転倒歴を有する高齢者ではどんな薬が原因となりそうですか?(SR; J Am Geriatr Soc. 2020)

Use of Fall Risk-Increasing Drugs Around a Fall-Related Injury in Older Adults: A Systematic Review

Laura A Hart et al.

J Am Geriatr Soc. 2020

Keywords: fall-related injury; medications; older adults; systematic review.

目的

(1)転倒関連傷害を有する高齢者における転倒リスク増加薬(fall risk-increasing drug; FRID)の使用率、(2)どのFRIDが最も頻繁に処方されたか、(3)転倒後にFRIDの使用が減少したかどうか 関連する医療エピソード、および(4)どの介入により転倒または転倒歴のある高齢者のFRID使用が減少したか、明らかにする。

試験設計

体系的なレビュー。

試験参加者

転倒を経験した60歳以上の参加者におけるFRIDの使用を評価(または介入)した観察および介入研究。

測定

PubMedとEMBASEは2019年6月30日まで検索された。2人のレビューアが独立してデータを抽出し、バイアスの研究を評価した。 矛盾はコンセンサスによって解決された。

結果

・文献638件のうち14件が選択基準を満たした:10件の観察研究と4件の介入研究。

・転倒による負傷時のFRID使用率は、65%から93%の範囲だった。

・抗うつ薬と鎮静剤-催眠薬は、最も一般的に処方されたFRIDだった。

・10件の観察研究のうち、転倒による傷害後のFRID使用の変化を捉えるのに適切なデザインを使用したのは2件だけで、どちらもFRID使用の減少はみられなかった。

・フォローアップ12ヵ月において、さまざまな設定(病院、救急科、地域薬局)で実施されたランダム化比較試験3件では、FRID使用を減らす介入による転倒の減少はみられなかったが、地域薬局の設定で行われた研究1件ではFRID削減効果が認められた。

・老人診療所で実施された非ランダム化(事前事後)介入研究では、介入群で転倒が減少した。

結論

限られた証拠は、転倒に関連した怪我を経験し、転倒に関連した医療の遭遇後の全体的なFRID使用の減少を経験していない高齢者の間でのFRID使用の高い有病率を示す。

FRIDの使用と転倒歴のある高齢者の転倒を減らすために、適切に設計された介入が必要である。独立した介入としてFRID使用を減らすことは、再発性の転倒を減らすのに効果的でない場合がある。

コメント

本研究結果によれば、転倒歴を有する高齢者で、FRIDとして抗うつ薬と鎮静剤-睡眠薬が一般的だった。他にどんな薬剤がFRIDとして含まれていたのかについて、アブストラクトからは不明。また本研究からだけでは、再転倒リスクと薬剤との因果関係は不明。

またFRIDを対象とした減薬介入はあまり効果を示せなかったようである。集められた研究のうち、FRID削減に有効だった介入研究は1件のみ。このような結果が得られた背景については、患者さんとのやりとりを想像すれば何となく理解できると思う。

薬で安定している患者に対し、FRIDに該当する薬剤なので中止しましょう、というような機械的なやり方では実現できないだろう。この部分はあくまでも私個人の考えである。

理由としては、過去の介入研究をみても、減薬及びこれに伴うコスト削減、死亡リスク低下、QOL向上等のポジティブな結果を得られているのは、丁寧な介入方法である。詳細は各論文を読んでみて欲しい。

✅まとめ✅ 転倒歴を有す高齢者における転倒リスク増加薬(FRID)は抗うつ薬や鎮静剤-睡眠剤が一般的だった

✅まとめ✅ FRID削減のための介入は単独で行っても効果がなさそう

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