Pijls NH et al.
N Engl J Med. 1996 Jun 27;334(26):1703-8.
PMID: 8637515
【指摘背景】
冠動脈虚血に対し経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Coronary Intervention, PCI)の適応となる要因の一つにFFR <0.75という基準がある。
FFR(fractional flow reserve)とは、日本語でいう冠血流予備量比のことで、冠動脈狭窄病変の重症度を測る指標である。
算出方法は、冠動脈狭窄病変の近位部 (Pa) と遠位部 (Pd) の冠動脈内の圧を測定し、以下の式を用いる。
FFR = Pd ÷ Pa
さて冒頭のFFR <0.75とは、通常の血管であった場合に得られる最大血流量の75%未満であることを意味している。なぜ75%をカットオフに設定しているのか?その根拠となった論文を紹介したい。
【論文の背景】
中程度の冠動脈狭窄症の臨床的意義を決定するのは困難な場合がある。心筋フラクショナルフローリザーブ(fractional flow reserve, FFR)は、冠動脈造影中に行われた圧力測定から計算される冠状動脈狭窄の機能的重症度の新しい指標である。この指数を、心筋虚血を検出するために一般的に使用される非侵襲的試験の結果と比較して、指数の有用性を決定した。
【方法】
中等度の冠状動脈狭窄と原因不明の胸痛を有する45人の患者において、自転車運動試験、タリウムシンチグラフィー、ドブタミンを用いたストレス心エコー検査、および定量的冠動脈造影を行い、その結果をFFRの測定値と比較した。
【結果】
FFR 0.75未満を有する患者21人において、可逆性心筋虚血が少なくとも1つの非侵襲的試験で明白に実証された。
冠血管形成術またはバイパス手術を実施した後、全ての陽性試験アウトカムは正常に戻った。
対照的に、FFR 0.75以上を有する患者24人のうち21人が、全ての非侵襲的試験において可逆的心筋虚血について陰性だった。これらの患者では血行再建術は実施されておらず、追跡調査14ヶ月間のうちに必要なものはなかった。
可逆性虚血の同定におけるFFRの感度は88%、特異度は100%、陽性適中率は100%、陰性適中率は88%、そして精度は93%であった。
【結論】
疾患の重症度が中程度の冠状動脈狭窄を有する患者において、FFRは狭窄の機能的重症度および冠状動脈血行再建術の必要性の有用な指標であるように思われる。
【コメント】
アブストのみ。
PCI実施の判断材料の一つとして、FFRは有用であった。
FFRの検査精度
精度は93%
感度 88%
特異度100%
陽性適中率100%
陰性適中率88%
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