非小細胞肺癌に対するタキソール®️ vs. パラプラチン®️の有効性と安全性はどのくらいですか?(メタ解析; Lung Cancer 2019)
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Efficacy and safety of first-line carboplatin-versus cisplatin-based chemotherapy for non-small cell lung cancer: A meta-analysis.
Griesinger F, et al.
Lung Cancer. 2019.
PMID: 31446995
【目的】
プラチナベースの化学療法は、進行非小細胞癌(Non-Small Cell Lung Cancer, NSCLC)の第一選択(First Line, 1L)療法の主力である。
本研究の目的は、1L NSCLCにおけるカルボプラチンベースの化学療法とシスプラチンベースの化学療法の相対的な有効性、安全性、および健康関連の生活の質(
health-related quality of life, HRQoL)を評価することだった。
【材料と方法】
Cochraneグループ(2013)によるメタ分析が更新された。 カルボプラチンおよびシスプラチンと併用されたゲムシタビン、ビノレルビン、ドセタキセル、パクリタキセル、イリノテカン、またはペメトレキセドの有効性および安全性を比較した2013年から2018年1月の間に公開されたランダム化比較試験(RCT)を含めるために、CENTRAL、Medline、Embase、ラテンアメリカおよびカリブ海の健康科学データベース、clinicaltrials.govおよび会議議事録の体系的な検索が行われて。
エンドポイントには、全生存期間(Overall Survival, OS)、1年間のOS、客観的反応率(
objective response rate, ORR)、グレード3/4の薬物関連毒性、およびHRQoLが含まれる。
【結果】
メタ分析に含めるために、4,139件のレコードから12個のRCT(2,048人の患者)が特定された。
シスプラチンベース vs. カルボプラチンベース療法のOS(ハザード比[HR] =1.08、95%信頼区間[CI] 0.96〜1.21)と1年OS(相対リスク[RR] =0.97、CI 0.89〜1.07)に有意差はなかった。
シスプラチンを支持するORRへの小さな影響が検出された(RR =0.88; CI 0.78〜0.99)。
血小板減少症、貧血、神経毒性、および吐き気/嘔吐のリスクに対するカルボプラチンとシスプラチンをベースとした化学療法との間で、薬物関連毒性の違いが観察された。 カルボプラチンとシスプラチンをベースにした化学療法の間でHRQoLを比較する3つのRCTでは、有意差は認められなかった。
【結論】
更新されたエビデンスベースにおいては、シスプラチンのORRにわずかな利点があるにもかかわらず、カルボプラチンとシスプラチンに基づく化学療法のOSに差がないことを示す以前のメタ分析の結果を裏付けることとなった。
治療の選択において、患者の併存疾患とともに毒性プロファイルを考慮する必要がある。
【コメント】
アブストのみ。
有効性にあまり違いは認められず、シスプラチン(タキソール®️)ベースの方が反応性の良さそうな患者が若干多い可能性が示唆された。一方、Grade 3/4の副作用については、特に血小板減少症(I
2 =68%)、神経毒性(I
2 =0%)、貧血(I
2 統計量なし;RCT 2件の統合であるため)については、タキソール®️の方が少なかったが、吐気や嘔吐あるいは両方(I
2 =54%)については、カルボプラチン(パラプラチン®️)の方が優れていた。
コストについては、パラプラチン®️(50 mg/5 mL/瓶:3,495円、100 mg/10 mL/瓶:9,706円、150 mg/15 mL/瓶:24,464円)は最大 400 mg/m
2で m
2あたり65318.9円、タキソール®️(30 mg/5 mL/瓶:5,497円、100 mg/16.7 mL/瓶:16,780円)は最大 210 mg/m2で m2あたり35,238円と、タキソール®️の方が安め。
となるとタキソール®️を選択した方が良いような気もする。続報を待ちたい。]]>
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