【批判的吟味】虚血性脳卒中患者におけるプレタール®️ベースDAPT治療にはバイアスピリン®️とプラビックス®️どちらが良さそうですか?(オープンラベルRCT; Lancet Neurology 2019)
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2019.05.23
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Dual antiplatelet therapy using cilostazol for secondary prevention in patients with high-risk ischaemic stroke in Japan: a multicentre, open-label, randomised controlled trial
Toyoda et al.
Lancet Neurology 2019
DOI:https://doi.org/10.1016/S1474-4422(19)30148-6
PMID: 未
Funding: Otsuka Pharmaceuticals
【研究の背景】
アスピリンとクロピドグレルによる二重抗血小板療法は虚血性脳卒中の早期再発を軽減するが、長期間の使用において、このタイプの療法はもはや効果がなくなり、出血のリスクが高まることが報告されている。
シロスタゾールがアスピリンと比較して重篤な出血リスクを増加させることなく脳卒中の再発を予防するという仮説を立て、シロスタゾールを含む二重抗血小板療法が安全で長期使用に適しているかどうかを確立することを目指し試験を行った。
【方法】
・日本の292病院にわたる多施設共同・オープンラベル・ランダム化対照試験では、MRIで同定された高リスク非心塞栓性虚血性脳卒中患者を1:1の比率で2群にランダムに割り付け、まず経口アスピリンによる単独療法を受けた。 その後、各群で治療を開始した。
①経口アスピリン(81または100 mg、1日1回あるいはクロピドグレル(50または75 mg、1日1回)
②シロスタゾール(100 mg、1日2回)とアスピリンまたは(シロスタゾールと)クロピドグレルとの併用。
・ランダム化は、ウェブベースの登録システムを介して集中的に行われ(参加している各病院につきブロックサイズ6のブロックランダム化を用いて)、EPS Corporationによって行われた。
・試験対象は、重篤な頭蓋内または頭蓋外動脈の少なくとも50%の狭窄、または2つ以上の血管危険因子を有する脳卒中既往の患者。
・治験薬は半年以上、最長3・5年間投与された。
・主な有効性アウトカムは、症候性虚血性脳卒中の最初の再発率だった(つまり同患者における脳卒中の再発を何度もカウントしないということ)。
・安全性アウトカムは、重症または生命を脅かす出血、あらゆる有害事象、重篤な有害事象、そしてあらゆる出血イベントだった。
・有効性分析は治療意図集団で行われ、安全性分析は治療直後集団で行われた。
【調査結果】
・参加者は、2013年12月13日から2017年3月31日まで募集された。二剤併用療法グループに割り当てられた932人の患者および単独療法グループに割り当てられた947人の患者が、治療意図分析(Intention to treat, ITT)に含まれた。
・試験募集の遅れのため、当初予想された4,000人のうち1,884人の患者を登録の後に試験は中止された。
・1.4年間の追跡調査中、虚血性脳卒中は、シロスタゾールを含む二剤併用療法を受けた932人の患者(年率2・2%)の29(3%)および単剤療法を受けた患者947人(年率4・5%)の64(7%)で再発した。
ハザード比[HR] =0.49, 95%CI 0.31〜0.76, p =0.0010
・重症または致命的な出血は、二剤併用療法で8人の患者(年率0・6%)および単独療法で13人の患者(年率0・9%)で発生した。
HR 0.66, 95%CI 0.27〜1.60, p=0.35
・全ての有害事象の発生は、グループ間で同様であった。
二剤併用療法グループの910人のうち255 人[28%] vs. 単独療法グループの921人のうち219 人[24%]
・重篤な有害事象(87 [10%] vs. 142 [15%])および出血事象(38 [4%] vs. 33 [4%])の発生は同様であった。
・単独療法群の910人のうち9人(<1%)および二重療法群の921人のうち9人(<1%)の出血については、消化管出血が最も一般的なタイプの出血であった。
【結果の解釈】
再発性虚血性脳卒中のハイリスク患者において、シロスタゾールでの治療にアスピリンまたはクロピドグレルを併用した場合、虚血性脳卒中の再発率の低下を示した。
アスピリンあるいはクロピドグレル単独による治療と比較した場合、重症または致命的な出血リスクはシロスタゾールを併用しても同様であった。
【コメント】
アブストのみ(全文読みたい論文でした)。
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PICOTS
P: 重篤な頭蓋内または頭蓋外動脈の少なくとも50%の狭窄、または2つ以上の血管危険因子を有する脳卒中既往の患者
I : 経口アスピリン(81または100 mg、1日1回あるいはクロピドグレル(50または75 mg、1日1回)
C: シロスタゾール(100 mg、1日2回)とアスピリンまたは(シロスタゾールと)クロピドグレルとの併用
O: 有効性アウトカム — 症候性虚血性脳卒中の最初の再発率だった
・安全性アウトカム — 重症または生命を脅かす出血、あらゆる有害事象、重篤な有害事象、そしてあらゆる出血イベント
T: オープンラベル、ランダム化比較試験、有効性検討
S: 日本の292施設
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簡単に批判的吟味すると、
・サンプルサイズ:🔺(主要アウトカム評価に必要なサンプル数が4,000例だとすると❌)
・コンシールメント:⭕️
・ブラインドあるいはマスキング :❌
・アウトカム評価:🔺(オープンラベルなためアウトカム評価は外部機関が行った方がよりバイアスリスクが下がる。しかし抄録からは判断できず)
・ランダム化 :やや⭕️(抄録からだけではブロックランダム化の詳細な方法が不明。外部機関が行なっているため問題は少ないと考えられる)
・ITT解析:⭕️
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日本の多施設共同試験、貴重な報告だと思い
ました。ただ気になる点がいくつかありモヤモヤ。
以下、個人的に気になった点:
・メインの資金供与が大塚製薬のみ。
・介入をアスピリンあるいはクロピドグレルと群内で混合しているが、解析は別々に行った。
・おそらくサンプルサイズ不足。
・試験早期中止のため結果を過大評価しやすい。
・主要アウトカムの評価の妥当性が不明(全文読ませてください🙇♂️)]]>
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