Kangaroo Mother Care and Neonatal Outcomes: A Meta-analysis.
Boundy EO et al.
Pediatrics. 2016 Jan;137(1).
doi: 10.1542/peds.2015-2238. Epub 2015 Dec 23.
PMCID: PMC4702019
PMID: 26702029
環境
カンガルーマザーケア(Kangaroo mother care, KMC)は、早産児および低出生体重児の転帰を改善することを目的とした介入である。
目的
系統的レビューとメタ分析を実施して、KMCと新生児の転帰との関連を推定する。
データソース
PubMed、Embase、Web of Science、Scopus、African Index Medicus(AIM)、ラテンアメリカおよびカリブ海の健康科学情報システム(LILACS)、東地中海地域のIndex Medicus(IMEMR)、東南アジア地域のIndex Medicus( IMSEAR)、および西太平洋地域インデックスメディカス(WPRIM)。
研究選択
2014年4月までのランダム化試験と観察研究を含めて、出生時体重または妊娠年齢の乳児におけるKMCと新生児転帰の関係を調べた。 10人未満の参加者、KMCなしの比較グループの欠如、および定量的関連性を報告しない研究は除外された。
データ抽出
レビューア2人が研究デザイン、バイアスリスク、KMC介入、新生児転帰、相対リスク(RR)または平均差測定に関するデータを抽出した。
結果
・1,035件の研究がスクリーニングされ、そのうち124が選択基準を満たした。低体重新生児の中で、KMCは従来の治療と比較して36%低い死亡率と関連していた。
★RR =0.64; 95%[CI] 0.46〜0.89
—
・KMCは、新生児敗血症(RR =0.53; 95%CI 0.34〜0.83)、低体温(RR =0.22; 95%CI 0.12〜0.41)、低血糖(RR =0.12; 95%CI 0.05〜0.32)、および病院再入院(RR =0.42; 95%CI 0.23〜0.76)の減少、および排他的母乳育児の増加(RR =1.50; 95%CI 1.26〜1.78)が認められた。
・KMCを受けた新生児は、平均呼吸数と痛みの測定値が低く、酸素飽和度、体温、頭囲の成長が高かった。
試験の限界
KMCに関するデータの不足により、用量反応を評価する能力が制限された。
結論
KMCの実装を拡大するための介入が必要である。
コメント
アブストのみ。
カンガルーケアとは、生まれたばかりの赤ちゃんを裸のまま母親の乳房の間で抱っこするケア。正期産および早期産に大別される。基本的にカンガルーケアを必要とされる場面は、早期産の未熟児に対してである。
さて、カンガルーケアの実際の効果としては、死亡率の低下をはじめ様々なアウトカムの改善が認められた。一方で、ネガティブな結果は報告されにくいため、報告バイアスの可能性は否めない。また死亡リスク低下が認められたのは、2,000g未満の低体重新生児(研究15件の統合結果)であり、早期産すべての新生児に認められたわけではない。さらに本リスク低下は、RCTおよび調整後の観察研究の統合結果(研究11件の統合結果)では、RR =0.86 (0.59〜1.24)と効果推定値のキレが悪くなっている。それでも生後3〜12ヵ月後の死亡リスクは一貫して低下している。他のアウトカムを考慮しても、やはり新生児におけるカンガルーケアは効果がありそう。
✅まとめ✅ 新生児に対するカンガルーケアは通常ケアに比べて様々なアウトカムを改善する
参考文献
1: Boundy EO, Dastjerdi R, Spiegelman D, Fawzi WW, Missmer SA, Lieberman E, Kajeepeta S, Wall S, Chan GJ. Kangaroo Mother Care and Neonatal Outcomes: A Meta-analysis. Pediatrics. 2016 Jan;137(1). doi: 10.1542/peds.2015-2238. Epub 2015 Dec 23. Review. PubMed PMID: 26702029; PubMed Central PMCID: PMC4702019.
コメント
[…] 【新生児におけるカンガルーケアは敗血症や死亡リスクを低下できますか?】 […]