80%

・同様の傾向は、中等度のバイアスリスクのある研究でも観察された(感度分析)。

★OR=0.95、95%CI 0.44〜2.06;I2=85%

・ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンで治療された患者では、支持療法単独よりも死亡率のオッズが有意に高かった(fixed effect model)。

★OR=2.34、95%CI 1.63〜3.34;I2=0%

・最近発表された研究のプール解析では、標準ケアにヒドロキシクロロキンを追加投与した場合、COVID-19患者の死亡率を減少させるための追加的な有益性は示唆されていない(下図)。

Graphical Abstract(本文より引用)

コメント

メタ解析において、結果を統合する際に用いられるモデルとして、fixed effect modelとrandom effect modelがあります。異質性が高いアウトカムの場合、random effect modelを用いるのが一般的ですが、異質性が高すぎる場合は統合しないのが一般的です。

さて、本試験結果によれば、COVID-19患者におけるヒドロキシクロロキン使用は、標準治療と比較して、死亡リスクに差がありませんでした(OR=1.25、95%CI 0.65〜2.38;I2=80%、random effect model)。これは感度分析の結果とも一致していましたが、いずれも異質性は高度です。

一方、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの併用療法では、標準治療(支持療法)と比較して、死亡率が高かったようです(OR=2.34、95%CI 1.63〜3.34;I2=0%、fixed effect model)。

これまでの研究結果も踏まえると、ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの併用療法を実施する意義はないと考えます。またヒドロキシクロロキン単独療法の効果について、本試験結果からはリスクとベネフィット、どちらに傾くのかは結論を出せません。しかし過去の報告において、副作用の発現率は、標準治療と比較して高頻度であることが示されています。したがって、現時点において、ヒドロキシクロロキン単独療法についても、COVID-19患者へ使用する意義はない(少ない)と考えます。

ヒドロキシクロロキンに比べて、クロロキンの研究報告は比較的少ないようですが、現時点において、どちらもCOVID-19患者への使用は推奨できないと考えられます。

クロロキン関連については、そろそろ臨床試験をしなくても良いのではないかと思います。

✅まとめ✅ COVID-19患者におけるヒドロキシクロロキン単独療法は、標準療法と比較して死亡リスクを増加させなかったが、アジスロマイシンとの併用療法では死亡リスクが有意に増加した

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