Chest. 2019 Nov;156(5):878-886.
doi: 10.1016/j.chest.2019.05.016. Epub 2019 Jun 12.
PMID: 31201784
【背景】
高血糖症、低血糖症、および血糖変動性に加えて、標的血糖範囲(targeted blood glucose range, TIR)の時間短縮は、重症患者の死亡リスク増加と関連している。
TIRと死亡率の間のこの関係は、糖尿病の状態と先行血糖管理によって混同される可能性がある。
【方法】
本研究では、複数の施設で同じIVインスリンプロトコルで管理されている重病患者を遡及的に分析した。
70〜139 mg / dLのTIR割合を計算した。糖尿病性ケトアシドーシスの患者、血糖値が10未満の患者、および入院を繰り返した患者は除外された。
過去3ヶ月または入院後1ヶ月までに記録された最高グリコシル化ヘモグロビン値を、患者の既存グルコースコントロールの代理として使用した。
年齢、性別、TIR≥80%、急性生理学スコア、およびチャールソン併存疾患指数の共変量を用いて、30日間の死亡率について層別回帰分析を実施した。
【結果】
・合計9,028人のうち、53.2%が糖尿病だった。TIRの中央値は、非糖尿病患者で84.1%、糖尿病患者で64.5%だった。
・TIRが80%以下の患者と比較して、TIRが80%超の患者における死亡率は低かった(12.4% vs. 19.2%; P <0.001)。
・TIRが80%超は、非糖尿病患者(OR =0.52; P <0.001)、糖尿病患者(OR =0.69; P = 0.001)、およびよく管理された疾患患者(OR =0.50; P <0.001)における死亡率減少の独立した因子であった。ただし、コントロール不良の患者ではそうではなかった(OR =0.86; P = 0.40)。
【結論】
TIRは、重症の患者、特に良好な先行血糖コントロールを有する患者の死亡率と独立して関連していた。
【コメント】
アブストのみ。
ICU重症患者における血糖コントロール幅は70〜139 mg/dLが良いのかもしれない。ただし本研究は後向き研究であるため、あくまで仮説生成的な検討である。とはいえ治療コントロールにおける1つの目安としては良いのかもしれない。
個人的には100〜139 mg/dLでの血糖コントロールの方が安心する。
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