Effect of music therapy on preterm infants in neonatal intensive care unit: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
Wei Yue et al.
J Adv Nurs. 2020 Nov 17. doi: 10.1111/jan.14630. Online ahead of print.
PMID: 33200833
DOI: 10.1111/jan.14630
Keywords: meta-analysis; music therapy; neonatal intensive care unit; nursing; preterm infant; systematic review.
目的
新生児集中治療室(NICU)における早産児に対する音楽療法の効果を系統的に検討する。
背景
音楽療法の有効性を検討することが必要である。近年、新生児集中治療室における早産児への音楽療法の適用は、その臨床効果からますます注目されている。しかし、様々な研究の間にはまだ論争が存在している。
試験デザイン
システマティックレビューとメタアナリシス。
データソース
1910年~2019年11月4日までの期間に11のデータベースを検索した。
PubMed、Web of Science、The Cochrane Library、Embase、China Biology Medicine Databaseなど。
レビューの方法
PRISMAガイドラインに準拠して解析対象論文を選定した。メタアナリシスは、Review Manager 5.3 ソフトウェアを使用して実施した。
結果
・1,093例、合計13試験が含まれていた。
・メタ解析の結果、音楽療法は早産児の心拍数、呼吸数、経口授乳量、ストレスレベル、母親の不安に有意な影響を与え、研究間では中等度から高度の異質性が認められた。また、音楽療法は酸素飽和度や行動状態には影響を与えなかった。
結論
音楽療法は早産児の心拍数、呼吸数の安定、ストレスレベルの軽減に効果的であるだけでなく、経口授乳量にも良い影響を与える。また、音楽療法は母親の不安を軽減する役割も果たしている。しかし、いくつかのアウトカムについては研究間での不均一性があるため、推奨する前に、より大規模なサンプルサイズとより厳格なデザインの研究を実施する必要がある。
影響
音楽療法は早産児の心拍数、呼吸数、ストレスレベルを有意に改善し、経口授乳量を増加させることができる。これらの結果は、新生児集中治療室にいる早産児の福祉と生活の質にプラスの影響を与える可能性がある。病院では、新生児集中治療室の早産児に非薬理学的で侵襲性のない治療法と考えられている音楽療法を適用することができます。
コメント
音楽療法の有効性については、多くの研究で報告されています。中でもNICUにおける新生児を対象とした研究で、音楽療法の有効性が報告されています。しかし、研究間における有効性の違いがみられることから、音楽療法について更なる検証が求められています。
さて、本試験結果によれば、音楽療法は早産児の心拍数、呼吸数、経口授乳量、ストレスレベル、母親の不安に有意な良い影響を与えましたが、音楽療法は酸素飽和度や行動状態には影響を与えませんでした。中でも心拍数については、研究数も多く、異質性はI2=44%と、他のアウトカムと比較して低い値でした。
研究のバイアスリスクについては、Figure 2で示されていますが、そこまで高くないと考えられます。
個人的な見解ですが、試験の限界としては、個々の研究における音楽の種類を層別解析できない部分や、母親との接触(手が触れるなど)の有無や回数でしょうか。それでも、音楽の効果は間違いなくあるのではないかと考えます。
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