Inagaki K et al.
J Pediatr. 2019 Aug 30. pii: S0022-3476(19)30962-X.
doi: 10.1016/j.jpeds.2019.07.054. [Epub ahead of print]
PMID: 31477383
【目的】
川崎病の頸部深部病変の発生率と危険因子について説明する。
【研究の設計】
2006年、2009年、2012年、および2016年に、Kids ‘Inpatient Databaseを使用して後向き分析を行った。川崎病および頸部深部病変の症例は、12歳未満の子供の国際疾病分類コードを使用して特定された。川崎病症例の人口統計学的および転帰データを、頸部深部病変の有無にかかわらず比較した。
【結果】
・川崎病の患者20,787人のうち、0.6%(130例)が頸部深部間隙を有していた。
・多変量解析では、4歳以上の子供(6〜11歳; OR =8.41, 95%CI 3.79〜18.7)、アジアまたは太平洋諸島(OR =3.72; 95%CI 1.90〜7.27)、非ヒスパニック系黒人の子供(OR =2.39; 95%CI 1.34〜4.28)、および北東病院地域(OR =2.32; 95%CI 1.21〜4.46)は、頸部深部の病変に関連していた。
・深部頸部腔病変を伴う患者の21.7%で外科的ドレナージが実施された。頸部深部への関与は、入院期間の延長と費用の増加に関連していた。
【結論】
川崎病患者の約0.6%が、米国で深部頸部病変に関与している。川崎病の頸部深部病変は、主に年長の(4歳以上)非白人、非ヒスパニック系の子供に発生する。
頸部深部の病変は、推定される膿瘍、入院期間の延長、および費用増のための手術手技に関連している。
深部頸部膿瘍が疑われる小児のケアにおいて、特に抗生物質に反応していない場合、臨床医は川崎病の可能性について小児を評価する必要がある。
【コメント】
アブストのみ。
非常に稀ではあるが、頸部深部間隙の膿腫が疑われる小児のケアにおいて、抗生物質に反応しない場合は川崎病の可能性があるとのこと。如何せん後向き研究であるため、鶏が先か卵が先か。
予測因子としては4歳以上、非白人、非ヒスパニックの子供とのこと。これもアメリカ在住のデータであることは念頭に置きたい。日本を含むアジア圏では0.6%を優に超えるかも知れない。あくまで仮説生成的な研究ではあるが、個人的には興味深い。
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