非合併性呼吸器感染症の小児へは抗生剤投与タイミングを遅らせても問題ないですか?(RCT; Pediatrics. 2021)

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呼吸器感染症の小児へは抗生剤を可能な限り早く投与した方が良いのか?

呼吸器感染症の患児において、しばしば抗生剤投与が行われますが、呼吸器感染症の原因はウイルスが大半を占めていることから投与タイミングを見極めるのが肝要です。また抗生剤を投与しないという選択肢もあります。

今回は、抗生剤の投与タイミング及び投与しなかった場合を比較したランダム化比較試験の結果をご紹介します。

研究結果から明らかになったことは?

小児436例を対象としたランダム化比較試験において、抗生剤投与のタイミングを遅くした場合、早く投与した場合や投与しなかった場合と比較して、症状の持続時間や重症度に差が認められませんでした

  1. 遅延型抗生物質処方(delayed antibiotic prescription, DAP)
  2. 即時抗生物質処方(immediate antibiotic prescription, IAP)
  3. 無抗生物質処方(no antibiotic prescription, NAP)
重症の持続時間
平均(SD)
最大の重症度
中央値(四分位範囲)
DAP10.1
(6.3)
3
(2〜4)
IAP10.9
(8.5)
3
(2〜4)
NAP12.4
(8.4)
3
(2〜4)

合併症、プライマリケアへの追加受診、満足度はすべての群で同様でした。消化器系の副作用は即時の抗生剤投与で高かったとのこと。

合併症のない呼吸器感染症の小児においては、すぐに抗生剤を投与する意義はなさそうです。

どのような患者で抗生剤投与が必要なのか、引き続き検討していく必要があると言えます。

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✅まとめ✅ 抗生剤投与のタイミングが遅れても、早く投与した場合や投与しなかった場合と比較して、症状の持続時間や重症度に差がなかった

根拠となった論文の抄録

目的:非合併性呼吸器感染症の小児における遅延型抗生物質処方(delayed antibiotic prescription, DAP)の有効性と安全性を、即時抗生物質処方(immediate antibiotic prescription, IAP)および無抗生物質処方(no antibiotic prescription, NAP)と比較して評価すること。

方法:3種類の抗生物質処方法を比較するランダム化臨床試験。参加者はプライマリーケアセンター39施設に通院している急性の非合併性呼吸器感染症の小児であった。
小児は以下のようにランダム割り付けられた。

  1. 遅延型抗生物質処方(delayed antibiotic prescription, DAP)
  2. 即時抗生物質処方(immediate antibiotic prescription, IAP)
  3. 無抗生物質処方(no antibiotic prescription, NAP)

主要アウトカムは症状の持続時間と重症度であった。副次アウトカムは抗生物質の使用、親の満足度、親の信念(parental beliefs)、プライマリケアの追加受診、30日後の合併症であった。

結果:合計 436例の小児が解析に含まれた重症の平均(SD)持続時間は、統計的に有意な差はなかったが、IAPで10.1(6.3)、NAPで10.9(8.5)、DAPで12.4(8.4)であった(P=0.539)。
いずれの症状についても、最大の重症度の中央値(四分位範囲)は3群で同様であった(スコアは3[2〜4]であった;P=0.619)。
抗生物質の使用は、DAP(n=37 [25.3%])およびNAP(n=17 [12.0%])と比較して、IAP(n=142 [96%])で有意に高かった(P<0.001)。
合併症、プライマリケアへの追加受診、満足度はすべての戦略で同様であった。消化器系の副作用はIAPの方が高かった。

結論:DAPを受けた非合併性呼吸器感染症の小児では、NAPやIAPと比較して症状の持続時間や重症度に統計学的に有意な差は認められなかった。しかしながら、DAPは抗生物質の使用量と消化器系の副作用を減少させた。

引用文献

Delayed Antibiotic Prescription for Children With Respiratory Infections: A Randomized Trial – PubMed. PMID: 33574163 DOI: 10.1542/peds.2020-1323
Pediatrics. 2021 Mar;147(3):e20201323. doi: 10.1542/peds.2020-1323. Epub 2021 Feb 11.—続きを読む pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33574163/

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