Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study.
Katagiri R et al.
BMJ. 2020 Jan 29;368:m34.
doi: 10.1136/bmj.m34.
PMID: 31996350
DOI: 10.1136/bmj.m34
目的
いくつかの大豆製品のタイプと全原因および特定の死亡率との関連を調査する。
試験設計
人口ベースのコホート研究
試験設定
日本公衆衛生センターに基づく前向き研究。日本の保健所11エリア(岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田)が含まれた。
試験参加者
45〜74歳の92,915人の参加者(42,750人の男性と50,165人の女性)。
除外1:がん、脳卒中、心筋梗塞の既往者
除外2:過度のアレルギー摂取者(<2.5 or >97.5パーセンタイル)
暴露
5年間の調査アンケートに基づく総大豆製品、発酵大豆製品(納豆と味噌)、非発酵大豆製品および豆腐の摂取量。
主なアウトカムの測定
すべての原因および特定の原因による死亡率(がん、心血管疾患、心臓病、脳血管疾患、呼吸器疾患、および傷害)は、居住者登録および死亡証明書から取得された。
結果
・14.8年間の追跡調査で、13,303人の死亡が確認された。多変数調整モデルでは、総大豆製品の摂取量は総死亡率と有意に関連していなかった。
・大豆製品の総摂取量の最低5分の1と比較して、最高5分の1のハザード比は、男性で0.98(95%信頼区間 0.91-1.06、Ptrend =0.43)、女性で0.98(0.89-1.08、Ptrend =0.46)だった。
・発酵大豆製品の摂取量は、男女ともに全死亡率と逆相関した。
★5分位の最高 vs. 最低:男性 0.90(0.83-0.97、Ptrend =0.05)、女性 0.89(0.80-0.98、Ptrend = 0.01)
—
・納豆は、男女ともに心血管疾患関連死亡率と有意かつ逆の関連性を示した。
結論
本研究では、発酵大豆の摂取量が多いほど、死亡リスクが低くなった。しかし、総大豆製品の摂取と全死亡との間に有意な関連性は観察されなかった。
発酵大豆製品の重要な関連性は、調整されていない残留交絡によって弱められる可能性があるため、調査結果は慎重に解釈する必要がある。
コメント
日本の国立がん研究センターからの報告。
大豆(Bacillus subtilisによる発酵大豆)1パックを毎日摂取する群(4分位のうちの最高摂取群)では、全く摂取しない群と比較して、死亡リスクが10〜11%低下した。この結果は感度分析でも一貫して認められた。
試験の限界としては、がん、脳卒中、心筋梗塞の既往者や過度のエネルギー摂取あるいは過少エネルギー摂取者が試験から除外されている点であると考えられる。つまり抗凝固薬(特にワルファリンには納豆厳禁)や抗血小板薬を服用している患者が省かれている可能性が高い。また観察研究であるため、あくまでも相関関係までしか結論づけられない。さらに言えば、日本の地域性も考えると今回の研究に参加していないエリアの人々への外挿は難しいかもしれない。
とは言え納豆を毎日1パック(約50g)を摂取して死亡リスクが低下するならば、コスパは良いのかもしれない。
コメント