Remdesivir for 5 or 10 Days in Patients with Severe Covid-19
Jason D. Goldman et al.
NEJM May 27, 2020
DOI: 10.1056/NEJMoa2015301
Funded by Gilead Sciences; GS-US-540-5773
ClinicalTrials.gov number, NCT04292899. opens in new tab.
PMID:未
背景
レムデシビルは、in vitroでは強力な抗ウイルス活性を有し、コロナウイルス疾患2019(Covid-19)の動物モデルでは有効性を有するRNAポリメラーゼ阻害剤である。
方法
SARS-CoV-2 感染が確認された入院患者を対象としたランダム化非盲検第 3 相試験を実施し、空気呼吸時の酸素飽和度が 94%以下であり、肺炎が放射線学的に認められた。
患者は1:1の割合でランダムに割り付けられ、レムデシビルの静脈内投与を5日間または10日間受けた。
すべての患者にレムデシビル200mgを1日目に投与し、それ以降は1日1回100mgを投与した。
主要エンドポイントは14日目の臨床状態であり、7段階の順序尺度で評価した。
結果
・合計397人の患者がランダム化を受けて治療を開始した(5日間群200人、10日間群197人)。
・治療期間の中央値は、5 日間群では 5 日間(5~5 日間)、10 日間群では 9 日間(5~10 日間)であった。
・ベースラインでは、10 日間投与群に割り付けられた患者は、5 日間投与群に割り付けられた患者に比べて臨床状態が有意に悪化した(P=0.02)。
・14日目までに、5日間群では64%、10日間群では54%の患者で、順序尺度で2ポイント以上の臨床的改善がみられた。
・ベースラインの臨床状態を調整した後の14日目の臨床状態の分布は、10日間群では5日間群と同様であった(P=0.14)。
・最も一般的な有害事象は、吐き気(患者の9%)、呼吸不全の悪化(8%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ値の上昇(7%)、便秘(7%)であった。
結論
機械的換気を必要としない重度のCovid-19患者において、我々の試験では、レムデシビルの5日間コースと10日間コースの間に有意な差は認められなかった。しかし、プラセボ対照がない場合、有益性の大きさを判断することはできない。
コメント
重度COVID-19患者におけるレムデシビルの治療期間を比較した試験。
5日間および10日間の治療コースを比較したところ、治療14日目の臨床状態の分布は同様とのこと。し14日目の臨床状態を7段階の順序尺度で評価したところ、5日間群では64%、10日間群では54%の患者で、順序尺度で2ポイント以上の臨床的改善が認められたようです。
しかし、著者も述べている通り、プラセボ対照群を設定していないため、レムデシビル治療の有益性の大きさを評価できません。また、試験デザインはオープンラベルであるため、バイアスが入る可能性を否定できません。
やはり新規の疾患に対する治療薬の有効性を測るには、プラセボ対照を設定する必要がありますね。
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