胃癌患者における胃切除術後の胆石形成予防に対するウルソデオキシコール酸の有効性と安全性はどのくらいですか?(DB-RCT; PEGASUS-D; JAMA Surg. 2020)

Efficacy and Safety of Ursodeoxycholic Acid for the Prevention of Gallstone Formation After Gastrectomy in Patients With Gastric Cancer: The PEGASUS-D Randomized Clinical Trial

Sang Hyub Lee et al.

JAMA Surg. 2020 Jun 17;e201501. doi: 10.1001/jamasurg.2020.1501. Online ahead of print.

PMID: 32584935

PMCID: PMC7301302

DOI: 10.1001/jamasurg.2020.1501

Trial registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02490111.

試験の重要性

胆石の発生率は、胃切除術後に増加することが報告されている。しかし、胃切除術を受けた患者における胆石形成の予防に関する研究はほとんど行われていない。

目的

胃癌患者における胃切除術後の胆石形成予防におけるウルソデオキシコール酸(UDCA)の有効性と安全性を評価する。

デザイン、設定、参加者

PEGASUS-D試験(Efficacy and Safety of DWJ1319 in the Prevention of Gallstone Formation after Gastrectomy in Patient with Gastric Cancer. A Multicenter, Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Study)は、大韓民国の 12 施設で実施されたランダム化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験である。

胃全摘術、遠位胃切除術、または近位胃切除術を受けた胃がんと診断された成人(19歳以上)が2015年5月26日から2017年1月9日までの間に登録され、追跡調査は2018年1月8日に終了しました。

有効性は、intention-to-treatの原則に基づく完全解析セットとプロトコルごとのセットの両方で評価された;完全解析セットの所見は主要結果として解釈された。

介入

対象者は、UDCA 300mg、UDCA 600mg、またはプラセボを1:1:1:1の割合で投与する群にランダム割り付けされた。

ウルソデオキシコール酸とプラセボを52週間、毎日投与した。

主要アウトカムと測定法

胆石形成の評価は、3ヶ月毎に腹部超音波検査で12ヶ月間実施した。

試験群へのランダム化および割り付けは、対話型のウェブ応答システムを用いて行った。

主要エンドポイントは、胃切除術後12ヵ月以内に胆石が発生した患者の割合であった。

結果

・合計521例の患者(175例にUDCA 300mg投与、178例にUDCA 600mg投与、168例にプラセボ投与)がランダムに割り付けられた。

・解析対象は465例(男性 311例、年齢中央値56.0歳[中間値範囲 48.0~64.0歳])で、300mg投与群 151例、600mg投与群 164例、プラセボ投与群 150例であった。

・胃切除後12ヵ月以内に胆石を発症した患者の割合は,300mg群 151例中8例(5.3%)、600mg群 164例中7例(4.3%)、プラセボ群 150例中25例(16.7%)であった。

・プラセボ群と比較して、胆石形成のオッズ比は300mg群で0.27(95%CI 0.12~0.62;P=0.002),600mg群で0.20(95%CI 0.08~0.50;P<0.001)であった。

・登録された患者の中で有意な副作用は検出されなかった。

結論と関連性

UDCAを12ヵ月間投与することで、胃切除術後の胃癌に対する胆石の発生率が有意に減少した。これらの知見は、UDCA投与が胃癌患者の胃切除術後の胆石形成を予防することを示唆している。

コメント

胃がん患者において、胃切除に胆石の発生率が増加することが報告されています。胃切除後の胃がん患者において、胆石症の発生リスク増加が報告されています(日本人データ 日消外会誌 19(5):920~924, 1986年、メタ解析 PMID: 20135313)。この胃切除後胆石症に対して、予防的胆嚢摘出が実施される場合もありますが、正常臓器を摘出することによる長期的な影響については充分に検討されていません。今回の研究は過去に報告がありそうでなかった予防的ウルソデオキシコール酸による介入試験。

さて、本試験結果によれば、胃がん患者における胃切除後の予防的なウルソデオキシコール酸投与は、プラセボと比較して、12ヵ月以内の胆石発生率を有意に低下させました。用量依存的な効果はなさそうです。

  • 300mg群 :151例中8例(5.3%)
  • 600mg群 :164例中7例(4.3%)
  • プラセボ群:150例中25例(16.7%)

また副作用は認められなかったようです。胆嚢摘出術を受けた患者率などの予後について、より長期的なデータ集積が必要であると考えます。

✅まとめ✅ 胃切除術後の胃癌患者に対するウルソデオキシコール酸の投与は、プラセボと比較して、胆石の発生率が有意に減少した

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