Vitamin D and Calcium for the Prevention of Fracture: A Systematic Review and Meta-analysis.
Yao P et al.
JAMA Netw Open. 2019 Dec 2;2(12):e1917789.
doi: 10.1001/jamanetworkopen.2019.17789.
PMID: 31860103
DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2019.17789
試験の重要性
骨折の予防にはビタミンDとカルシウムのサプリメントが推奨されているが、以前のランダム化臨床試験(RCT)では矛盾する結果が報告されており、サプリメントの最適な投与量とレジメン、およびその全体的な有効性に関する不確実性がある。
目的
観察研究における25-ヒドロキシビタミンD(25 [OH] D)濃度の違いに伴う骨折リスク、およびRCTにおけるビタミンD単独またはカルシウムとの併用に伴う骨折リスクを評価する。
データソース
PubMed、EMBASE、Cochrane Library、およびその他のRCTデータベースは、データベースの開始から2018年12月31日まで検索された。検索は2018年7月から2018年12月の間に実行された。
研究選択
少なくとも骨折症例200に関連する観察研究、および少なくとも500人の参加者を登録し、偶発骨折10を報告したRCTが含まれていた。
ランダム化臨床試験では、ビタミンDまたはビタミンDとカルシウムをコントロールと比較した。
データ抽出と合成
2人の研究者が、システマティックレビューとメタ分析の優先報告項目(PRISMA)ガイドラインに従ってデータを個別に抽出し、バイアスの可能性を評価した。
レート比(RR)は、固定効果メタ分析を使用して推定された。データ抽出と合成は、2018年7月から2019年6月の間に行われた。
主なアウトカムと測定
骨折および股関節骨折。
結果
・観察研究 11件のメタ分析(参加者39,141、骨折6,278、股関節骨折2,367)で、25(OH)D濃度の10.0 ng / mL(すなわち25 nmol / L)の各増加は調整RRと関連していた。
★骨折:調整RR =0.93(95%CI 0.89-0.96)
★股関節骨折:調整RR =0.80(95%CI 0.75-0.86)
—-
・RCT 10件のメタ分析(参加者34,243、骨折2,843、股関節骨折740)で、ビタミンD補給のみ(毎日または断続的な400〜30,000 IUの投与量、8.4 ng/mLの25 [OH] D濃度の中央値差をもたらす)は、骨折(RR =1.06; 95%CI、0.98-1.14)または股関節骨折(RR =1.14; 95%CI 0.98-1.32)リスクの低下は認められなかったが、これらの試験はまれに断続的に制約された用量、ビタミンDの低用量、または試験参加者数の不足があった。
・対照的に、RCT6件のメタ解析(49,282人の参加者、骨折5,449、股関節骨折730)のメタ分析では、ビタミンD(400-800 IU/日、25 [OH] D濃度の中央値9.2 ng/mL)およびカルシウム(1,000-1,200 mg/日)により、骨折リスクが6%減少(RR =0.94; 95%CI 0.89-0.99)および股関節骨折リスクが16%減少(RR =0.84 ; 95%CI 0.72-0.97)した。
結論と関連性
本系統的レビューとメタ分析では、標準用量のビタミンD単独での間欠的または毎日の投与は骨折リスクの低下と関連しなかったが、ビタミンDとカルシウム両方の毎日の補給はより有望な戦略だった。
コメント
アブストのみ。
非活性型ビタミンD単独では骨折リスクが低下しないことは以前から報告されています。
これは機序として当然のことで、ビタミンD(正確には体内で活性化されたビタミンD)によりカルシウム利用率が増加して、骨密度増加、これにより理論的には骨折リスクの低下が期待できます。しかし、体内に利用可能なカルシウムがなければ意味がありません。
実は、骨粗鬆症の患者を対象とした臨床試験では、活性型ビタミンDなどの薬剤投与と同時期あるいは先行してカルシウム摂取を行っています。ちなみにテリパラチド(フォルテオ®️、テリボン®️)もカルシウムサプリメントを併用しています。
したがって、結論としては当然で、ビタミンDを使用する際はカルシウムを摂取すべきです。食事でカルシウム摂取しても良いですが、なかなか摂取量が足りないと思いますので、低価格かつ用量の多いサプリメントを摂取した方が早いです。
カルシウム併用については、活性型ビタミンDについても同様に、臨床試験実施時にはカルシウム併用されていますが、非活性型ビタミンDと比べるとそこまで積極的に摂取しなくても良い場合が多いです。特に腎機能の低下した方(高齢者など)は高カルシウム血症になりやすいため、検査値や体調(食欲不振、嘔気嘔吐、振戦など)をみながらカルシウム併用について検討した方が良いです。
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