Efficacy and safety of favipiravir, an oral RNA-dependent RNA polymerase inhibitor, in mild-to-moderate COVID-19: A randomized, comparative, open-label, multicenter, phase 3 clinical trial
Zarir F Udwadia et al.
Int J Infect Dis. 2020 Nov 16;103:62-71.
doi: 10.1016/j.ijid.2020.11.142. Online ahead of print.
PMID: 33212256
PMCID: PMC7668212
DOI: 10.1016/j.ijid.2020.11.142
Keywords: Antiviral; COVID-19; Coronavirus; Favipiravir; Randomized clinical trial; SARS-CoV-2.
目的
軽度~中等度のコロナウイルス疾患2019(COVID-19)成人を対象としたファビピラビルの有効性と安全性を評価すること。
方法
このランダム化、オープンラベル、並行群、多施設共同、第3相試験では、RT-PCRでCOVID-19が確認され、軽度~中等度の症状を有する成人(18~75歳)を対象に、ファビピラビルの経口投与(1日目:1800mg BID、2~14日目:800mg BID)+標準的な支持療法あるいは、標準的な支持療法単独に1対1でランダム化した。
主要エンドポイントはウイルス脱核が停止するまでの時間であり、臨床的治癒までの時間も測定された。
結果
・5月14日から2020年7月3日まで、患者 150例がファビピラビル群(n=75)または対照群(n=75)にランダム割り付けされた。
・ウイルス脱核停止までの期間(中央値)は、ファビピラビル群で5日(95%CI 4日〜7日) vs. 対照群で7日(95%CI 5日〜8日、P=0.129)であった。
・臨床治癒までの期間(中央値)は、ファビピラビル群で3日(95%CI 3日〜4日) vs. 対照群で5日(95%CI 4日〜6日、P=0.030)であった。
・有害事象は、ファビピラビル投与群で36%、対照群で8%に認められた。対照群では1例が病状悪化により死亡した。
結論
主要エンドポイントの統計的有意性が認められなかったのは、RT-PCR法の限界が原因であった。
臨床治癒までの時間が有意に改善したことから、軽度から中等度のCOVID-19ではファビピラビルが有益である可能性が示唆された。
コメント
やや小規模な検討結果ではありますが、本試験は、COVID-19患者に対するファビピラビル(アビガン®️)の有効性を検証したRCTです。
本試験結果によれば、主要エンドポイントであるウイルス脱核が停止するまでの時間において、ファビピラビルの使用は、対照群と差が認められませんでした。中央値の絶対差は2日であり、これが臨床的にどれほど影響があるのかは不明です。一方、副次的アウトカムである臨床治癒までの期間については、ファビピラビル群で3日、対照群で5日であり、有意差が認められています。
個人的には、どちらのアウトカムについても、対照群との絶対差が2日では、有益性が低いように思います。また有害事象はファビピラビル群で36%、対照群で8%と、かなりの群間差があります。ファビピラビル群で多く報告された有害事象は、血清尿酸値の上昇16.4%(12例)、肝関連酵素の上昇6.8%(5例)、ウイルス性肺炎2.7%(2例)でした。ちなみに対照群では、血清尿酸値の上昇及びウイルス性肺炎は認められていません。
現在日本では、富士フイルムがファビピラビルの承認申請を行っていますが、2020年12月時点では承認が見送られました。他の報告をみていてもCOVID-19に対するファビピラビル使用による有益な結果は示されていないように思われます。
今のところは、ワクチンに期待するしかないように考えます。
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