若年成人における高血圧と長期心血管イベントとの関連性はどのくらいですか?(SR&MA; BMJ 2020)

Association between high blood pressure and long term cardiovascular events in young adults: systematic review and meta-analysis

Dongling Luo et al.

BMJ. 2020 Sep 9;370:m3222. doi: 10.1136/bmj.m3222.

PMID: 32907799

DOI: 10.1136/bmj.m3222

目的

高血圧の若年成人における将来の心血管イベントのリスクを評価し、定量化すること。

試験デザイン

システマティックレビューおよびメタアナリシス。

データソース

Medline、Embase、Web of Scienceを開始から2020年3月6日まで検索した。

ランダム効果モデルを用いて相対リスクをプールし、95%信頼区間で表した。絶対リスク差を算出した。

血圧と個々の転帰との間の用量反応関係は、制限付き立方スプラインモデルを用いて評価した。

研究選択の適格基準

血圧が上昇した18~45歳の成人の有害アウトカムを調査した研究を選択した。

主要研究のアウトカムは、心血管系イベントの総計を複合したものであった。

副次的アウトカムとして冠動脈性心疾患、脳卒中、および全死亡を調査した。

結果

・約450万人の若年成人からなる観察コホート17件が解析に含まれた。平均追跡期間は14.7年であった。

・血圧が正常な若年成人は、最適血圧の人と比較して心血管イベントのリスクが高かった。

★相対リスク 1.19、95%信頼区間 1.08~1.31

★リスク差 0.37、95%信頼区間 0.16~0.61/1,000人・年

・血圧のカテゴリーと心血管イベントのリスク増加との間には、段階的で漸進的な関連が認められた。

  • 高値正常血圧:相対リスク 1.35、95%信頼区間 1.22~1.49;リスク差 0.69、95%信頼区間 0.43~0.97/1,000人・年
  • グレード1の高血圧:1.92、1.68~2.19;1.81、1.34~2.34
  • グレード2の高血圧:3.15、2.31~4.29;4.24、2.58~6.48

・冠動脈性心疾患と脳卒中についても同様の結果が観察された。

・一般的に、血圧上昇に関連した心血管イベントの集団帰属率は23.8%(95%信頼区間 17.9%~28.8%)であった。

1つの心血管イベントを予防するために1年間に必要な治療数は、正常血圧の参加者では2,672例(95%信頼区間 1,639~6,250例)、高値正常血圧の参加者では1,450例(1,031~2,326例)、グレード1の高血圧の参加者では552例(427~746例)、グレード2の高血圧の参加者では236例(154~388例)と推定された。

結論

血圧が上昇した若年成人は、後年の心血管イベントのリスクがわずかに上昇する可能性がある。

血圧低下に関するエビデンスは限られているため、積極的な介入は慎重に行うべきであり、さらなる調査が必要である。

コメント

高血圧と心血管イベント(特に虚血性脳卒中)リスク増加との関連性について、疑う余地はありません。ただし若年層における血圧高値と心血管イベントリスク増加との関連性については、エビデンスの集積が不充分と考えます。

さて、平均追跡期間 14.7年の本試験結果によれば、血圧カテゴリーが高値であるほど、心血管イベントリスクの増加が認められました。これは中高年、高齢者で報告された結果とほぼ一致しています。

また1年間における各血圧カテゴリーに対する治療のNNTは、正常血圧 2,672、高値正常血圧 1,450、グレード1の高血圧 552、グレード2の高血圧 236、高血圧全体 360、血圧上昇 715でした。血圧が最も高い集団であるグレード2であってもNNTは236と、数値としては高めです。治療する意義については慎重に判断した方が良いかもしれません。

ちなみに本試験での血圧カテゴリーの定義(欧州ガイドライン2018より)は以下の通り;

  • 最適血圧(optimal blood pressure)    :SBP <120 and DBP <80 mmHg
  • 正常血圧(normal blood pressure)     :SBP 120〜129 and DBP 80〜84 mmHg
  • 血圧高値(high normal blood pressure)  :SBP 130〜139 and DBP 85〜89 mmHg
  • グレード1 高血圧(grade 1 hypertension) :SBP 140〜159 and 90〜99 mmHg
  • グレード2 高血圧(grade 2 hypertension):SBP ≥160 and DBP ≥100 mmHg

✅まとめ✅ 18~45歳の血圧高値成人における その後の心血管イベントのリスクは、血圧カテゴリーの段階的上昇に伴い漸進的な増加が認められた

✅まとめ✅ エビデンスは限られているものの各血圧カテゴリーに対する治療のNNTは、正常血圧 2,672、高値正常血圧 1,450、グレード1の高血圧 552、グレード2の高血圧 236と推定された

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