糖化最終産物は糖尿病性血管合併症の予測因子となりますか?(Diabet Med. 2018)

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Accumulation of advanced glycation end products is associated with macrovascular events and glycaemic control with microvascular complications in Type 2 diabetes mellitus.

Yozgatli K, et al.
Diabet Med. 2018.

PMID: 29687658

目的

イギリスの前向き糖尿病(UKPDS)研究では、血糖コントロール(HbA1c)が2型糖尿病の血管合併症を予測できることを示された。糖尿病管理および合併症試験(DCCT)研究は、皮膚生検からの最終糖化産物(AGE)の蓄積が1型糖尿病における血管合併症を予測することを示した。 以前に、我々は組織のAGEが皮膚自己蛍光(SAF)を用いて非侵襲的に測定できることを示した。本研究の目的は、2型糖尿病患者における新しい大血管イベントおよび微小血管合併症に対するHbA1cとSAFの予測値を比較することだった。

方法

対象はオランダの5つの病院から参加した563人。年齢中央値64歳[四分位範囲(IQR)57-72]、糖尿病期間13年の前向きコホート研究を行った。

結果

追跡期間中央値5.1(IQR 4.3-5.9)年後に、79人(15%)の参加者が死亡し、49人(9%)が追跡調査に失敗した。 約133人(26%)が微小血管合併症を発症し、189人(37%)が大血管障害を発症した。 HbA1cの三分位は微小血管合併症の発症と有意に関連していた(ログランクP = 0.022)が、大血管事象とは関連していなかった。 SAFの三分位は、大血管イベントと有意に関連していた(ログランクP = 0.003)。 コックス回帰分析では、SAFが大血管イベントと関連していることを示した:単位増加あたりの未補正ハザード比(HR)1.53(P <0.001)、UKPDSスコアの補正後のHR 1.28(P = 0.03)。 HbA1cは微小血管合併症を予測した:UKPDSスコアの補正後、粗HR 1.20(P = 0.004)、HR 1.20(P = 0.004)。

結論

本研究において、SAF評価された組織AGE蓄積は、2型糖尿病患者の大血管イベント発症と関連していた。これに対し、HbA1cは微小血管合併症の発症と関連していることが示唆された。

コメント

アブストのみ。

HbA1c下げても大血管イベント発生を抑制できないことは過去の臨床試験の結果で明らかとなっていた。オランダで行われた本研究では、小規模ながら、先行研究を裏付ける結果となった。

動物実験の段階では、Advanced Glycation End-products(AGEs血管内皮細胞での一酸化窒素の産生抑制や強力な血管収縮物質であるエンドセリンの作用増強をもたらす等、いわゆる血管内皮機能低下を引き起こすことが示唆されていた(PMID: 22154739

しかし、現段階ではヒトでのAGEs測定方法は限られており、また測定できたところでAGEsを低下させる治療法は確立されていないため現場での有用性は低いと考えられる(なんせコストがかかる)

今後の研究に期待。

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