ランダム化比較試験の基になったのはミルクティーの味?(The Design of Experiments. 1935)#80

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Lady Tasting Tea

ランダム化比較試験って何ですか?

例えば薬剤効果とプラセボ効果をどのように区別したら良いだろうか?

端的に言えば、ある薬剤Xとプラセボを比較すれば良いのだが、いわゆるバイアスが生じやすい。
バイアスの中には、ヒトが排除できるものと出来ないものがある。特に未知の交絡因子は恣意的に排除出来ない。

そこで薬剤Xとプラセボをランダムに割付けることで、未知の交絡因子による影響を両群間で同等にし、介入による原因とアウトカムである結果の関係を検証しようとする方法が考案された。これがランダム化比較試験である(厳密にはコンシールメントや二重盲検、エンドポイント評価等、より信頼性の高いランダム化比較試験には条件がある)。

従ってランダム化比較試験の最大のメリットは交絡因子の排除にある。

ちなみに世界で一番最初に論文として世に認められたランダム化比較試験は、肺繊維症患者に対するストレプトマイシンの有効性検証試験(参考文献3)。

ミルクティーは紅茶が先かミルクが先か?

統計学者 Sir Ronald Aylmer Fisher1890217 – 1962729日)による因果関係検証は、ティー・パーティーに参加した婦人が「ミルクが先か、紅茶が先かでミルクティーの味は異なる」と発したが始まりのようです。

フィッシャーによる統計学的因果関係検証の方法は以下の通り;
①婦人の見ていないところで、8つの同一のカップを用意
4つのカップにランダムに紅茶が注がれた後ミルクが注がれた
③残りの4つのカップにミルクが最初に注がれた
その後、件の婦人は、紅茶またはミルクが最初に注がれたかどうかを、各カップごとに確認するよう求められた。

婦人が全て正解する確率は?

カップは8つあるが、実際に正しく当てれば良いのは4つである(ミルクが先のカップを4つ選べば残りの4つは紅茶が先になるため)。

従ってCombinationを利用すると、
 

  8C4 =8×7×6×5 /4×3×2×1 =70

組み合わせは全部で70通りこれを全て正解する確率は1.429%1つ1つを正答する確率は 0.391%

婦人は正解できたのか?

文献によると、どうやら婦人は8つ全てを言い当てたようです。驚くべき確率ですね
どうやらマグレではなく婦人の能力と結論しても問題なさそうです。
個人的に欲しい能力ではありませんがw

参考文献

  1. Fisher RA. The Design of Experiments. Oliver and Boyd, London. 1935. ISBN 0028446909, ISBN B0000CKL1X
  2. Unknown. “How to make a perfect cuppa: put milk in first”. The Guardian. Retrieved 30 December 2014.
  3. Marshall G et alSTREPTOMYCIN treatment of pulmonary tuberculosis. Br Med J. 1948 Oct 30;2(4582):769-82. PMID: 18890300

コメント

ランダム化比較試験はイギリスの統計学者フィッシャーが考案した因果関係検証の理論を基に実施された。フィッシャーの統計理論の発端となったのがアフタヌーン・ティー・パーティ中の婦人の何気ない発言。
結局どちらのミルクティーが美味しかったのだろうか?温度にもよるのかな?
 
 
 

-Evidence never tells you what to do-




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