Presenting Characteristics, Comorbidities, and Outcomes Among 5700 Patients Hospitalized With COVID-19 in the New York City Area.
Richardson S et al.
JAMA. 2020 Apr 22. doi: 10.1001/jama.2020.6775.
PMID: 32320003
PMCID: PMC7177629 [Available on 2020-10-22]
試験の重要性
2019年に発生したコロナウイルス疾患(COVID-19)で入院を必要とする米国患者の特性と転帰を記述した情報は限られている。
目的
米国の医療システムに入院したCOVID-19患者の臨床的特徴と転帰を記述すること。
試験デザイン、設定、参加者
ノースウェルヘルスシステム内のニューヨーク市、ロングアイランド、ウェストチェスター郡の病院12施設に入院したCOVID-19患者の症例シリーズ。
この研究には、2020年3月1日から2020年4月4日までの間に順次入院したすべての患者が含まれており、これらの日付を含む。
暴露
入院を必要とする患者のうち、鼻咽頭サンプルのポリメラーゼ連鎖反応検査の陽性結果により、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)感染が確認されました。
主要アウトカムと測定方法
侵襲的機械換気、腎代替療法、死亡などの入院中の臨床転帰。
人口統計学、ベースラインの併存疾患、提示されたバイタルサイン、検査結果も収集した。
結果
・合計5,700人の患者が含まれた(年齢中央値63歳[52~75歳[IQR間値幅{IQR} 範囲 0~107歳]、女性39.7%)。
・併存疾患は高血圧(3,026例:56.6%)、肥満(1,737例:41.7%)、糖尿病(1,808例:33.8%)が最も多かった。
・トリアージ時の患者の30.7%が発熱、17.3%が24呼吸/分以上の呼吸数、27.8%が補助酸素の投与を受けていた。呼吸器ウイルス感染率は2.1%であった。試験終了時点で退院した患者または死亡した患者2,634例を対象にアウトカムを評価した。
・入院中、373 例(14.2%)(年齢中央値68歳[IQR 56~78歳]、女性33.5%)が集中治療室ケアを受け、320 例(12.2%)が侵襲的機械換気を受け、81 例(3.2%)が腎代替療法を受け、553 例(21%)が死亡した。
・機械的人工呼吸を必要とした患者の死亡率は88.1%であった。
・退院後の追跡期間中央値は4.4日間(IQR 2.2~9.3)であった。
・試験期間中に患者45人(2.2%)が再入院した。再入院までの期間の中央値は3日(IQR 1.0〜4.5)であった。
・研究の最終フォローアップ日に入院した患者3,066人(年齢中央値65歳[IQR 54~75歳])のうち、検閲時のフォローアップ期間の中央値は4.5日(IQR 2.4~8.1日)であった。
結論と関連性
この症例シリーズは、ニューヨーク市域で順次入院したCOVID-19患者における疾患の特徴と早期転帰を提供するものである。
コメント
COVID-19については、症例集積シリーズ研究が盛んに行われている印象。本試験では、ニューヨーク市域におけるCOVID-19患者5,700人について報告されています。
さて、試験結果によると、トリアージ時において患者の30.7%で発熱、17.3%が24呼吸/分以上の呼吸数、27.8%が補助酸素の投与を受けていたようです。機械的人工呼吸を必要とした患者の死亡率が88.1%と、かなり高い値ですね。一方、咳嗽については抄録だけでなく本文にも記載がありませんでした。
患者背景についてですが、併存疾患は高血圧(3,026例:56.6%)、肥満(1,737例:41.7%)、糖尿病(1,808例:33.8%)が最も多かったとのことですが、そもそも並存疾患として多いものばかりですので、COVID-19患者に多いという訳ではないと考えられます。他の並存疾患としては、一部抜粋;冠動脈疾患595例(11.1%)、うっ血性心不全371例(6.9%)、気管支喘息479例(9.0%)、慢性閉塞性肺疾患287例(5.4%)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群154例(2.9%)、慢性腎臓病268例(5.0%)。また抄録には記載がありませんが、喫煙の既往歴のない患者(never somoker)は全体の84.4%でした。
少しずつCOVID-19患者の背景が明らかになりつつありますが、他のウイルス感染症と、そこまで大きな違いはないように思われます。重症化しやすい患者における患者背景の把握が重要かもしれないですね。
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