PCI後の抗血小板療法はどれが良いですか?(プラビックス®️倍量 vs. DAPT +プレタール®️ vs. 標準治療; 単施設のRCT; Circulation 2018; CREATIVE trial)

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Randomized Comparisons of Double-Dose Clopidogrel or Adjunctive Cilostazol Versus Standard Dual Antiplatelet in Patients With High Posttreatment Platelet Reactivity: Results of the CREATIVE Trial.

Yi-Da Tang et al. 
Circulation. 2018

【背景】

経皮的冠動脈インターベンションを受ける患者は、抗血小板薬に対して異なる治療反応性を示している。クロピドグレルに対する反応性が低い人は、心臓虚血イベントのリスクが高くなる。
本研究の目標は、経皮的冠動脈インターベンション治療後の患者において、強化抗血小板療法(二倍用量クロピドグレル[DOUBLE]または補助的シロスタゾール[TRIPLE])と従来の戦略(STANDARD)の安全性と有効性を直接比較することである。

【方法】

本単一施設のランダム化比較試験では、血小板機能検査であるトロンボエラストグラフィーを使用して、血栓リスクの高い経皮的冠動脈インターベンションを受けている患者1,078人を選択し、強化された抗血小板療法と標準的な抗血小板療法を比較した。
主要アウトカムは、経皮的冠動脈インターベンション後18ヶ月における主要かつ有害な心臓および脳血管イベント(MACE)の発生率であり、総死因、心筋梗塞、標的血管血行再建、または脳卒中の複合として定義された。
Bleeding Academic Research Consortiumは、出血の合併症(タイプ1、2、3、または5)を安全性エンドポイントと定義した。

【結果】

・主要エンドポイントは、標準グループで52人(14.4%)、Doubleグループで38人(10.6%)、Tripleグループで30人(8.5%)発生した。
★Double vs. 標準治療:ハザード比 =0.720; 95%信頼区間 0.474〜1.094
★Triple vs. 標準治療:ハザード比 =0.550; 95%信頼区間 0.349〜0.866

・Doubleグループ(標準治療の3.34%に対して1.93%、P =0.133)とTripleグループ(標準治療の2.53%に対して1.93%、P =0.240)で大出血率(Bleeding Academic Research Consortiumgrade≥3)に有意差は認められなかった。
・Bleeding Academic Research Consortiumで定義された軽度出血の割合は、Doubleグループで増加した(標準治療で20.3%、P =0.031)が、Tripleグループでは増加しなかった(23.6%、標準治療で20.3%、P =0.146)。

【結論】

トロンボエラストグラフィーで測定されるクロピドグレルに対する反応性が低い患者では、シロスタゾールの補助的使用による強化された抗血小板戦略は、大出血リスクを増加させることなく臨床転帰を有意に改善した。
クロピドグレルを2倍量投与した患者では、陰性転帰の減少傾向が観察できたが、差は有意ではなかった。


【コメント】

アブストのみ。
単施設RCTの結果ではあるが、クロピドグレルの反応性が低い患者では、2倍用量のクロピドグレルおよびシロスタゾールの併用が良いかもしれないとのこと。例数が少ないので結果が覆る可能性は充分にありますが、面白い結果だと思いました。ただし、トランボエラストグラフィーrotational thromboelastometryROTEMを使用する必要があります。
ちなみに、こちらについては診療報酬でも評価されており、検査料および判断料を算定できます。
そもそもROTEMは,血栓形成に伴う血液の粘弾性を測定する検査のようです。全血での血栓形成を測定できるため、血小板と凝固カスケードの相互作用が評価できる分析装置である、とのこと。ただしプロトロンビン時間や血小板数、血小板凝集能などのデータとは相関しないとのこと。

血液の粘弾性には、他の因子の関わりも大きいためでしょうか。少し解釈が難しいと感じましたが、遺伝子多形を調べなくて良いのは楽かも。

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