日本の乳幼児及び小児における母乳育児はアレルギー性疾患のリスクを低下できますか?(横断研究; Ryukyus Child Health Study; Pediatr Allergy Immunol. 2007)

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完全母乳育児によりアレルギー疾患の発症リスクを低下できるのか?

完全母乳育児が小児期のアレルギー疾患を予防するかどうかについては、依然として不確かな点が多く、一貫した結果は得られていません。日本で過去に行われた2つの研究では、完全母乳育児と喘息およびアトピー性湿疹との間に正の関係が認められました。

一方、他の研究結果によれば、完全母乳育児によりアレルギー疾患の発生リスク低下を示す報告もあります。

そこで今回は、日本で行われた横断研究の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

沖縄県の6~15歳の児童24,077例を対象にした本試験結果によれば、母乳育児の期間が13ヵ月以上であることと、母乳育児の期間が4~11ヵ月であることは、アトピー性湿疹の有病率が高いことと独立して関連しており、特に親がアレルギー歴を有さない子どもで顕著でした。

完全母乳育児にかかわらず、授乳期間の延長とアトピー性湿疹の有病率との間には、明確な正の用量反応関係が認められました。生後4ヵ月のアトピー性湿疹については、3つのカテゴリー(粉ミルク、部分母乳、完全母乳)で有意な正の傾向が認められましたが、完全母乳のオッズ比は統計的に有意ではなかったようです。出生後の授乳パターンと、喘鳴やアレルギー性鼻結膜炎の有病率との間には、重要な関連性は認められませんでした。

コメント

完全母乳育児に対する期待は根強く、時に母親の行動や精神を制限する可能性があります。これまで報告されている試験結果において、結果は一貫していませんでした。

これまでの研究結果から、アレルギー疾患の発症は、遺伝素因だけでなく、環境による影響が大きいとも考えられます。

少なくとも日本で行われた臨床試験の結果を考慮すると、因果関係までは述べられませんが、必ずしも完全母乳育児を実施する意義は少ないように考えられます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 母乳育児の長期化は、日本人小児のアトピー性湿疹の有病率の高さと関連している可能性がある

根拠となった論文の抄録

背景:完全母乳育児が小児期のアレルギー疾患を予防するかどうかについては、依然として不確かな点が多い。日本で過去に行われた2つの研究では、母乳育児と喘息およびアトピー性湿疹との間に正の関係が認められた。

方法:今回の横断研究では、日本の学童における出生後の授乳パターンと、過去12ヵ月間のアレルギー疾患の有病率との関連を調べた。
研究対象は、沖縄県の6~15歳の児童24,077例。研究結果は、International Study of Asthma and Allergies in Childhoodの診断基準に基づいていた。年齢、性別、兄弟姉妹の数、家庭内での喫煙、父方と母方の喘息、アトピー性湿疹、アレルギー性鼻炎の既往歴、父方と母方の教育水準などを考慮した。

結果:母乳育児の期間が13ヵ月以上であることと、母乳育児の期間が4~11ヵ月であることは、アトピー性湿疹の有病率が高いことと独立して関連しており、特に親がアレルギー歴を有さない子どもで顕著であった。完全母乳育児にかかわらず、授乳期間の延長とアトピー性湿疹の有病率との間には、明確な正の用量反応関係が認められた。生後4ヵ月のアトピー性湿疹については、3つのカテゴリー(粉ミルク、部分母乳、完全母乳)で有意な正の傾向が見られたが、完全母乳のオッズ比は統計的に有意ではなかった。出生後の授乳パターンと、喘鳴やアレルギー性鼻結膜炎の有病率との間には、重要な関連性は認められなかった。

結論:母乳育児の長期化は、日本人小児のアトピー性湿疹の有病率の高さと関連している可能性がある。

引用文献

Cross-sectional study of allergic disorders associated with breastfeeding in Japan: the Ryukyus Child Health Study
Yoshihiro Miyake et al. PMID: 17617811 DOI: 10.1111/j.1399-3038.2007.00547.x
Pediatr Allergy Immunol. 2007 Aug;18(5):433-40. doi: 10.1111/j.1399-3038.2007.00547.x.
ー続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17617811/

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