長期透析中の心房細動患者における経口抗凝固薬の効果はどのくらいですか?(観察研究のSR&MA; JACC 2020)

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Oral Anticoagulation for Patients With Atrial Fibrillation on Long-Term Hemodialysis

Kuno T et al.

Journal of the American College of Cardiology

Volume 75, Issue 3, January 2020

DOI: 10.1016/j.jacc.2019.10.059

PMID: 未

背景

長期透析を受けている患者は、出血リスクが高くなる。脳卒中リスクを減らすため、心房細動(AF)には経口抗凝固薬(OAC)が推奨されているが、ランダム化試験ではこれらの集団が除外されている。そのため、透析中の患者におけるOACの正味の臨床的利点は不明である。

目的

本研究の目的は、長期透析中の心房細動患者のOACの有効性と安全性を調査することだった。

方法

長期透析中の心房細動患者における様々なOAC戦略の有効性と安全性を調査した研究のために、MEDLINEとEMBASEが2019年6月10日まで検索された。 有効性アウトカムは、虚血性脳卒中および/または全身性血栓塞栓症、全死亡率であり、安全性アウトカムは大出血だった。

結果

・本研究では、AFのある長期透析患者に関する適格な観察研究16件(N = 71,877)が特定された。

・研究16件の研究のうち2件のみがDOACを調査していた。

・ダビガトランとリバーロキサバンの結果は、主要な出血イベントに限定されていた。

・抗凝固薬なしと比較して、アピキサバンとワルファリンは、脳卒中および/または全身血栓塞栓症の有意な減少と関連していなかった。

★アピキサバン5 mg:ハザード比[HR] =0.59; 95%信頼区間[CI] 0.30〜1.17

★アピキサバン2.5 mg :HR =1.00; 95%CI 0.52〜1.93

★ワルファリン:HR =0.91; 95%CI 0.72〜1.16

—-

・アピキサバン5 mgは、死亡リスクが有意に低かった。

★ vs.ワルファリン:HR =0.65; 95%CI 0.45〜0.93

★ vs.アピキサバン2.5 mg:HR =0.62; 95%CI 0.42〜0.90

★ vs. 抗凝固剤なし:HR =0.61; 95%CI 0.41〜0.90

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・ワルファリンは、アピキサバン5mg/2.5mgおよび抗凝固剤なしよりも大出血のリスクが有意に高かった。

★ vs.アピキサバン5mg:HR =1.41; 95%CI 1.07〜1.88

★ vs.アピキサバン2.5mg:HR =1.40; 95%CI 1.07〜1.82

★ vs.抗凝固剤なし:HR =1.31; 95%CI 1.15〜1.50

・ダビガトランとリバロキサバンは、アピキサバンおよび抗凝固剤なしよりも重大な出血リスクが有意に高かった。

結論

本メタ分析では、OACが長期透析中のAF患者の血栓塞栓症リスク低下と関連していないことを示した。

ワルファリン、ダビガトラン、およびリバーロキサバンは、アピキサバンおよび抗凝固剤なしと比較して、有意に高い出血リスクと関連していた。

長期透析の心房細動患者におけるOACのベネフィットとリスクの比は、ランダム化臨床試験での検証を保証する。

コメント

観察研究のメタ解析。

長期透析中の心房細動患者では、経口抗凝固薬による脳卒中や全身血栓塞栓症リスクは、抗凝固薬未使用と比較して差がなかった。

死亡リスクや大出血リスクからみるとアピキサバン(エリキュース®️)5mgが良さそう。

ただし、あくまでも相関関係までしかわからない。著者も述べているようにRCTでの検証が待たれる。やや組み入れと除外の設定が難しそう。

続報に期待。

✅まとめ✅ 長期透析中の心房細動患者においてアピキサバン5mgはワルファリンやOACs未使用と比べて死亡リスクを減らすかもしれない

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