軽度〜中等度のCOVID-19外来患者に対するフルチカゾンフランカルボン酸エステルの効果は?(DB-RCT; ACTIV-6試験; N Engl J Med. 2023)

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軽度から中等度のCOVID-19に対する吸入グルココルチコイドの効果は?

グルココルチコイドが重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における症状消失までの期間を短縮したり、入院や死亡を予防したりすることが示されています。一方、軽度から中等度のコロナウイルス疾患2019(COVID-19)の外来患者における吸入グルココルチコイドの効果は不明です。

そこで今回は、COVID-19が確認された外来患者における再利用薬の使用を評価するために、米国で行われた分散型二重盲検ランダム化プラセボ対照プラットフォーム試験(ACTIV-6試験)の結果をご紹介します。

本試験では、30歳以上の非入院成人で、登録前に7日以内の急性感染症状が2つ以上認められた患者を対象に、Fluticasone Furoate(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)吸入を1日1回200μgの用量で14日間投与する群とプラセボを投与する群にランダムに割り付けられました。参加者は2021年8月6日から2022年2月9日まで、米国内の91施設で登録されました。

主要転帰は持続的回復までの期間であり、3日連続で症状がない場合の3日目と定義されました。主要な副次的転帰は、28日目までの入院または死亡、および28日目までの緊急治療または救急外来受診の必要性、入院または死亡の複合転帰でした。

試験結果から明らかになったことは?

ランダム割付けを受けた登録参加者1,407例のうち、715例がフルチカゾンフランカルボン酸エステル吸入群に、692例がプラセボ群に割り付けられ、それぞれ656例と621例が解析に組み入れられました。

ハザード比 HR(95%信頼区間)
持続的回復までの期間HR 1.01
0.91~1.12
有益性の事後確率[ハザード比>1と定義], 0.56

フルチカゾンフランカルボン酸エステルの使用がプラセボよりも回復までの時間を短縮するという証拠はありませんでした(ハザード比 1.01、95%信頼区間 0.91~1.12;有益性の事後確率[ハザード比>1と定義], 0.56)。

フルチカゾンフランカルボン酸エステル群プラセボ群ハザード比 HR
(95%信頼区間)
緊急治療、救急外来を受診または入院24例(3.7%)13例(2.1%)HR 1.9
0.8~3.5

フルチカゾンフランカルボン酸エステル群では合計24例(3.7%)が緊急治療または救急外来を受診または入院したのに対し、プラセボ群では13例(2.1%)でした(ハザード比 1.9、95%信頼区間 0.8~3.5)。

各群3例が入院し、死亡例は報告されませんでした。有害事象は両群ともまれでした。

コメント

COVID-19の外来患者における吸入グルココルチコイドの効果は不明です。

さて、本試験結果によれば、米国における軽度から中等度のCOVID-19の外来患者において、14日間のフルチカゾンフランカルボン酸エステル吸入による治療効果は、プラセボと差がありませんでした。

ただし、本試験の患者の大半はデルタ株であり、オミクロン株はわずかです。2023年現在は、感染者の大半がオミクロン株であることから、同様の結果が得られるのかについては不明です。

とはいえ、効果推定値から、フルチカゾンフランカルボン酸エステル吸入がCOVID-19患者における症状回復までの時間を短縮することはなさそうです。診療ガイドラインにおける推奨通り、まずは抗ウイルス薬の使用の考慮した方が良いでしょう。

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✅まとめ✅ 米国における軽度から中等度のCOVID-19の外来患者において、14日間のフルチカゾンフランカルボン酸エステル吸入による治療効果は、プラセボと差がなかった。

試験結果から明らかになったことは?

背景:軽度から中等度のコロナウイルス疾患2019(Covid-19)の外来患者において、吸入グルココルチコイドが症状消失までの期間を短縮したり、入院や死亡を予防したりする効果は不明である。

方法:コロナウイルス疾患2019(Covid-19)が確認された外来患者における再利用薬の使用を評価するため、米国で分散型二重盲検ランダム化プラセボ対照プラットフォーム試験を実施した。30歳以上の非入院成人で、登録前に7日以内の急性感染症状が2つ以上認められた患者を、Fluticasone Furoate(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)吸入を1日1回200μgの用量で14日間投与する群とプラセボを投与する群にランダムに割り付けた。
主要転帰は持続的回復までの期間とし、3日連続で症状がない場合の3日目と定義した。主要な副次的転帰は、28日目までの入院または死亡、および28日目までの緊急治療または救急外来受診の必要性、入院または死亡の複合転帰であった。

結果:ランダム割付けを受けた登録参加者1,407例のうち、715例がフルチカゾンフランカルボン酸エステル吸入群に、692例がプラセボ群に割り付けられ、それぞれ656例と621例が解析に組み入れられた。フルチカゾンフランカルボン酸エステルの使用がプラセボよりも回復までの時間を短縮するという証拠はなかった(ハザード比 1.01、95%信頼区間 0.91~1.12;有益性の事後確率[ハザード比>1と定義] 0.56)。フルチカゾンフランカルボン酸エステル群では合計24例(3.7%)が緊急治療または救急外来を受診または入院したのに対し、プラセボ群では13例(2.1%)であった(ハザード比 1.9、95%信頼区間 0.8~3.5)。各群3例が入院し、死亡例はなかった。有害事象は両群ともまれであった。

結論:米国におけるCOVID-19の外来患者において、14日間のフルチカゾンフランカルボン酸エステル吸入による治療は、プラセボよりも回復までの期間が短いという結果にはならなかった。

助成金:National Center for Advancing Translational Sciencesなど

ClinicalTrials.gov番号:NCT04885530

引用文献

Inhaled Fluticasone Furoate for Outpatient Treatment of Covid-19
David R Boulware et al. PMID: 37733308 DOI: 10.1056/NEJMoa2209421
N Engl J Med. 2023 Sep 21;389(12):1085-1095. doi: 10.1056/NEJMoa2209421.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37733308/

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