静脈血栓塞栓症予防のためのDOACの延長使用は有効ですか?(SR&MA; Am J Med. 2020)

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Contemporary Meta-Analysis of Extended Direct-Acting Oral Anticoagulant Thromboprophylaxis to Prevent Venous Thromboembolism

Vikas Bhalla et al.

Am J Med. 2020 Mar 6;S0002-9343(20)30158-3. doi: 10.1016/j.amjmed.2020.01.037. Online ahead of print.

PMID: 32151593

DOI: 10.1016/j.amjmed.2020.01.037

Keywords: Direct-acting oral anticoagulants; Medical illness hospitalization; Meta-analysis; Thromboprophylaxis.

背景

重症患者は、不動(immobilization)や炎症などの要因により、退院後も最大6週間は静脈血栓塞栓症のリスクを抱えたままである。

方法

我々は、退院後の静脈血栓塞栓症予防のための直接経口抗凝固療法(DOAC)の延長使用をプラセボと比較した第III相ランダム化比較試験のメタアナリシスおよび系統的レビューを行った。

結果

・主要評価項目(静脈血栓塞栓症と死亡率の複合値)はDOAC群373/13,099例(2.9%),プラセボ群477/13,309例(3.6%)で,オッズ比(OR)は0.79(95%信頼区間[CI] 0.69~0.91)であった。

・副次評価項目である非致死的症候性静脈血栓塞栓症は、DOAC群75/15,573例(0.48%)、プラセボ群120/15,599例(0.77%)に発現し、OR値は0.62(95%信頼区間 0.47~0.83)でした。

・安全性の主要アウトカム(大出血)は、DOAC群で90/15,474人(0.58%)、プラセボ群で47/15,418人(0.3%)に発生し、ORは1.92(95%CI 1.35〜2.73)でした。

・副次的安全性(臨床的に関連性のある非重篤な出血)のアウトカムは、DOAC群で333/15,474人(2.2%)、プラセボ群で191/15,418人(1.2%)に発生し、ORは1.75(95%CI 1.46〜2.1)であった。

・退院後の静脈血栓塞栓症予防薬の延長使用は、静脈血栓塞栓症イベントを減少させるが、出血リスクを増加させる結果となった。

・DOACの延長使用とプラセボの比較を行った我々の費用対効果分析では、DOAC群の優位性が示された。

結論

死亡率の利点と費用対効果を考えると、血栓予防の延長は静脈血栓塞栓症リスクを効率的に軽減するための有益な戦略である。

コメント

静脈血栓塞栓症の予防のための延長使用について、有効性・安全性を検討したシステマティックレビュー&メタ解析。組み入れられた研究数について、アブストラクトからは不明ですが、サンプルサイズは各群13,000例超と大規模。

さて、試験結果によると、静脈血栓塞栓症と死亡率の複合値はオッズ比 0.79(95%CI 0.69~0.91)であり、大出血はオッズ比 1.92(95%CI 1.35〜2.73)であり、ややリスクの方が大きように思いましたが、費用対効果分析では、DOAC群の優位性が示されています。どうやら退院後も最大6週間は静脈血栓塞栓症のリスクが高いようですので、その期間は予防的にDOACを使用した方が良いかもしれないですね。

✅まとめ✅ 血栓塞栓症予防のためのDOACの延長使用は費用対効果が高かった

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