【CQいただきました】月経前症候群に対するプレフェミンの効果はどのくらいですか?(RCTのメタ解析; Complement Ther Med. 2019)

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Vitex agnus-castus in premenstrual syndrome: A meta-analysis of double-blind randomised controlled trials

Dezső Csupor et al.

Complement Ther Med. 2019 Dec;47:102190. doi: 10.1016/j.ctim.2019.08.024. Epub 2019 Aug 30.

PMID: 31780016

DOI: 10.1016/j.ctim.2019.08.024

Keywords: Chasteberry; Meta-analysis; PMS; Vitex agnus-castuspremenstrual syndrome.

背景

チェストベリー(Vitex agnus-castus、VAC)はいくつかの臨床試験で研究されており、月経前症候群(premenstrual syndrome, PMS)症状の緩和のための医薬品として入手可能であるが、適切に特性化された製剤の有効性はメタアナリシスでは評価されていない。

目的

本研究の目的は、PMSにおけるVACの有効性を評価することであった。

メタ解析は、CONSORTの推奨事項を考慮し、PICOSフォーマットを使用してPRISMAガイドラインに従って実施した。

VACに関する研究は、PubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceで検索しました。

解析では、適切に特性化されたVAC製品のPMS症状緩和に対する有効性を、プラセボと比較して、Total Symptom ScoreまたはPMS Diaryスコアの低下を考慮して、応答率の観点から評価した。

サマリー相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを使用した。ランダム化二重盲検、プラセボ対照試験のうち、ハーブ製品の適切な特徴付けを目的としたCONSORT勧告の基準を満たしたもののみが含まれた。

結果

・臨床試験21件のうち、3つの試験(女性 520例)は、PMSの治療のための特別な抽出物Ze 440BNO 1095の有効性をプラセボと比較して、包含基準を満たしていた。

・VAC製剤はPMS症状の軽減に有効であることが確認された。

・VAC製剤を服用した女性は、プラセボを服用した女性と比較して、症状の寛解を経験する可能性が2.57倍(95%CI 1.52〜4.35)高くなっていた。

・VACを使用した臨床試験がいくつか実施されているが、報告が不完全であるため、大部分の試験は有効性の証拠として使用することができない。

結論

VAC抽出物の有効性を評価するためには、CONSORTの勧告に沿った試験が必要である。

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月経前症候群(premenstrual syndrome, PMS)とは?

PMSとは、月経前に3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。

日本産婦人科学会のWebサイト(http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13)より

PMSの原因は?

原因は明らかとなっていませんが、女性ホルモン変動が関わっていると考えられています。

排卵リズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。

この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内ホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。

PMSの症状は?

精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがあります。

上記の原因でPMSが引き起こされるのであれば、卵胞ホルモンと黄体ホルモンを少量補給すれば良いことになります。しかし、ホルモン補充療法だけでは症状が緩和されない場合があります。それが月経前不快気分障害(premenstrual dyspholic disorder : PMDD)です。PMDDにおいて、脳内ホルモンや神経伝達物質の異常が引き起こされますが、この主な原因が卵胞ホルモンや黄体ホルモンの減少ではないため、ホルモン補充療法の効果が低いあるいは効果がありません。

つまり、月経前に精神神経症状が強い場合には、PMDDや精神疾患を疑う場合があり、これら疾患に対してはホルモン補充療法の効果は期待できない可能性が高い、ということです。

一方、PMSの場合は月経開始後には精神神経症状が和らぎます。

PMSの治療方法は?

PMSの治療方法として、主に以下の3種類があります。

  1. 排卵抑制療法
  2. 各症状(精神神経症状やむくみなど)に対する対症療法
  3. 漢方療法

日本では市販薬として、チェストベリー(商品名:プレフェミン)が販売されており、月経前症候群に使用されています。

月経前の次の諸症状(月経前症候群)の緩和:乳房のはり,頭痛,イライラ,怒りっぽい,気分変調

プレフェミンの効能・効果(2020年11月時点)

臨床疑問(Clinical Question, CQ)

チェストベリー製剤はPMSに効果があるのか?

上記のCQに対して、Pubmed検索時における最新のメタ解析を探し、結果を解釈することとしました。

今回の試験結果から明らかになったことは?

ランダム化比較試験3件のメタ解析の結果、製剤を服用した女性は、プラセボを服用した女性と比較して、症状を寛解する可能性が示されました(リスク比 2.57, 95%CI 1.52〜4.35)。

ランダム化比較試験に用いられていた用量は、低用量(4〜8mg)と高用量(20〜30mg)でそれぞれメタ解析した場合、どちらも症状を寛解しそうですが、高用量の方が区間推定値の幅が短くなっていました。つまり、高用量の方が、多くの患者で効果が見込めそうです。ただし、異質性が高く(I2=74%)、今後の研究結果次第では、結果が覆る可能性もあります。

あくまでも現時点においてではありますが、PMSに対してチェストベリーは効果があるかもしれません。

ちなみに、本邦で発売されているプレフェミンには、チェストベリー乾燥エキスが40mg(チェストベリー20mgに相当)含まれています。

✅まとめ✅ チェストベリー製剤はPMS症状の軽減に有効であることが確認されたが、結果の異質性が高かった

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