制吐薬であるメトクロプラミドの効果は?
急性片頭痛は頭痛だけでなく、めまいや嘔気・嘔吐を伴うことが知られています。しかし、制吐薬が片頭痛による疼痛に対して効果があるのかについては充分に検証されていません。
そこで今回は、成人の急性片頭痛に対するメトクロプラミド非経口投与の有効性と忍容性に関する対照試験のエビデンスを評価することを目的に実施されたメタ解析の結果をご紹介します。
データ情報源は、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embase、LILACS、CINAHL、会議録、臨床診療ガイドライン、およびその他の情報源でした。
成人の急性片頭痛に対するメトクロプラミド非経口投与のランダム化比較試験が対象となりました。
試験結果から明らかになったことは?
関連する可能性のある596件の抄録を検討し、成人655人を対象とした13件の適格試験を見出しました。
オッズ比(95%CI) メトクロプラミド vs. プラセボ | |
片頭痛の疼痛軽減 | オッズ比 2.84(1.05~7.68) |
メトクロプラミドとプラセボを比較した研究では、メトクロプラミドが片頭痛の疼痛を有意に軽減する可能性が高いことが示されました(オッズ比 2.84、95%信頼区間 1.05~7.68)。
メトクロプラミドを単剤で使用した場合、他の単剤と比較すると効果はまちまちでした。併用療法に関する研究では不均一性があり、統計的なプーリングは不可能でした。
メトクロプラミドを含む治療は、すべての研究で報告された疼痛、吐き気、再発の転帰において、比較治療と同等かそれ以上に有効であることが示されました。
コメント
急性片頭痛の頭痛発作に対する制吐薬メトクロプラミドの効果については充分に検証されていません。
さて、メタ解析の結果、メトクロプラミドは片頭痛に有効な治療法であり、他の治療法と併用することで効果が得られる可能性があることが示されました。
ただし、単剤治療による効果は得られなさそうです。患者背景により有効な患者がいるのかもしれません。一方、併用治療については、より効果的であるようでした。
症例数が限られているため、本解析結果を一般化することは困難です。
再現性の確認を含めて更なる検証が求められます。
続報に期待。
✅まとめ✅ メタ解析の結果、メトクロプラミドは片頭痛に有効な治療法であり、他の治療法と併用することで効果が得られる可能性がある。
根拠となった試験の抄録
目的:成人の急性片頭痛に対するメトクロプラミド非経口投与の有効性と忍容性に関する対照試験のエビデンスを評価すること。
データ情報源:Cochrane Central Register of Controlled Trials、Medline、Embase、LILACS、CINAHL、会議録、臨床診療ガイドライン、およびその他の情報源。
選択基準:成人の急性片頭痛に対するメトクロプラミド非経口投与のランダム化比較試験。
結果:関連する可能性のある596件の抄録を検討し、成人655人を対象とした13件の適格試験を見出した。メトクロプラミドとプラセボを比較した研究では、メトクロプラミドが片頭痛の疼痛を有意に軽減する可能性が高かった(オッズ比 2.84、95%信頼区間 1.05~7.68)。メトクロプラミドを単剤で使用した場合、他の単剤と比較すると効果はまちまちであった。併用療法に関する研究では不均一性があり、統計的なプーリングは不可能であった。メトクロプラミドを含む治療は、すべての研究で報告された疼痛、吐き気、再発の転帰において、比較治療と同等かそれ以上に有効であった。
結論:メトクロプラミドは片頭痛に有効な治療法であり、他の治療法と併用することで効果が得られる可能性がある。非麻薬性で制吐作用を有することから、メトクロプラミドは救急部における急性片頭痛の治療の第一選択薬と考えるべきである。
引用文献
Parenteral metoclopramide for acute migraine: meta-analysis of randomised controlled trials
Ian Colman et al. PMID: 15550401 PMCID: PMC535449 DOI: 10.1136/bmj.38281.595718.7C
BMJ. 2004 Dec 11;329(7479):1369-73. doi: 10.1136/bmj.38281.595718.7C. Epub 2004 Nov 18.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15550401/
コメント