SGLT-2阻害薬 エンパグリフロジンは心不全患者の症状や運動機能を改善できますか?(EMPERIAL trial)

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血糖降下薬 エンパグリフロジンが心不全の適応を取得

SGLT-2阻害薬 エンパグリフロジンと心不全について

尿中への糖排泄を促進することで血糖を降下させるSGLT-2阻害薬。中でもエンパグリフロジン、ダパグリフロジンは2型糖尿病を適応に製造販売承認され、2020年には米国で心不全の適応を追加しています。日本においても、2020年にダパグリフロジン(フォシーガ®️)が心不全の適応を追加しています。

この適応追加は、海外で実施されたEMPEROR-reduced試験、DAPA-HF試験の結果に基づいており、心血管イベント及び死亡リスクの低下が認められています。

ハードアウトカムへの有効性が認められている点については評価できますが、そもそも心不全は疾患ではなく症候群であるため、ソフトアウトカムである症状や日常生活動作への影響についても検証する必要があります。

エンパグリフロジンは心不全患者の症状や運動機能を改善できるのか?

左室駆出率40%を基準に、駆出率が40%以上に保たれた心不全(HFpEF)及び40%未満の心不全(HFrEF)を対象に、エンパグリフロジンとプラセボの効果を検証しています。

その結果、主要評価項目である12週目までの6分歩行試験距離(6MWTD)の変化において、エンパグリフロジンとプラセボの差は、-4.0mでした。HFpEF及びHFrEFともに、プラセボとの差において有意差がありませんでした。

副次評価項目については、HFrEF群でKCCQ-TSSの反応率、うっ血スコア、利尿剤使用量の改善が認められました。あくまでも仮説生成的な結果ではありますが、駆出率が40%以下の患者においては、エンパグリフロジンにより心不全の症状が改善するかもしれません。今後の検討結果に期待。

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✅まとめ✅ 12週目までの6分歩行試験距離(6MWTD)の変化において、エンパグリフロジンとプラセボの差は有意ではなかった

根拠となった論文の抄録

目的:EMPERIAL(Effect of EMPagliflozin on ExeRcise ability and HF symptoms In patients with chronic heArt faiLure)試験では、2型糖尿病(T2D)の有無にかかわらず、EF(駆出率)が低下または温存された心不全(HF)におけるNa-glucose co-transporter-2(SGLT-2)阻害剤の効果を初めて報告し、運動能力と患者報告アウトカムに対する効果を評価しました。

方法:T2Dの有無にかかわらず、EF低下型(40%以下、N=312、EMPERIAL-Reduced)またはEF温存型(40%以上、N=315、EMPERIAL-Preserved)のHF患者を、エンパグリフロジン10mgまたはプラセボに12週間ランダムに割り付けた。主要評価項目は12週目までの6分歩行試験距離(6MWTD)の変化であった。主要副次評価項目には、Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire Total Symptom Score(KCCQ-TSS)およびChronic Heart Failure Questionnaire Self-Administered Standardized format(CHQ-SAS)呼吸困難スコアが含まれた。

結果:第12週目の6MWTD中央値(95%信頼区間)のエンパグリフロジンとプラセボの差は、EMPERIAL-ReducedおよびEMPERIAL-Preservedでそれぞれ -4.0m(-16.0 〜 6.0、P = 0.42)および -4.0m(-5.0 〜 13.0、P = 0.37)であった。一次エンドポイントは有意ではなかったため、すべての副次エンドポイントは探索的エンドポイントとした。KCCQ-TSSおよびCHQ-SAS呼吸困難スコアの変化は有意ではなかった。EMPERIAL-ReducedにおけるKCCQ-TSSの反応率、うっ血スコア、利尿剤使用量の探索的事前指定解析におけるエンパグリフロジンによる改善は、仮説を生み出すものである。エンパグリフロジンの有害事象は、以前に報告されたものと一致していた。

結論:両試験の主要評価項目は中立であった。エンパグリフロジンは、T2Dの有無にかかわらず、中高年患者において良好な忍容性を示し、安全性プロファイルはT2Dで以前に報告されたものと一致していた。HFrEFにおけるエンパグリフロジンの副次的エンドポイントの探索的解析では、仮説に基づく改善が観察された。

引用文献

Effect of empagliflozin on exercise ability and symptoms in heart failure patients with reduced and preserved ejection fraction, with and without type 2 diabetes

Eur Heart J. 2020 Dec 22;ehaa943. doi: 10.1093/eurheartj/ehaa943. Online ahead of print.

ー読み進めるhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33351892/

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