COVID-19に対するレムデシビル経口製剤(VV116)はニルマトレルビル-リトナビルより優れていますか?(PROBE法; N Engl J Med. 2022)

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経口

ニルマトルビル-リトナビル(パキロビッドパック)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬として、多くの国で緊急使用が許可されています。しかし、多くの薬物相互作用が示されていること、また世界的な需要に対して供給が不足しており、さらなる選択肢の必要性が生じています。

VV116は、重水素化レムデシビル臭化水素酸塩であり、動物を用いた試験において経口バイオアベイラビリティとSARS-CoV-2に対する強力な活性を示し、第1相試験において満足できる安全性と副作用のプロファイルを有しています。予備的な小規模試験では、陽性反応後5日以内にVV116を投与されたCOVID-19患者では、通常ケアを受けた患者よりもウイルス排出時間が短いことが示されています。しかし、特にニルマトルビル-リトナビルと比較して、臨床回復、症状の解消、疾患の進行防止に対するVV116の有効性は不明です。また、VV116の安全性プロファイルも充分に評価されていません。

そこで今回は、オミクロン流行時に重症化リスクが高く症状を有するCOVID-19成人患者に対する経口治療として、ニルマトルビル-リトナビルと比較したVV116の第3相試験の結果についてご紹介します。

本試験は、SARS-CoV-2のB.1.1.529(omicron、オミクロン)変異株の流行期に行われた、第3相、非劣性、観察者盲検、ランダム化試験であり、増悪リスクが高い軽度から中等度の症状を有するCOVID-19成人患者を、VV116またはニルマトルビル-リトナビルのいずれかの5日間投与する群に割り付けました。

本試験の主要評価項目は、28日目までの臨床的回復の持続時間でした。臨床的回復の持続は、COVID-19に関連するすべての標的症状が2日間連続して、各症状の合計スコア(0~3のスケールで、スコアが高いほど重症度が高いことを示す)が0または1までに緩和されたことと定義しました。ハザード比の両側95%信頼区間の下限が0.8超であれば非劣性と判定しました(ハザード比が1以上であればニルマトルビル-リトナビルよりもVV116の方が臨床的回復が持続するまでの期間が短い)。

試験結果から明らかになったことは?

822例の被験者がランダム化され、771例にVV116(384名)またはニルマトルビル-リトナビル(387名)が投与されました。

レムデシビル経口製剤
(VV116)投与群
ニルマトレルビル-レムデシビル
投与群
ハザード比 HR
(95%CI)
臨床的な回復が持続するまでの時間
(第1四分位 25%)
4.0日
(95%CI 3.0~4.0)
4.0日
(95%CI 3.0~4.0)
HR 1.17
1.01~1.35
非劣性
 最終解析時(中央値)4日5日HR 1.17
1.02~1.36
28日目までの死亡00
重度COVID-19への進行00
有害事象67.4%77.3%

臨床的回復の持続時間に関するVV116のニルマトルビルに対する非劣性は、主要解析で確立され(ハザード比 1.17、95%信頼区間[CI] 1.01~1.35)、最終解析でも維持されていました(VV116で中央値4日、ニルマトルビルで5日;ハザード比 1.17、95%CI 1.02~1.36)。

最終解析では、症状の持続的消失(11のCOVID-19関連標的症状の各スコアが2日間連続で0になること)およびSARS-CoV-2検査が初めて陰性になるまでの時間は、両群間で大きな差はありませんでした。どちらのグループでも、28日目までに死亡したり、重度のCOVID-19に進行した参加者はいませんでした。

有害事象の発生率は、VV116投与群がニルマトルビル-リトナビル投与群よりも低いことが示されました(67.4% vs. 77.3%)。

コメント

COVID-19の流行は終息せず、感染予防対策や治療方法の確立が求められています。ワクチン接種が進んでいることから、重症化する患者数は減少していますが、治療薬は限られており、新たな治療選択肢が求められています。

