薬局での「おもてなし」手法が外国人患者の理解を深める?(RCT; Int J Clin Pharm. 2024)

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グローバル化がもたらす薬局での課題

グローバル化が進む中で、外国人患者や観光客が薬局を訪れる機会が増加しています。
その一方で、言語の壁が薬剤師の服薬指導を困難にするケースが多発しており、適切な情報提供ができないことが患者の安全を脅かす要因となっています。

本研究では、外国人患者への薬剤情報提供を改善するための「OMOTENASHI手法」の効果を検証しました。

OMOTENASHI法とは、多言語で記載されたツールやイラストを活用し、薬の効果や副作用を視覚的に示し、理解を確認する方法です。
従来の服薬指導法(CMC:Conventional Medication Counseling)と比較して、理解度や満足度の向上を目指しています。

試験結果から明らかになったことは?

試験デザインと対象

項目内容
研究デザインランダム化比較試験
対象者日本語非母語話者の外国人患者71名
群分けOMOTENASHI法(36名) vs. CMC法(35名)
評価項目理解度(薬剤名、効果、副作用、注意点、対処法)、満足度
使用ツール多言語表記カード、イラスト(OMOTENASHI法)

主な結果

評価項目OMOTENASHI法CMC法P値
理解度(全体)75%38%0.002
理解向上の要因薬剤名、効果、副作用、注意点、副作用発生時の対処法
  • OMOTENASHI法群では理解度が75%と有意に高く、特に薬剤名、効果、副作用、注意点、対処法の項目で顕著に改善が見られました。
  • 一方、従来のCMC法群では理解度が38%にとどまりました。

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実臨床での意義

外国人患者が増加する現代社会において、言語の壁を乗り越えた薬剤情報提供法の確立が求められています。
特に、副作用や対処法を正しく理解できないことが健康リスクにつながるため、OMOTENASHI法のように、視覚的サポートを重視した手法が有効です。

OMOTENASHI手法の特長

  • 視覚的補完:多言語とイラストを併用し、理解を助ける
  • 双方向確認:患者の理解度をその場で確認でき、誤解を防ぐ
  • 満足度向上:言語が異なる環境でも安心感が得られる

今後の課題

  • 他国での汎用性検証:異文化環境での適応が可能かを評価
  • 他疾患での活用:慢性疾患や特殊療法での応用が期待される
  • コスト評価:多言語ツール作成や導入コストの課題も解決が必要
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✅まとめ✅ ランダム化比較試験の結果、OMOTENASHIは、非母語患者に重要な情報を提供するのに役立つツールであるかのうせいが示唆された。

根拠となった試験の抄録(日本語訳)

目的:グローバル化の進展に伴い、現地薬局を訪れる外国人患者や観光客の数が急増しており、言語や社会的な問題が発生している。本研究の目的は、外国人患者への服薬指導において、従来の薬剤カウンセリング法(CMC)に加えて、独自の「OMOTENASHI法」を使用することで、理解度および満足度が向上するかを比較することである。

方法:OMOTENASHI法は、多言語で記載されたツールとイラストを用い、効果や副作用を視覚的に示し、患者の理解を確認する手法である。
日本語を母語としない71名の患者を対象とし、ランダムにOMOTENASHI法群とCMC法群に1:1で割り付けた。
主要評価項目として、理解度と満足度を評価した。

結果:全体の理解度は、OMOTENASHI法群が**75%であり、CMC法群の38%**より有意に高かった(P = 0.002)。
特に、薬剤名、効果、副作用、注意点、副作用発生時の対処法について、OMOTENASHI法群での理解度が著しく高かった。
これらの結果から、OMOTENASHI法は、非母語話者への基本情報提供において有用であると考えられる。

結論:OMOTENASHI法は、外国人患者への重要な情報提供に役立ち、言語の壁がある環境でも安全で効果的な薬剤カウンセリングが実現できる。

実践的意義:グローバル化が進む現代社会において、言語が異なる患者の安全と利益を確保し、不利益を回避するための取り組みが必要であることが示された。

キーワード: コミュニティ薬局、言語の壁、服薬カウンセリング、薬剤師。

引用文献

The OMOTENASHI Method for Enhancing Medication Counseling for Non-Native-Speaking Patients in Community Pharmacies
Suzuki S, Kato ET, Sato K, et al.
PMID: 34059363
Int J Clin Pharm. 2024 Mar;46(3):417-424. doi:10.1007/s11096-024-01345-7
ー 続きを読む:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34059363/

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