日本人の心不全患者における左心室駆出率は死亡リスクに影響しますか?(前向きコホート研究; JAMA Netw Open. 2020)

Mode of Death Among Japanese Adults With Heart Failure With Preserved, Midrange, and Reduced Ejection Fraction.

Kitai T et al.

JAMA Netw Open. 2020 May 1;3(5):e204296. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.4296.

PMID: 32379331

DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2020.4296

試験の重要性

集中的な治療にもかかわらず、急性代償性心不全(acute decompensated heart failure, ADHF)の入院患者は退院後の死亡リスクが高い。

駆出率低下型心不全(HFrEF)、駆出率中等度型心不全(HFmrEF)、駆出率温存型心不全(HFpEF)の患者における死亡の発生率とメカニズムの違いについては、限られたデータしか得られていない。

目的

ADHF患者における退院後死亡の発生率と様式を検討し、HFrEF、HFmrEF、HFpEF患者のリスクプロファイルを比較すること。

試験デザイン、設定、参加者

ADHFで入院した患者4,056人を対象とした前向きコホート研究では、2014年10月1日から2016年3月31日までに退院した患者3,717人のデータを解析した。

データ解析は、2019年4月1日から8月31日まで実施した。

曝露

退院後のADHF患者の死亡。

主要転帰と測定方法

左室駆出率(left ventricular ejection fraction, LVEF)サブグループ別の指標入院後の全死亡および退院後死亡原因。

結果

・合計3,717人の患者(平均[SD]年齢 77.7[12.0]歳;男性 2,049人[55.1%])が本研究に含まれた。ベースライン時の平均(SD)LVEFは46.4%(16.2%)であった。

・登録患者3,717人のうち、HFrEF(LVEF 40%未満)が1,383人(37.2%)、HFmrEF(LVEF 40%~49%)が703人(18.9%)、HFpEF(LVEF 50%以上)が1,631人(43.9%)に分類された。

・死亡率と死因は、指標入院からの退院後に評価した。追跡期間中央値は470日(四分位間値範囲357~649日)で、1年追跡率は96%であった。

・追跡期間中、全死亡は848例(22.8%)だった。

   HFrEF群 :298例[21.5%、95%CI 19.5%〜23.8%]

   HFmrEF群:158例[22.5%、95%CI 19.5%〜23.8%]

   HFpEF群:392例[24.0%、95%CI 22.0%〜26.2%;P=0.26]

・心血管死は523例(14.1%)に発生した。

   HFrEF群:203例[14.7%、95%CI 12.9%〜16.6%]

   HFmrEF群:97例[13.8%、95%CI 12.9%〜16.6%]

   HFpEF群:223例[13.7%、95%CI 12.1%~15.4%;P=0.71]

・心突然死は98例(2.6%)に発生した。

   HFrEF群:44例[3.2%、95%CI 12.9%~16.6%]

   HFmrEF群:14例[2.0%;95%CI、1.2%~3.3%]

   HFpEF群:40例[2.5%;95%CI、1.8%〜3.3%;p=0.23]

・死因リスクはサブタイプ間で同様であった。

結論と関連性

死亡様式は心不全のサブタイプ間で類似していた。本研究ではHFpEF患者における心臓突然死の発生率は無視できないほどであったことを考えると、この集団における高リスクのサブセットを特定するためのさらなる研究が必要であると思われる。

コメント

以前から心不全のサブタイプにより死因や死亡リスクに差がある可能性が示唆されてしました。

さて、本研究の結果からは、心不全サブタイプによる死亡(全死亡、心血管死、心突然死)リスクに大きな差は認められませんでした。あくまでも仮説生成的な結果ではありますが、少し意外でした。

ただ個々のサブタイプに対する治療方法において、HFpEFの死亡リスク低下への有効な治療法は今のところ示されていません。サブタイプ毎のリスクの特徴付け、および治療方法の確立が望まれます。

今後の研究に期待

✅まとめ✅ 心不全サブタイプによる死亡リスクに大きな差はなさそう

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