さて、本試験結果によれば、経口レムデシビル製剤であるVV116は、重症化リスクを有する軽度から中等度のCOVID-19成人患者において、臨床的回復の持続時間に関してニルマトルビル・リトナビルに対して非劣性であり、安全性に関する懸念も少ないことが示されました。ニルマトルビル・リトナビルは相互作用が課題であることから、より安全性の高い経口治療薬が求められていました。

2022年12月現在、レムデシビルは静脈注射製剤のみが使用されています。経口製剤の有効性・安全性が確認されれば、重症化リスクを有するものの軽症である患者が自宅で使用できるため、医療機関の圧迫を軽減できる可能性があります。

続報に期待。

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☑まとめ☑ 経口レムデシビル製剤であるVV116は、重症化リスクを有する軽度から中等度のCOVID-19成人患者において、臨床的回復の持続時間に関してニルマトルビル・リトナビルに対して非劣性であり、安全性に関する懸念も少なかった。

根拠となった試験の抄録

背景:ニルマトルビル-リトナビルは、コロナウイルス感染症2019(COVID-19)の治療薬として、多くの国で緊急使用が許可されている。しかし、世界的な需要に対して供給が不足しており、さらなる選択肢の必要性が生じている。VV116は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型(SARS-CoV-2)に対して強力な活性を有する経口抗ウイルス剤である。

方法:SARS-CoV-2のB.1.1.529(omicron、オミクロン)変異株の流行期に、第3相、非劣性、観察者盲検、ランダム化試験を実施した。軽度から中等度の症状を有するCOVID-19の成人で、増悪リスクが高い患者を、VV116またはニルマトルビル-リトナビルのいずれかの5日間投与する群に割り付けた。
主要評価項目は、28日目までの臨床的回復の持続時間とした。臨床的回復の持続は、COVID-19に関連するすべての標的症状が2日間連続して、各症状の合計スコア(0~3のスケールで、スコアが高いほど重症度が高いことを示す)が0または1までに緩和されたことと定義した。ハザード比の両側95%信頼区間の下限が0.8超であれば非劣性(ハザード比が1以上であればニルマトルビル-リトナビルよりもVV116の方が臨床的回復が持続するまでの期間が短い)と判定した。

結果:822例の被験者がランダム化され、771例にVV116(384名)またはニルマトルビル-リトナビル(387名)が投与されました。臨床的回復の持続時間に関するVV116のニルマトルビルに対する非劣性は、主要解析で確立され(ハザード比 1.17、95%信頼区間[CI] 1.01~1.35)、最終解析でも維持された(VV116で中央値4日、ニルマトルビルで5日;ハザード比 1.17、95%CI 1.02~1.36)。最終解析では、症状の持続的消失(11のCOVID-19関連標的症状の各スコアが2日間連続で0になること)およびSARS-CoV-2検査が初めて陰性になるまでの時間は、両群間で大きな差はなかった。どちらのグループでも、28日目までに死亡したり、重度のCOVID-19に進行した参加者はいなかった。有害事象の発生率は、VV116投与群がニルマトルビル-リトナビル投与群よりも低かった(67.4% vs. 77.3%)。

結論:VV116は、重症化リスクを有する軽度から中等度のCOVID-19成人患者において、臨床的回復の持続時間に関してニルマトルビル・リトナビルに対して非劣性であり、安全性に関する懸念も少なかった。

資金提供:Vigonvita Life Sciences社など

ClinicalTrials.gov登録番号:NCT05341609、中国臨床試験登録番号:ChiCTR2200057856

引用文献

VV116 versus Nirmatrelvir-Ritonavir for Oral Treatment of Covid-19
Zhujun Cao et al. PMID: 36577095 DOI: 10.1056/NEJMoa2208822
N Engl J Med. 2022 Dec 28. doi: 10.1056/NEJMoa2208822. Online ahead of print.
— 読み進める https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36577095/

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