心房細動における左心耳閉鎖術と直接経口抗凝固療法、どちらが優れていますか?

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ハイリスク心房細動患者における左心耳閉鎖術(LAAO)と直接経口抗凝固薬(DOACs)、どちらが良いのか?

左心耳閉鎖術(Left Atrial Appendage Occlusion, LAAO)は心房細動の脳卒中予防に置いて、ワルファリンに劣らないことが示されています。しかし、現在では心房細動の血栓予防薬として、ワルファリンよりもDOACsによる抗凝固療法が好まれています。

ちなみに2020年に実施されたランダム化比較試験(PRAGUE-17)において、左心耳閉鎖術はDOACに非劣性であることが示されています。

今回は、デンマークで実施されたLAAOとDOACを比較した傾向スコアマッチング研究の結果をご紹介します。

試験結果は?

ハイリスク心房細動患者を対象とし、LAAOが成功した患者(n = 1,078)とDOACによる治療を受けた患者(n = 1,184)を傾向スコアマッチングで比較したところ、主要複合アウトカムのリスクはLAAO群で有意に低いことが明らかとなりました(ハザード比[HR] 0.57、95%信頼区間[CI] 0.49~0.67)。

主要複合アウトカムの個々の構成要素の結果は以下の通りでした;
虚血性脳卒中リスク:群間で同等    (HR 1.11、95%CI 0.71~1.75)
大出血リスク   :LAAOで有意に低い(HR 0.62、95%CI 0.49~0.79
全死亡リスク   :LAAOで有意に低い(HR 0.53、95%CI 0.43~0.64

虚血性脳卒中リスクに群間差はありませんでしたが、全死亡リスクが低下しました。また副次評価項目ですが、心血管死のHRは0.51(95%CI 0.37〜0.70)と有意に低下していました。

あくまでも仮説生成的な結果ではありますが、ハイリスク心房細動患者においては、DOACよりもLAAOの方が予後が良さそうです。

LAAOとDOAC等の抗凝固薬との使い分けが気になるところです。

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✅まとめ✅ ハイリスク心房細動患者におけるLAAOは、DOACsと比較して脳卒中予防効果に差がなく、大出血と死亡リスクは低いかもしれない

根拠となった論文の抄録

目的:本研究では、ハイリスク心房細動患者における左心耳閉鎖術(Left Atrial Appendage Occlusion, LAAO)と直接経口抗凝固薬(Direct Oral Anticoagulation, DOACs)の臨床アウトカムを検討することを目的とした。

背景:LAAOは心房細動患者の脳卒中予防において、ワルファリンに劣らないことが示されている。しかし、現在では心房細動の血栓予防薬としてワルファリンよりもDOACsによる抗凝固療法が好まれている。

方法:Amulet Observational Registryに登録された心房細動患者(n = 1,088)のうち、Amplatzer Amulet装置でLAAOが成功した患者(n = 1,078)を、デンマークの全国患者登録から同定されたDOACによる治療を受けた心房細動患者(n = 1,184)の傾向スコアマッチング対照コホートと比較した。傾向スコアマッチングは、CHA2DS2-VASc(うっ血性心不全、高血圧、75歳以上、糖尿病、脳卒中または一過性脳虚血発作または血栓塞栓症の既往、血管疾患、65~74歳、性別)およびHAS-BLED(高血圧、腎機能または肝機能異常、脳卒中、出血、乏しい国際正常化比、高齢者、薬物またはアルコール)スコアの共変量に基づいて脳卒中および出血を予測した。
主要アウトカムは虚血性脳卒中、大出血(Bleeding Academic Research Consortium ≥3)、または全死亡の複合体とし、追跡調査は2年間とした。

結果:LAAO療法を受けた心房細動患者は、DOAC療法を受けた患者と比較して、主要複合アウトカムのリスクが有意に低かった(ハザード比[HR] 0.57、95%信頼区間[CI] 0.49~0.67)。100人・年あたりの総イベント(イベント率)は、LAAO群で256件(14.5)、DOACs群で461件(25.7)であった。虚血性脳卒中のリスクは群間で同等であった(HR 1.11、95%CI 0.71~1.75)が、大出血のリスク(HR 0.62、95%CI 0.49~0.79)および全死亡のリスク(HR 0.53、95%CI 0.43~0.64)はLAAO療法を受けた患者で有意に低かった。

結論:ハイリスク心房細動患者において、DOACsと比較してLAAOは脳卒中予防効果が同等であるが、大出血と死亡リスクは低い可能性がある。

引用文献

Clinical Outcomes Associated With Left Atrial Appendage Occlusion Versus Direct Oral Anticoagulation in Atrial Fibrillation
Jens Erik Nielsen-Kudsk et al. JACC Cardiovasc Interv. 2021 Jan 11;14(1):69-78. doi: 10.1016/j.jcin.2020.09.051.
PMID: 33413867 DOI: 10.1016/j.jcin.2020.09.051
ー続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33413867/

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