Delirium in Older Patients With COVID-19 Presenting to the Emergency Department
Maura Kennedy et al.
JAMA Netw Open. 2020 Nov 2;3(11):e2029540.
doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.29540.
PMID: 33211114
PMCID: PMC7677760
DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2020.29540
試験の重要性
せん妄は高齢の救急部(ED)患者の間で一般的であり、高い罹患率と死亡率と関連しており、しばしば認識されない。
事例証拠(Anecdotal evidence)は、高齢者におけるコロナウイルス疾患2019(COVID-19)の非定型提示を記述している。しかしながら、COVID-19感染症を有する高齢ED患者における せん妄の頻度とアウトカムに関連した結果は充分に記述されていない。
目的
COVID-19感染の高齢者が せん妄を伴ってEDに来院する頻度と、それに関連した病院のアウトカムを明らかにすること。
試験デザイン、設定、参加者
この多施設コホート研究は、米国内の7施設で実施された。
参加者には、2020年3月13日以降にCOVID-19を発症した高齢者が連続して含まれた。
曝露
COVID-19は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の鼻腔スワブ陽性(99%の症例)または古典的な放射線学的所見(1%の症例)により診断された。
主なアウトカムと対策
主要アウトカムは、有効な記録レビューアプローチに従って医療記録から特定された せん妄であった。
結果
・COVID-19の高齢患者 817例が含まれ、そのうち386例(47%)が男性、493例(62%)が白人、215例(27%)が黒人、54例(7%)がヒスパニックまたはラテン系であった。
・患者の平均(SD)年齢は 77.7歳(8.2歳)であった。対象となった患者のうち、226例(28%)にせん妄が認められ、せん妄はすべての症状および徴候の中で6番目に多かった。
・せん妄を呈した患者のうち、37例(16%)がせん妄を主症状とし、84例(37%)が発熱や息切れなどの典型的なCOVID-19の症状や徴候を認めなかった。
・せん妄と関連する因子は、75歳以上の年齢(調整後相対リスク[aRR] 1.51、95%CI 1.17〜1.95)、老人ホームまたは介護付き住宅での生活(aRR 1.23、95%CI 0.98〜1.55)、精神薬の使用歴(aRR 1.42、95%CI 1.17〜1.95)、視力障害(aRR 1.98、95%CI 1.54~2.54)、聴覚障害(aRR 1.10、95%CI 0.78~1.55)、脳卒中(aRR 1.47、95%CI 1.15~1.88)、パーキンソン病(aRR 1.88、95%CI 1.30~2.58)であった。
・せん妄は集中治療室滞在(RR 1.67、95%CI 1.30〜2.15)および死亡(RR 1.24、95%CI 1.00〜1.55)と関連していた。
結論と関連性
このコホート研究では、米国の救急外来に来院したCOVID-19を有する高齢者817例で せん妄が一般的であり、他の典型的な症状や徴候を伴わないことが多かった。さらに、せん妄は不良な病院アウトカムおよび死亡と関連していた。
これらの所見は、スクリーニング、検査、評価の指針となるCOVID-19の徴候や症状のチェックリストに せん妄を含めることの臨床的重要性を示唆している。
コメント
救急外来の患者あるいは高齢患者における せん妄発生のリスク因子です。しかし、救急外来に来院したCOVID-19高齢患者における せん妄の発生率は明らかになっていません。
さて、米国の救急外来に来院したCOVID-19を有する高齢者817例を対象とした本コホート研究によれば、せん妄の発生率は28%(226/817例)でした。この226例のうち、84例(37%)が発熱や息切れなどの典型的なCOVID-19の症状や徴候を認めなかったようです。
COVID-19高齢患者において、せん妄を呈する可能性が高いことについて、認識しておいた方が良さそうです。
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