Hermans J et al.
BMC Musculoskelet Disord. 2019 May 7;20(1):196.
doi: 10.1186/s12891-019-2546-8.
TRIAL REGISTRATION: www.trialregister.nl , NTR1651, registered 2009-3-3.
PMID: 31064359
【試験背景】
高分子量(HMW)ヒアルロン酸(HA)は変形性膝関節症(Knee Osteoarthritis, Knee OA)の治療法の選択肢である。Knee OAにおけるHMW-HAの有効性は広く研究されているが、就労年齢患者における有効性は不明である。
それにもかかわらず、労働年齢におけるKnee OA患者の数は増加している。外科的治療の選択肢はこれらの患者にはあまり適格ではなく、生産性の損失は大きい。
本研究では、労働年齢の症候性膝関節症患者の52週間にわたる通常ケアと比較して、日常の臨床診療における通常の非外科的通常ケア(Usual Care, UC)に追加される関節内HMW-HAの有効性を調べた。
【方法】
この非盲検ランダム化対照試験では、症候性Knee OA(Kellgren and Lawrence I-III)の18〜65歳の被験者を登録し、3週間毎のHMW-HA(介入)またはUCのみ(対照)にランダム化した。
主要アウトカムは52週後のOMERACT-OARSI基準に従った治療に対するレスポンダーの群間差だった。これらの基準には、痛み、膝関連機能および患者の総合評価(patient’s global assessment, PGA)というドメインが含まれた。機能はKOOSアンケートで評価した。疼痛は数値評価尺度(the Numeric Rating Scal)で評価した。
二次的結果は、ランダム効果モデルで分析したところ、個々のレスポンダードメインにおける群間差を含んでいた。オッズ比(Odds Ratio, OR)はロジスティック回帰分析によって計算した。また感度分析についても実施した。
【結果】
・全部で156人の被験者が含まれた(介入群77、対照群79)。
・介入群(HMW-HA + UC)は、対照(UC)と比較してより頻繁に反応した(レスポンダーが多かった)。
・安静時の痛みまたは活動時の痛みがレスポンダードメインに含まれていたかどうかに応じて、57.1% vs. 34.2%(p =0.006)および54.5% vs. 34.2%(p =0.015)がそれぞれ治療に反応した。
・二次分析の結果は、すべての追跡調査期間にわたる個々のレスポンダードメインのスコアが、対照群に比べて介入群で統計的に優位であることを示していた。
安静時疼痛 :δ0.8, 95%CI 0.2 〜 1.4, p =0.010
膝関連関数 :δ-6.8, 95%CI -11.9 〜 -1.7, p =0.010
患者の総合評価:δ - 0.7, 95%CI -0.9 〜 - 0.4, p < 0.0001
【結論】
通常のケアに加え関節内HMW-HA投与は、労働年齢の変形性膝関節症(Knee OA)患者に効果的である。
【KEYWORDS】
Effectiveness; Hyaluronic acid; Knee osteoarthritis; Randomised controlled trial; Working age
【コメント】
アブストのみ。
高分子ヒアルロン酸の膝関節腔内投与は、働き盛りの変形性膝関節症患者における を改善した。KL-GradeのI〜IIIと幅広く組み入れているのにも関わらず、治療介入効果が認められたのは有意義な結果である。ただし、軟骨の減少度が重度、つまりKL-GradeがIII以上の患者では、ヒアルロン酸投与による有効性が乏しいことについて過去に報告されていた。
また関連する臨床試験の中では良い結果を示せた文献だが、強いて本試験の限界を示すとすれば、対照群に膝関節腔内注射はしておらず、そのためオープンラベル。より試験データの信頼性をあげるとすれば、生理食塩液あるいはヒアルロン酸と同程度の粘性を付加した生理食塩液を対照群に設定した方が良い。
続報を待ちたい。
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