成人における食事からのビタミンC摂取と片頭痛との関連性は?(横断研究; J Hum Nutr Diet. 2024)

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ビタミンCの摂取量により片頭痛の発生リスクは異なるのか?

これまでの研究で、ビタミンCは片頭痛の発生や強さを減少させる可能性があることが示されていますが、サンプル数が少ないためエビデンスは限られています。

そこで今回は、一般集団における食事からのビタミンC摂取と片頭痛との関連性の大きさを明らかにすることを目的に実施された横断研究の結果をご紹介します。

この横断研究では、1999年から2004年にかけて実施されたNational Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)のデータが利用されました。過去3ヵ月間に激しい頭痛または片頭痛を経験した参加者が片頭痛経験者と分類されました。

食事からのビタミンC摂取量は、24時間食事リコールシステムを用いて評価されました。食事からのビタミンC摂取量と片頭痛との関連を評価するために、ロジスティック回帰モデル、制限付き三次スプライン(RCS)回帰、層別解析が用いられました。

試験結果から明らかになったことは?

本研究には4,101人が参加し、そのうち702人(17.12%)が片頭痛を経験しました。

オッズ比 OR
(95%CI)
食事性ビタミンC摂取と片頭痛の発生リスクOR 0.89
0.83~0.96
p=0.002

本研究では、人口統計学的共変量、生活習慣の共変量、臨床検査、身体検査、身体活動、食事の共変量、合併症を調整した後、食事性ビタミンC摂取と片頭痛との間に逆相関があることが明らかになりました(オッズ比[OR] 0.89、95%信頼区間[CI] 0.83~0.96、p=0.002)。

調整OR
(95%CI)
片頭痛の発生リスク
Q4(ビタミンC摂取量が最も多い) vs. Q1(最も少ない)
調整OR 0.64
0.49~0.84
p=0.001

ビタミンC摂取量を分類すると、Q1(ビタミンC摂取量が最も少ない)と比較して、Q4(ビタミンC摂取量が最も多い)の片頭痛の調整ORは0.64(95%CI 0.49~0.84、p=0.001)でした。

RCS回帰では、食事からのビタミンC摂取と片頭痛との間に直線的な逆相関が示されました(非線形性p=0.449)。所見は一貫しており、異なる群間で有意な交互作用は認められませんでした。

コメント

ビタミンCと偏頭痛との関連性についてはデータが限られており、更なる検証が求められています。

さて、横断研究の結果、食事からのビタミンC摂取量は片頭痛と逆相関し、ビタミンC摂取量と片頭痛の間には直線的な負の関係が示唆されました。

あくまでも相関関係が示されたにすぎませんが、再現性のある結果のようです。想定されている作用機序としては、

ビタミンCと偏頭痛の直接的な関連性は十分に証明されていませんが、いくつかの理論が間接的な影響を示唆しています。ビタミンCの抗酸化作用が酸化ストレスを減少させ、炎症を抑える可能性があることや、血管の健康を改善することで偏頭痛に影響を与える可能性が考えられています。しかし、現時点で具体的なエビデンスは不足していることから、より質の高い前向き研究の実施が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 横断研究の結果、食事からのビタミンC摂取量は片頭痛と逆相関し、ビタミンC摂取量と片頭痛の間には直線的な負の関係が示唆された。

根拠となった試験の抄録

背景:これまでの研究で、ビタミンCは片頭痛の発生や強さを減少させる可能性があることが示されているが、サンプル数が少ないためエビデンスは限られている。本研究では、一般集団における食事からのビタミンC摂取と片頭痛との関連性の大きさを明らかにすることを目的とした。

方法:この横断研究は、1999年から2004年にかけて実施されたNational Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)のデータを利用した。過去3ヵ月間に激しい頭痛または片頭痛を経験した参加者を片頭痛経験者と分類した。食事からのビタミンC摂取量は、24時間食事リコールシステムを用いて評価した。食事からのビタミンC摂取量と片頭痛との関連を評価するために、ロジスティック回帰モデル、制限付き三次スプライン(RCS)回帰、層別解析が用いられた。

結果:本研究には4,101人が参加し、そのうち702人(17.12%)が片頭痛を経験した。本研究では、人口統計学的共変量、生活習慣の共変量、臨床検査、身体検査、身体活動、食事の共変量、合併症を調整した後、食事性ビタミンC摂取と片頭痛との間に逆相関があることが明らかになった(オッズ比[OR] 0.89、95%信頼区間[CI] 0.83~0.96、p=0.002)。ビタミンC摂取量を分類すると、Q1(ビタミンC摂取量が最も少ない)と比較して、Q4(ビタミンC摂取量が最も多い)の片頭痛の調整OR(95%CI)は0.64(95%CI 0.49~0.84、p=0.001)であった。RCS回帰では、食事からのビタミンC摂取と片頭痛との間に直線的な逆相関が示された(非線形性p=0.449)。所見は一貫しており、異なる群間で有意な交互作用は認められなかった。

結論:食事からのビタミンC摂取量は片頭痛と逆相関し、ビタミンC摂取量と片頭痛の間には直線的な負の関係が認められた。

キーワード:横断研究;ロジスティック回帰;片頭痛;集団ベース研究;制限付き三次スプライン回帰;ビタミンC。

引用文献

Association between dietary vitamin C intake and migraine in adults: A cross-sectional study of the National Health and Nutrition Examination Survey
Dehua Zhao et al. PMID: 39257084 DOI: 10.1111/jhn.13366
J Hum Nutr Diet. 2024 Sep 10. doi: 10.1111/jhn.13366. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39257084/

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